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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼新たな「ドラム隊」の出現のために

▼「AS220」に登場したラディカル・マーチングバンド(ホワット・チアー!ブリゲード)

 「マーチングバンドが状況を変えた典型的な例として、2006年7月のAS220フェスでの出来事をあげることができるだろう。そのイベントは地元のアートスペースによって運営され、何千人もの人でにぎわっていたが、何千もの身体がひしめく空間に漂っていたのは、どこかきまりの悪いよそよそしさだった。そこには敵意や不信感はないが、見知らぬもの同士のさめた距離があった。しかし、マーチングバンドの登場によってイベントの質が変容した。マーチングバンドが登場するやいなや、人びとは「パフォーマー」と「オーディエンス」を分断していたステージをみつめることをやめ、マーチングバンドの動きにあわせて踊り騒いだのだ。その瞬間、たがいを隔てていた壁が消えうせた。ドラムの最初の一撃とともに亀裂が走るのは、たがいを隔てるまなざしの壁である。それは日常の空間をきりくずす芸術的なパフォーマンスであり、街路に移動可能な「情動(よろこびや怒り、笑いや哀しみ)」の空間がつくりだされ、そこに新たな関係が出現する。その関係には、希望が宿り、日常生活の網の目のなかに血が通いはじめるのだ。

 そこで実践されているのは「直接参加」と「情動」をつくるというラディカルな美学である。この美学がもとづいているのは、芸術的な形式や内容よりも、集団による創造のプロセスから生まれる関係や経験である。私たちは「情動の空間」の創造を目のあたりにしている。それは「共にある空間」であり、そこから、新しい関係や相互行為が可能となる「民衆の空間」が出現する。

 その活動の基本は「贈与」という無償の交換であり、それによって、「アートの商品化」を回避しようとする。そこに受動的な消費の余地はない。すべてのオーディエンスが、同時に参加者でなければならない。この意味で「ラディカル・マーチングバンド」の方法は興味深いのだ。

 もともとマーチングバンドは、国家形態に属するものであり、国家が定義する空間をもたらすものだ。その集団は整然とコントロールされて隊列をなし、軍隊に密接に結びついている。だが、こうした国家や軍隊への結びつきがあるからこそ、それらが「抗議の戦術」として「転用」されたり「横領」されるときに、それがきわめて痛快なものになるのである。

 当然のことながら、多くのラディカル・マーチングバンドのレパートリーは、さまざまなスタイルや文化、バックグラウンドが融合する真のメルティング・ポットになっている。そこには、ジャズやビッグバンドの曲から、クレズマーやモロッコ音楽、インドのウェディング・ソングから、カリプソ、サルサ、レゲエやサンラまで、あらゆるジャンルが混在している。

 しかし、そうした空間が妨害や問題なしに存在すると思ってはならない。そうした空間に対する弾圧や回収は避けがたい。また、それらもくりかえしているうちに儀式化されたものとなり、固定した循環のパターンに後退するだろう。問題は、つくりだした空間の情動的なボリュームをキープしつづけることである。スペクタクルに回収されてしまう罠を回避し、さまざまな可能性がこりかたまったり、できあがったかたちのなかで新鮮さを失わないようにする方法である。

 これは決して一度かぎりの出来事で終わるものではないし、そうなる可能性もない。それはラディカルな想像力を自ら定位させる「持続可能なとりくみ」にほかならず、それは絶えざる更新のプロセスである。」

(スティーヴン・シュカイティス 「情動をつくりだす美学:観客を消滅させ、群衆蜂起をうながすこと」の抜粋に一部加筆)


▼抗議行動の場に登場したラディカル・マーチングバンドとその場の空気
 (インファーナル・ノイズ・ブリゲード)

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[参考]
「ラディカル・マーチングバンドの出現にむけて」
「イルコモンズのふた」 2011年10月5日
▼イルコモンズ+成田圭祐 「アーティヴィズム・ナウ!」 「美術手帖」2012年3月号
[PR]
by illcommonz | 2013-01-10 21:04
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