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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼空飛ぶマルチチュード(第三話)
▼空飛ぶマルチチュード(第三話)_d0017381_0355786.jpg
さて、ネグリの回答ですが、まず、
この質問を聞いた時のネグリの表情は
というと、雲の切れ間からさしこんだ光が
さぁぁっと顔一面に広がってゆくような
そういう笑みでした。それから、この後に
もうひとつ別の質問があって、そのあと、
「それぞれ洞察に富んだ質問をいただき
感謝します」という口上を述べたネグリは、
長い時間をかけて、まず二つの質問への
回答からはじめました。

ひとつは、そのものずばりマルチチュードの
定義に関するもので、マルチチュードは
「大衆でもなく人民でもない」という、
テキストに書いてある通りの講釈を述べた後、
「マルチチュードというのは"新しいプロレタリア"
ではないのか」とよくそう云われることがあり、
はじめはそれを否定していたが、今はたまに
「そうだ」ということもあるという回答でした。


▼空飛ぶマルチチュード(第三話)_d0017381_0582228.jpgその後、もうひとつの別の質問への回答に移り、
その後に、いよいよ順番がまわってきたのですが、
ここでなんとも運の悪いことに、
同時通訳のレシーバーの調子が急に悪くなり、
通訳の音声が途切れてしまいました。
他のレシーバーもそうだったようで、
みんな一斉にレシーバーの向きを変えて
何とか音声をキャッチしようと悪戦苦闘してましたが、
なかなか音声はもどらず、そんな中で
かろうじて聞き取れたのは...

……………デ・シーカの『ミラノの奇蹟』は、私の大好きな映画で……
…………………『帝国』に引用したのは「知的引用」…………アレは
何て言いましたっけ、ぅうん、忘れてしまった、ねぇ、ほら、こう…………
こんな風に…………………それで最後にね、みんなでほうきにのって
空に飛んでゆくんですよ…………アレは社会主義的手法だと言われ
ましたがね………………以上

という感じで、あの満面の笑顔の割に、回答そのものは比較的
あっさりしたものでした。正直、これは「肩すかしをくらったかな」
という感じもしましたが、もともと、この質問の魂胆は、せっかく
リアルタイムのストリーミングビデオで映像を流しているのだから、
このイレギュラーな質問にネグリがどんな表情と仕草で応答するか
を見てみたい、というところにあったので、この回答はそれなりに
十分に満足にいくものでした。このフックのある質問に対しネグリは
十分に用心深く、それでもなお、陽気な表情と快活な仕草で回答を
こちらに投げかえしてくれました。

▼空飛ぶマルチチュード(第三話)_d0017381_1135584.jpg 音声こそ消えましたが、アリスの童話にでてくる
チェシャ猫のそれのように、笑いだけが残った。
見たかったのは、まさにそれで、ネグリと
ハートが慎重にそう書いてるように、そもそも
マルチチュードとは特定の人物や集団によって
代理表象されるものではないので、特定のなにかに
ひきつけて語ってしまうのは得策ではないわけです。
無論、それはよく理解できるのですが、とはいえ、
そんなマルチチュードにも「面影」や「シルエット」は
あるはずで、それをネグリの表情や仕草をメディアとして、
この目で見て確かめたかったわけです。


その時のネグリの表情と仕草を、いまここでお見せできないのは
残念ですが、そのとき映像を通して確信したのは、マルチチュード
というのは、決して気難しいものではなく「あかるいもの」だ
ということです。アカデミックな政治哲学の研究者にとっては
どうでもいいことかもしれませんが、在野の読み手にとっては、
このマルチチュードの心象を得られたことが、このビデオ会議での
最大の収穫であり、歓びでした。

ところで、実は、この話はまだ終わりではありません。
このお話にはさらに続きがあるのですが、それはまた
次回に(つづく)

【結話へ】 
by illcommonz | 2005-05-20 00:04
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