はじめに、ふた、ありき
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このあいだ、新宿・ゴールデン街の裏手にある遊歩道を、イルコモンズがぷらぷらと歩いて
おりましたところ、道のわきの植えこみのところに、ねこさんがいらして、何かをじっとご覧に なっていたので、「おや、ねこさんは何をそんなにご覧になってるのでしょうか」と思いまして、 ねこさんがご覧になってるものを見てみて、びっくり仰天いたしました。そのねこさんは 「ネコにエサ等を与えることはやめて下さい」と書かれた看板をご覧になってたのでした。 中野区のねこさんたちがお話するのは、イルコモンズも知っておりましたが、失礼ながら、 新宿区のねこさんたちが字をお読みになれるとは思ってもおりませんでしたので、本当に びっくりしました。あんまりびっくりしたせいで、急にお腹が痛くなりまして、それでどこかに お便所がないかと探しておりましたところ、道のわきの壁に新宿区から「無所属新人」で 選挙に立候補されたマックス・ウェーバーさんのポスターが貼ってあるのを見つけまして、 それでまたびっくりし、さすが新宿区は中野区よりずいぶんひらけているものだなと、 すっかり感心し、こう思ったのでありました、新宿区は小説よりもカフカである、と。 [追記] 「おじさん、そりゃそうだよ、なんたって、知事が文学者なんだもの」 「は、そうなのですか、それはちっとも知りませんでした。すると、知事さんは、 ねこさんがお嫌いなのでしょうか」 「いや、知事が嫌いなのは、ねこさんじゃなくて、カラスだよ」 「はて、それはまた、どうしてなのでしょうか」 「いやね、おいらが聞いた話じゃ、なんでも、ゴルフ場でいっぺん痛い目に あわされたらしくてってね、それ以来、目のかたきにしてるそうだよ」 「そうでしたか、でもそれはきっと知事さんがその前にカラスをいじめたからです。 カラスは人にいじめられると、そのいじめた相手に必ずしかえしをするそうです」 「へぇ、そうなんだ」 「はい、上野の博物館でカラスさんの展覧会を見た時に、そう教えてもらいました」 「なるほど、だったら、それは自業自得ってやつだね」 「はい、自業自得なのです。それに実は、このお話も文学でして、実在するその 知事さんとは関係のない、ただのお話、東京に伝わる現代の民話なのであります」 「すると、おじさんは、民俗学者なの」 「いえ、よくまちがえられるのですが、イルコモンズは民族学者であって、民俗学者 ではないのです」 「それって、どうちがうの?」 「よしきた、ホシノちゃん、それが知りたけりゃ、文化人類学解放講座がオススメだ。 なんたって解放講座ってくらいのもんだから、だまって座ればピタリとあたる、百発 百中、空くじなしの、出欠フリーサービス、テストは不正行為一切なしのカンニング・ ゼロ、つっこめウィリー、へこませアイズナー、がんばれグレーバー、夢とロマンの アクティヴィストアンソロポロジーコースに御一名様御案内だ!どうだ、うりうりうり」
by illcommonz
| 2005-12-06 03:36
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