▼ティモシー・ベネット監督「世界の終わりで生きる」(全長版)
(原題="What A Way To Go: Life at the end of Empire")
2007年 123分 日本未公開 日本語字幕なし
[出演] デレク・ジェンセン、シェリス・グレンディニングほか
[公式サイト]
http://www.whatawaytogomovie.com/
「私たちの社会が形成された状況を考慮すると、私たちの社会においては、このような手記の作者に類する人物の存在はありうるどころか、必然なのである。私はごく最近の時代の特徴的な人物の一人を、普通より少し際立たせて、大衆の面前に引き出したかったのだ。これは、いまだ生きている世代の一つの典型だ。この人物は、自分自身と自身の意見を紹介し、そしてどうやら、彼が我々の中に現れた、そして現れなければならなかった理由を明らかにしようとしているようである。」(フョードル・ドストエフスキー「地下室の手記」)
いまのこの時代の「地下室の手記」ともいえるような、気が重たくなるドキュメント映画。いったい何が世界をこんなにめちゃくちゃにしてしまっているのか、いったい何が人の心をこんなにくるわせてしまっているのかが、滔滔と語られてゆく。では、この時代の世界と人間が向かっている「破滅への道」からぬけだすにはどうすればいいか、そのこたえは、おそらく誰もが、どこかで聞いたり、読んだり、あるいは、感じたりして、とっくに気づいてもいるし、また分かってもいるはずなのに、いつもあとまわしにしている、あのごくありふれたこと。人間には、これほど世界をめちゃくちゃにし、人の心をくるわせることのできる「力」があるのだから、その力の「向きを変え」ればいいということ。これから私たちが向かうのは、かつて私たちが歩んできた道。と、そんなふうに観た。