むかしむかし、あるところに、原子の心を持った母がおりました。その母は汚れを知らず清純そのもので、共同体に永遠の安泰と豊穣をもたらす存在だとそう信じられておりました。原子の心をもった母は、その力で人びとに明かりをもたらし、共同体に富と繁栄をもたらしました。ところが、ある日のこと、大きな地震と津波をきっかけに、原子の心をもった母は突然、荒れ狂いはじめ、共同体に死の粉と汚水をまきちらしました。そのときはじめて人びとは、原子の心を持った母が実は共同体に永遠の汚れと呪いをもたらす鬼神であったことに気づいたのですが、その時はもうすでに手遅れで、その共同体はそれから10万年ものあいだ、この鬼神の呪いに苦しめられましたとさ。おわり。