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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼ナチュラル・ユーフォニウムのアブノーマルな音色
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 ドラム隊の友だちから、ユーフォニウムをもらった。

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 ある夏の日、よっぱらった勢いで、ついうっかりオークションで落としてしまった「落としちゃったホーン」らしい。YAMAHAのYEP201である。むかしからある、YAMAHAでいちばん安いユーフォニウムである、

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 YAMAHAのYEP201である、のだが、ピストン・シリンダーがない。1本もない(入札した後に気づいたらしい、あはは...)。これでは吹けない、いや、吹けるが、音はしない、ほんとの「サイレント・ブラス」である。ピストンだけ手に入れることもできなくない(うちには1本だけある)が、高くつくので、「改造でも、パーツどりでも、なんでも好きに使ってちょうだい」と云ってくれたので、もらった。ありがとう。

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 さっそく検品する。迂回管が断裂してる。仮にピストンがあっても、ここから息がダダ漏れする。

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 抜き差し管が固着して、抜き差しならなくなっていたので、バーナーで炙って、固着物を炭化させ、摘出する。

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 そのほか、支柱のハンダはずれを修繕した痕もあり、全体にまんべんなく凹みがある。半分以上つぶれてしまっている管もある。この痛み具合からみて、中・高校のブラバンで長年使われていたものである可能性が高い。個人所有の楽器がこうなることはあまりない。ピストンが3本ともないのは、廃棄処分するときに、予備の部品として部品どりされたからだと思う。中古の管楽器には前の持ち主の吹きクセがついているので、避けたほうがいいという説があるが、もしそれが本当なら(たぶんそんなことはない)、中・高校のブラバンで、何百人ものこどもたちに吹かれてきた楽器など、さしずめ、クセの収蔵庫である。そういうみんなに共有されきたものが好きだ。ピストンこそないが、まだまだ使える部分がたくさんあるので、分解しよう。

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 まずは、恒例の入浴シーン、といっても、水戸黄門の由美かおるではなく、YAMAHAのYEP201の全裸入浴シーン(無修正)である。水でふやかせて、管内部の汚れをおとす。

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 ひと風呂あびて、さっぱりしたところで、拷問がはじまる。まずマウスパイプとピストン部をつなぐ管を切断。「また、つまらぬものを斬ってしまった」(石川五右衛門)。

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 つづいて、火あぶり。YEP201は、ピストンケージと迂回管がハンダづけされているので分解しやすくていい。

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 支柱、指かけ、譜面立て台、はずせる部分は、すべてはずす。

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 分解完了

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 曲管は、改造迂回管をつくるときに重宝する。

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 ハンダを落として、きれいにする。

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 もう一度、管内を、せっけん水で洗浄して、パーツ取り完了。

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 ピストンを失くした本体。以前、海外の音楽プロジェクトで、音階のことを気にせず、気軽に管楽器の音がたのしめるように、管楽器のピストンをはずした、改造ナチュラル・ホルン、ナチュラル・トランペット、ナチュラル・チューバ、ナチュラル・ユーフォニムだけのこどもの楽団があった。

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 【ナチュラル・トランペット】「ナチュラル・トランペットとは、バルブの機構が1815年頃に発明され、管の長さを変えるピストンやロータリーが取り付けられる以前のトランペットで、元々は一本の円筒形の直管にベル(朝顔)が付いた楽器であった。歴史的には紀元前7世紀のアッシリアやヘブライ語聖書(所謂旧約聖書)、ギリシア、古代ローマまで遡ることができるほどの歴史ある楽器で、今日でもヨーロッパ以外の地域で同族の楽器が使用されている。」

 ピストンがないと、出せる音は「自然倍音」(トランペットだと、ド、ソ、ド、ミ、ド...)だけで、シンプルなフレーズしかできないが、吹きまちがいがないので、のびのびと音がだせる。おもしろいので、以前、同じくYAMAHAのYEP201のジャンクをオークションで落札して(そのときは1000円くらいだった)、自分でつくってみたことがある。重たいピストン部分がないので、管全体がよく鳴る。ピストン・シリンダー装置という、産業革命のテクノロジーがもちこまれる以前の、前近代的な音がした。近代テクノロジーの効率性によって失われた、角笛的な野生の響きがした。そして、なにより軽い(そして安い)。ただ、そのときつくったナチュラル・ユーフォは、そのあと、トロンボーンのスライドと、ユーフォのピストン1本を混在させたポストモダン仕様(別名:怒りの重火器サックス)に再改造したので、この機に、もういちど、原点回帰してみることにした。

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 部品どりした迂回管を利用してベルとマウスパイプを直結する。いわば、管楽器のサーキット・ベンディングである。

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 以前やったときはB♭にチューニングしたが、意外とつまらなかったので、今回はBに変則チューニングした。必要なときは、抜き差し管をぬいてやや高めのB♭まで下げられるし、どういう加減なのか、Bのほうが息のアタリがよい感じなので、Bにした。というか、音程を気にしないのが、ナチュラル・ユーフォのいいところなので、ラフにチューニングした。

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 マウスパイプと本体を半田でロウづけする。

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 マウスパイプを本体に支柱で固定する。これ大事。

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 はい、できあがり。半日でできた。吹いてみたら、いい音がした。

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 ユーフォのマウスピース以外に、トロンボーンの細管や、トランペットのマウスピースでも吹いてみたが、どれもレスポンスがいい。プッと吹くと、ボンと鳴る。

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 ちなみに、これがただしいユーフォニウムの図。

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 さらに、改造アダプターをつけて、テナーサックスのマウスピースで吹いてみると、ダブステップで使うアナログシンセのようなダークな重低音がでた(アダブターが長いので、ちょうどB♭になる)。これは以前、デモ用のサックスで試していたのだが、実はひとつ問題がある。マウスピースからベルまでの長さが2m70cm近くあって(トロンボーンとだいたい同じ)、しかも、マウスピースから2番管までの管が、サックスの管よりもずっと細いので、吹いたときの抵抗感が強く、タンギングのキレがわるい。なので、ペヤングのふたでつくったプラスティックのリードに替えて吹いてみたら、すごいことになった。サックスのリードは、金管のマウスピースとちがって、口の閉め方次第で、下記のように、第50次倍音くらいまで出せる。

 2次倍音(基音の1オクターブ上)、3次倍音(完­­全5度)、4次倍音(基音の2オクターブ上)、5次倍音(長3­度­)、6次倍音(完全5度)、7­次倍音(短7度)、8次倍音­(基­音の3オクターブ上)、9次倍音(長2度)、10次倍音(­長3度­)、11次倍音(増4度)、12次倍­音(完全5度)、­13次倍­音(長6度)、14次倍音(短7度)、15次倍音(長­7度)、1­6次倍音(基音の4オクターブ上)、17次倍­音(­短2度)、1­8次倍音(長2度)、19次倍音(短3度)、20­次倍音(長3度­)、21次倍音(完全4度)、22次倍­音(増­4度)、24次倍­音(完全5度)、25次倍音(増5度)、26­次倍音(長6度)、­28次倍音(短7度)、30次倍­音(長7­度)、32次倍音(基­音の5オクターブ上)、34次倍音(短2­度)、36次倍音(長2­度)、38次倍音(短3度)、40次倍­­音(長3度)、42次倍­音(完全4度)、44次倍音(増4度­)、48次倍音(完全5度)­、50次倍音(増5度)←ここまで実際に出せる人がいる。その動画。

 この倍音を同時に出すと、オーバートーン(重音)になる。ペヤングのリードは、コントロールこそむずかしいが、フリーキーな倍音がよくでる。それをナチュラル・ユーフォにさして吹いたら、もはや「ナチュラル」とはよべない、「アブノーマル」な音がでた。特にスラップ奏法で吹いたときの、アタックがすごい。グリッチ系テクノみたいなぶっこわれた音がする。ペヤングのリードはペラペラなので、アンブシュアだけで、G♯、A、B♭、F♭の音が割と簡単に出せる。これは、おもしろいので、ユーフォをくれた友だちにみせて、吹かせてあげよう。

(おまけ)

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仕組みはナチュラル・ユーフォニウムだが、素材がアブノーマルな手作りユーフォニウム。いいね。
[PR]
by illcommonz | 2013-08-27 14:10
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