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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼【悲報】「イルコモンズさんの作品は、(中略) 失われてしまいました」
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 「反原発美術館」の依頼で制作し、霞ヶ関の経済産業省前に展示された後、強制撤去されて、オークションにかけらけれることになったインスタレーション作品の、その後のこと。まずは、強制撤去のあと、2016年の暮れに丸木美術館に展示された関係書類をみてみる。

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▼「今日の反戦反核2016」展示風景(※画像はイメージです)

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「※イルコモンズさんの作品は、作家本人の希望により、民間業者の倉庫からの引取を行いませんでしたツイート参照)。よって、展示作品から失われてしまいました。イルコモンズさんの二作品が、その後どのような道をたどったかは、館内展示作品「強制執行調書(写)」をご覧ください。」(反原発美術館)

 このときの展示は、強制撤去された後に民間業者の倉庫から引き取られた作品をもういちど展示するアーカイブ展示で、これは、イルコモンズのインスタレーション作品が展示されていない理由を主催者が説明したパネルである。「強制執行調書(写)」とは、これのことである。

d0017381_13172731.jpg▼「強制執行調書(写)」(事件番号:平成28年(執ロ)第2395~2396号土地明渡執行事件)

 参考までに、強制執行から廃棄処分までの一連の経緯は、下記のとおり。

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 【Twitter版】
 ①【本日未明、「反原発美術館」から強制撤去された「現代美術作品」http://illcomm.exblog.jp/22612123/ http://illcomm.exblog.jp/22664800/ ※この作品に関して、作者は返還を求めない。半減期まで厳重保管を命じる。】
 ②「遺留品」としてオークションにかけられる「現代美術作品」 【売却期日通知書】事件番号:平成28年(執ロ)第2395~2396号土地明渡執行事件 「上記執行事件の遺留品を引き取らないときは、下記のとおり売却します」 (東京地方裁判所)

 【blog版】
 ①「反原発美術館」寄贈作品
 http://illcomm.exblog.jp/22664800/
 ②「反原発美術館」から強制撤去された「現代美術作品」
 http://illcomm.exblog.jp/23439576/
 ③イルコモンズ謹製「ヴゥードゥー・アーティヴィズム 経産省前天幕広場仕様」
 http://illcomm.exblog.jp/22612123/

 そして下の書類が「反原発美術館」による最終報告書で、自分もこれを読んではじめて、あの作品がどうなったのか知った。

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▲早川由美子編「イルコモンズ作品 その後」

 結果からいうと、経済産業省前から強制撤去され、イルコモンズが意図的に引き取りを拒否した作品は、はじめは東京地方裁判所の命令で、オークションにかけられるはずだったが、なぜかオークションは開催されず、なんだかよくわからない理由で、「適切に処分」されたらしい。それ以上のくわしいことは、「不明」である。ともあれ今回は、経済産業省にあれを強制撤去させたことがいちばん大事で、それで十分だと思う。もともと「グランギニョル芸術」とはそういうものだ。役目がすめば、世の中からたちまち忘れられ、人知れず、歴史の隘路に消えさるのみ。「作品」が処分されたことは自分にはどうでもいいことだ。むしろ問題は、呪物が消えてしまうと、かえって呪いの解除がむずかしくなるということのほうで、これはおそろしい。たとえば、こんな事件がある。

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「三重大の「神様」盗難、時効迫る「呪い危険」で話題」
 「津市の三重大学で7年前に起きた「怪事件」が迷宮入りしようとしている。パプアニューギニアの神様と信じられている像が姿を消し、持ち主が貼り出した「強い呪いがかかり非常に危険」のチラシが、ネット上で話題になった。像が見つからないまま、25日午前0時で窃盗罪の公訴時効が成立する。事件が起きたのは、人文学部の研究棟。2009年11月25日夕、同学部教授(文化人類学)だった石井真夫さんの研究室前から、パプアニューギニア・セピック川流域地方の伝統工芸品の像がなくなった。木製の像は高さ約1メートル、重さ約10キロ。祖先をまつる像としてあがめられ、守り神のような存在だという。被害に遭った三重大名誉教授は、こう話しています。「時効はあまり気にしていません。呪いに時効はないですから。」(朝日新聞 2016年11月22日)

 「呪いに時効はないですから」。そのとおりである。この神像の呪いと同じで、原則的に一度かけた呪いは、それが解かれるまで続く。呪いに時効というものはない。あっても百年とか、一生とか、七世代とか、有効期間が長い。今回の作品の場合、その性質上、呪いの期間は10万年に設定している。ところで、このニューギニアの神像が、いまだに見つからないのは、たぶん呪いの効き目が「危険」(ヤバ)すぎて、もう返したくても返せないような状態になっているからではないのかと思う。呪いというものを知っている人たちならそう考えるし、そして、人類学者なら気づいていると思うが、この貼紙それ自体が「呪いの札」であって、仮にこの紙がドアからはがされても、呪いをかけた側がそれを解除しない限り、呪いはつづき、それは、決して、決して、決して、決して、消えない。原発の呪いも同じで、それは10万年つづく。

 それはさておき、今回いちばん驚いたのは、オークションのために作成された書類に記されていた作品の鑑定評価額である。

d0017381_1317552.jpg▲「目的外動産目録(遺留品)」

  いちばん下にある「雑品入りフレコンバッグ」というのがそれで、なんと、400円である、400円、そう、よ・ん・ひ・ゃ・く・え・ん・なのである。おどろいた。これだと、材料に使ったフレコンバッグの値段の10分の1以下で、ほかにも、いろんな呪具の材料費と経済産業省までの電車賃まで含めると、制作費の20分の1の額である。原価を大きく下まわる、たたき売り以下の、捨て値である。

 みよ、これが、「400円の現代美術作品」である。

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 そもそも現代美術はお金にならない、とはいうものの、さすがにここまでとは思わなかった。つくればつくるほど貧しくなる、これは現代美術にかけられた呪いである。

(おまけ)「未公開写真」
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[撮影と記録] 早川由美子

 そういえば、Chim↑Pom の卵城くんも、こう言ってる。
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 「やっぱり福島の原発事故が起きてから、この五年間で日本の言論の自由度とか超下がったじゃないですか。それと同じように、美術館とかアートの現場も、がんがん政治的な理由で検閲とか規制とかがでてるから。でも五輪や「クールジャパン」など政府が国策として推進しようとしている文化の予算はあがっています(卵城竜太/Chim↑Pom)」(東京新聞 2016年11月20日)

 かくして、五輪やクールジャパンなど政府が国策として推進しようとしている文化の予算はあがり、一方、それに反対する文化の価値は最低レベルにまで引き下げられるということがよく分かったグランギニョルな個別具体例であった。

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[追記]

d0017381_1682251.jpg 現代美術の「撤去と処分」なら経験があるが、「保存と修復」にはあまり縁がなさそうだ。

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by illcommonz | 2017-02-25 04:49
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