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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼イルコモンズ作 「怒りの重火器サックス」
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 「夜の官庁街に響き渡る怒りのドラムをお聴きください。なおサウンドのなかでディストーションがかかったベースのような音が聴こえると思いますが、これはイルコモンズさんによるトラメガ拡声によるユーフォニウム(上の写真参照)です。まったく天晴れなサウンドでございました。」(Across the Street Sounds「官庁街に響いた怒りのドラム」(2012年6月21日)

 一見すると、ベルが正面をむいた「マーチング用のユーフォニウム」のようにもみえるが、「ディストーションがかかったベースのような音」がするのは、ユーフォニウムにテナー・サックスのマウスピースを挿しているせいである。6月のこの時点ではまだ試作段階で、その後しばらく放置していたコレを、いよいよ使うときが来たと思い、明日の官邸前抗議にむけて改造を再開した。

 ベースにしたのはオークションで手にいれたこのユーフォニウムである。

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▼YAMAHAユーフォニウムYEP201(ノーマル)

 3本あるバルブのうち1本しか残ってないので、ほかに入札者がなく、たしか1,000円で落札した記憶がある。もちろんこのままでは演奏はできないが、バルブ1本あれば、簡単なリフは吹けるので、これをユーフォニウムのマウスピースとサックスのマウスピースの両方で吹ける「コンバーチブル・タイプ」の「デモ用ユーフォニウム」に改造することにした。

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▼YAMAHAユーフォニウムYEP201MS(マーチング仕様・コンパーチブル・モデル)

 ギコギコ、トントン、カンカン、ギコギコ、トントン、カンカンと分解した管とトロンボーンのチューニング管を組み合わせて、まずはじめにB♭のナチュラル・ユーフォニウムにした(吹くとB♭の音がでる)。

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 ただ、このままでは倍音列の音しかでないので、バルブをギコギコギコと切断し、ユーフォニウムの「コンペイセイティング・バルブ」みたいな感じでくっつけ、迂回管を調整してFに近い音を出せるようした。

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▼ユーフォニウムの「コンペイセイティング・システム」

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▼「シングル・ピストン・システム」(3番バルブ)

 音程はわるいが、これでリフが吹けるようになった。「デモ用トランペット」をつくったときに書いたように、「抗議やデモではコールの声が主役であり、楽器はあくまで、コールの声を大きくし、強くし、はずみをつけるためのものなので、管楽器の場合も、ドラムと同様、コールのリズムとテンポにあわせ、単音もしくは2つか3つの音だけをストイックに吹きつづけるのがよいと思っている」。

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▼イルコモンズのデモ用トランペット
http://illcomm.exblog.jp/17100789/

 それはユーフォニウムでも同じである(あと、バルブのシリンダーは結構重たいので、1本だと軽くていい)

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 これにテナーサックスのマウスピースを挿して吹いたのが、さっきの「ディストーションがかかったベースのような音」なのだが、実はこれにはお手本がある。これがそうである。


▼BACの「サクソフォニウムとサクスボーン」

 すごい音である。この演奏はむちゃくちゃだが、かつてローランド・カークが、トランペットにソプラノ・サックスのマウスピースを挿して「バイバイ・ブラックバード」を演奏してみせたように、吹き方を工夫すれば、実はかなりコントロールできる。そのローランド・カークは、これとは反対に、テナーサックスにユーフォニウムのマウスピースを挿したものを「サクソフォニウム」と呼んでいたし、トロンボーンにテナーサックスのマウスピースを挿したものを「サーロルオフォン」と呼んでいた。つまり、こんなふうに管楽器にまちがったマウスピースを接続する、いわば、電気を使わない管楽器の「サーキット・ベンディング」(=電子回路をわざとまちがった配線にしてノイズをつくりだす遊び)のほとんどは、たいてい誰かがすでにどこかでやっているし(たとえば、この「トランパフォン」など)、ある意味、やりつくされてもいるのだが、それでも一度は自分でもやってみたいと思うものである。そして、たいてい一度やれば、それで満足するものなのだが、なかには病みつきになってやめられなくなり、そればっかりやり続ける人間もいる。自分がそうである。

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▼(電気を使う方の)サーキット・ベンディング

BACのサクソフォニウムとサクスボーンの動画をみたとき、ふと思ったのは、このふたつの変な楽器をひとつにしたら、もっと変な音がでるのではないか、ということで、これはさすがのローランド・カークもやらなかったことである。で、やってみた。

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 ネットのオークションに出ていたヤマハのトロンボーン、であるが、よくみると、スライド管に穴があいてるので、誰も入札しない。

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 こういうものをみると、都築響一のこのことばを思い出す。「だれも買わない本はだれかが買わなきゃならないんだ」。ということで、1,000円で落札。

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ホームセンターで5mm×1mの真鍮のパイプ2本買うのとほぼ同じ値段だが、こちらにはスライド管やチューニング管、支柱のほか、ジョイントに使えるパーツがついてくるので得した気分である。

 さっそくギコギコ、トントン、カンカンと分解。

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 ギコギコ、トントン、カンカン。

 分解のついでに、ユーフォニウムの「プロクテター」もはずす。

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 最近のヤマハの楽器カタログをみると、こうした補強板はより大型化する傾向にあるようだ。その理由は「響きのダイナミックレンジが拡大する」とか「管体の剛性を高めることで輪郭のはっきりしたまとまりのあるサウンド」になるから、らしいが、自分はどちらかというと、輪郭がギザギザに乱れきった、まとまりのない破裂音のほうが好きだし、なによりデモでは、軽いこと以上に、音が大きいことが重要なので、迷わず、はずす。

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 それはサックスも同じで、サックスの場合、プロテクターだけでなく、ネックの裏についている「ボウガード」もはずしてある。そのほうがリードの振動が管にダイレクトに伝わり、鳴りがいいように感じるので、そうしてる。ところで、セルマー社の最近のカタログをみると(自分は新品のものにはまったく興味がないくせに、最新カタログをみるのが好きなのだ)、「シリーズⅢ」のサックスではヤマハとは逆に、「楽器本来の鳴りをシビアに求めた結果、ロゴプレートの削除やスモールデザインのリングを新たに設計するなど、響きをスポイルするパーツは極力排除・少量化し、ボアと材質のみのよりシンプルでピュアな響きを再現」とか、「ネック全体の響きをより効率よくアウトプットするために極限までシェイプし少量化に成功」とか、「ボディの響きを最大限に引き出すために、ボディにハンダづけさせる台座などのパーツを少量・小型化することで接着面積を極力小さくし、楽器本来の鳴りを生かします」と書いてあるので、そんなにまちがったことをしてるのではないのかもしれない。ただ、セルマーがシビアにめざした極力と極限をとびこえて、その向こう側にいっただけのことだ。セルマーには楽器製造者として守らなければならない楽器の堅牢性や耐久性があるが、自分にはそれがない。楽器がへこんだら自分でたたきだし、まがったら自分でまげなおすので、おそれるものはなにもない。

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 それはともかくとして、サックスに関して自分が最大限にひきだしたいのは、セルマーがめざした、ピュアな響きや効率的なアウトプットではなく、かつて「悪魔の角笛」と蔑まれ、ナチスに「退廃芸術」とよばれ、ロシアでは収容所送りにされた、サックスの持つ不埒さや淫らさで、その獣性の響きは、政治や社会に口出しをするなどとんでもない、と考えられているデモスたちが行うデモに向いていると思っている。なんだか話がそれたので、作業にもどる。

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 穴のあいたスライドの使える部分をギコギコと切り出し、ユーフォニウムにサーキットベンディング接続すると(電子回路にたとえると、さしずめスライドは「無段階の可変式抵抗器」で、バルブはON/OFFスイッチのようなものだ)、ちょうどうまい具合にE♭になった。ピストンを押すとC♯がでる。スライドをのばした状態でピストンを押すとBとB♭がでる。あはは。「ポッケにロープ、ロック、石ころ、これだけありゃ、何でもできる、 一発天国、ピクニック、連れてってやるから、ビクビクすんな、ポッケにロープ、ロック、石ころ、いつもしのばせてうろつく、こいつが大人のテクってもんだ」(ECD)ってなもんで、E♭、C♯、B、B♭、これだけありゃ、なんでもできる。デモや抗議にはこれで十分で、E♭、C♯、B、B♭という下降するリフはわるくない。これが大人のテクってもんだ。サックスのマウスピースで思い切り吹くと、ポリバケツの底が破れたような音がする。管楽器なのに、トラメガみたいなフィードバック・ハウリング音がする。ユーフォニウムの大きなベルの振動がスライド管に伝わって、そうなるのだろう。ダブステップに使われる暗黒アナログ・シンセみたいな音がする。それは「いくらなんでも、これはヒドイ」というくらいダークな音で、国会や官邸にむかって吹き散らすには、ぴったりの音である。まさにマイケル・シーゲルが書いているとおり。


▼「アマデウス」のダブステップミックス

 「サックスはまぎれもなく「悪魔の楽器」であり、人はその「手先」となる」
 (マイケル・シーゲル「悪魔の角笛」より)

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▼イルコモンズ作 「怒りの重火器サックス」(2013年)

 これを肩にかついで、標的めがけて構えると、怒りの重火器みたいである。

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 バルブを1本にし、プロテクターなどをはずしたので、総重量は3.1キロ。アルト・サックスとほぼ同じくらいで、ユーフォニウムとトロンボーンという決して軽くない2つの楽器を合体させた割には軽い。問題はこれがはいる楽器ケースは世界中どこをさがしても存在しないということである。これもいつか、自分でつくろう。

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[参考]
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 バストロンボーンよりも管長は短いが、ベルとボアはバスよりもかなり大きい。サックスのマウスピースで吹くと、チンバッソみたいな音がする。

[おまけ]
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悪魔のサックスのマウスピースを、天使のトランペットや、妖精のホルンにさすことのできる「金管/木管変換プラグ」(イルコモンズの「管楽器サーキットベンディング・ツールキット」より)

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「首相指示、原発ゼロ政策を見直し 経済連携も」
 「安倍晋三首相は25日午前の日本経済再生本部で、成長戦略の策定に向けた10項目の課題を関係閣僚に指示した。「2030年代の原発ゼロ」を掲げた民主党政権のエネルギー戦略をゼロベースで見直すことや、経済連携の推進、輸出拡大などによる「攻めの農業政策の構築」などを求めた。首相は会合で「これまでの発想にとらわれず、次元の違う政策をお願いしたい」と述べた。検討結果は6月までにまとめる成長戦略に盛り込む。首相指示は、23日の産業競争力会議で出た意見を踏まえた。茂木敏充経済産業相に求めたエネルギー政策の転換は「安定供給やコスト低減」を重視した。」(2013年1月25日 共同通信)

 「これまでの発想にとらわれない、次元のちがう」抗議の音をきかせてやる。
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by illcommonz | 2013-01-25 11:50
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