はじめに、ふた、ありき
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"ANOTHER WORLD IS POSSIBLE?"(2007) [Image & Text:] Moeno Nagano [Music] Charles Paul "The Littlest Angel" (1945) Harold Arlen & E.Y.Harburg "Somewhere Over the Rainbow" (1939) (song by Sarah Vaughan) [footage] Unknown "Amateur Film Amusement Park" (Creative Commons license: public domain footage) [Remix] illcommonz -------------------------------------------------------------------- [解説] このヴィデオクリップは、平成19年1月11日に実施した、中央大学文学部の 「文化人類学」の後期試験の際に提出された、下記の答案をもとに、それを映像化 したものです。みたとおり、この答案はとてもよくできていて、ABCや点数ではとても 評価できないと思ったので、こうして映像化して評価することにしました。 ■「ANOTHER WORLD IS POSSIBLE? 人生ゲーム」 ディズニーの袋で飾られたプレゼント。それを貰う人はその包装紙が、中身がどこで誰に作られたのか、いつだって知らない。 [取り扱い説明書] ○盤ゲーム (*コマなし) ○用意するもの:想像力 ○対象:0才~大人向け ○取り扱い注意: 買い物族と思われる人と 一緒に楽しんでください。 すくなくとも私と私が知る限りの人は皆、資本主義経済の中を生きている。 働き、誰かに買われるものをつくりながら、見知らぬ誰かが作ったものを 買うことを毎日毎日くりかえしている。その縮図がプレゼントしたゲームだ。 生まれて死ぬまで、さながら人生ゲームのように、自分の幸せ、お金と富を 求めて一日一日を進む。さぁ、人生ゲームをしてみるといい。あっちも こっちも買い物買い物。 私たちは想像しなければならない。私たちのこの資本主義の世界が一体、 誰によって支えられているのかを。生まれてこのかた、想像してみたことが あるだろうか?ディズニーの可愛いグッズやブランドもののナイキのシューズ。 その裏には途上国でつくられたスウェットショップの存在があり、そこでは 低賃金ともよべない給料で、長時間働く人がいる。その人たちの苦しみは、 私達に届かない。日本で毎日大量に消費されるコンビニのオニギリは誰が つくるか知っているだろうか。私はその現場に行ったことがある。 働いていたのは私と同世代の女の子だった。日系人。彼女等はアルゼンチンや ブラジル。チリから来たと言った。多くの企業は低賃金で働ける人が欲しい。 これからも彼女たちの祖国は企業の工場として狙われ続けるのだろう。 ちょっとゲームの手を掠めて、まわりをみてごらん。 物をつくるには人がいる。その人の祖国にもひとがいるんだよ。 私達は夢のなかで生きているのかもしれない。 地球の裏側にいる人間もすべて私たちに準ずる 生活を送っているという夢をみて生きているのかもしれない。 だからなんとなく、その夢を壊しそうな「オカシイ」考えをする人は、 嫌いなのだ。でも、その夢も終わる。現実はそうではないのだから。 それでもまだこれが、おかしいことに聞こえるだろうか? 友人がその手でつくってくれたものを贈られて粗末にする人はいない。 見知らぬ人に作られた何かを大切に思うことができる世界は、 知らない人を友人と思える世界に似てる。 それはとても人間の心らしい優しい世界ではないだろうか? もうひとつのせかいは... もうひとつの世界は人がひとに戻って、はじめて成る世界のことだ。 いま現在の世界は、人がひとらしくなると、とたんに警備隊が 押し寄せてくる。暴動だと名を付けて優しい行為を脅威にみせてしまう。 資本主義に住む人間が皆で人間の心をとりもどすことが一番必要だ。 「自分のいやがることを人にやってはいけません」 昔、善悪解らないこどものころに言われたことを思い出して、童心にもどればいい。 想像力を持って遠い地球のどこかの痛みを知ればいい。 想像力を持って未来のひとの痛みを知ればいい。 さぁ、そんなゲームはもう終わりにしよう。人にもどろう。 --------------------------------------------------------------------------- [追記] これ以外にも、よくできた答案がたくさんあったので、それをオブジェにしたり インスタレーションにしたものを補講の時間に教室内に展示します。今年度の受講者 や来年受講しようと思っている人はじひ見に来てください。そのほかに補講では、 今年の講義ではみることができなかった、もうひとつのクラのドキュメントフィルムや 「キロメートル・ゼロ」などみます。もし可能なら時間を延長して「コヤニスカッテイ」の 続編である「ナコイカッティ」も見ます。「文化人類学解放講座デジタル全集DVD」に 収録したもの(「デデヘーワの庭」「リオの奇跡・こどもは語る」「ニュージェネレーション・ オブアクティヴィスト」など)でリクエストがあれば、それも可能な限り再放映します。 また質問、相談、意見交換その他、なんでも受けつけますが、今日は講義はしません、 今日は答案をつくった人たちのプレゼンテーションがメインです。では、のちほど。 [Link] 文化人類学解放講座
by illcommonz
| 2007-01-25 09:59
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