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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼素人の交換
▼素人の交換_d0017381_23103373.jpg世間には、素人がむやみに手を出してはならない、とされるものがある。そういうものはたくさんあるが、たとえば、サックスのタンポの交換がそれである。下のネットのQ&Aのやりとりをみれば、そのへんの事情がよく分かると思う。

【質問】「ビンテージサックスが好きで購入予定ですが、楽器屋さんにオーバーホールを依頼すれば高額になるので自分で全タンポ交換をしたいと思っています。難しいのは承知ですが、トライするつもりです。タンポは全部で10000円以下でネットで購入できるのですが、接着剤は何を使えばよいのでしょうか?松やにとかでないとだめでしょうか?たとえば工作用の白いボンドなど。またバネも購入したいのですがどなたか入手できるサイトをご存知ありませんか?」

【回答】「半世紀以上サックスを吹いていますが、タンポ交換やバネの調整は怖くてできません…知識がないのでしたら、やめた方がいいかと思いますが。たとえ見た目はまともでも「楽器の形をしたおもちゃ」ができあがってしまう可能性があります。いっぺん騙されたと思って、一流の手によるオーバーホールを受けてみて下さい。アルトなら、タンポ交換を含めてどんなに高くても7~8万だと思います。何と言っても、吹きやすさが全く違います。うまく吹けなくて悩んでいた所も調整に出すことによって解決することも多々あります。あ、最後ですみませんがバネは楽器屋さんに注文すればいいと思います。」
(教えて!goo 「サックスのタンポ交換を自分でやります」より)

【質問】「サックスやクラリネットのタンポ交換を自分でしたいと考えているのですが、たくさんわからない事があります。下に箇条書きさせてもらいます。「まずタンポのセットなどの交換部品だけなどを何処で買えばいいか」「タンポを交換する際に必要なもの(タンポを接着するセラック?など)どんなものがあり、何処で買えるのか?」「上の二つに関しては出来ればオンラインショップなどを教えていただけると非常に助かります」「タンポ交換やその他の部品交換についてわかりやすい本や雑誌WEBページなどはどんなものがあるか?」「説明に不備があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしますm(_ _"m)ペコリ」

【回答】「リペア職人になることを目指しているのでない限り、自分でせずにリペアマンに任せた方がいいですよ」
(Yahoo!知恵袋「サックスのタンポ交換を自分でしたいと考えているのですが」)

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という具合であり、この回答はどちらも「原則」としては「ただしい」。しかし、時と場合と境遇によっては、原則からはずれた答えが必要なこともある。素人が手をだしてはいけない、ということは分かっていても、そうせずにはいられないときもあるのだ。「楽器の形をしたおもちゃ」でもいいから、自分でなんとか修理して、音が出るようにしたい、と思う素人もいるのだ。先週のイルコモンズがまさにそうであった。夏のはじめごろ、Yahoo!オークションで、中古のテナーサックスを手に入れた。たしか5,000円くらいだったと思う。G8サミットのデモで使うために購入したのだが、その前に逮捕されたので、結局、使うことはなかった。かなり古いもので、しかもケースがなかったので、東京から札幌、そして札幌から東京へと運ぶあいだにタンポが2つなくなり、ピンもはずれてしまった。そうなると、サックスというものは、うんともすんとも鳴らない。ほんのちょっとしした息漏れがあっても、音がしないのだ。やがて秋になり、すこし時間ができたので、修理に出すことにした。むかし独学ではあるが、ソプラノサックスをやってたことがあるので、タンポの交換や修理は楽器店に頼むものだ、ということは知っていた。都内にある大手の楽器量販店にもってゆき、「中古のサックスなんですが、修理して使いたいので、ちょっとみてくださいな。」と云って店員にサックスを渡すと、キーをひととおりパコパコ動かした後、開口一番、「これはダメですね。タンポを全部交換して、バランス調整したら、8万かかりますよ。修理するより新しいものを買ったほうがいいですよ」。「・・・・・」。たぶん店員に悪気はないのだろうが、かちん、ときた。「修理するより新しいのを買った方がいい」はイルコモンズには云ってはいけないセリフ、イルコモンズがいちばんキライなことばである。新しいものを買ったら、これはどうなるんだ、役立たずの鉄のガラクタになってしまうじゃないか。これを聞いて、絶対に修理しようと思った。しかし8万円は出せないので、自分でやろうと思った。失敗してもいいから、やる。やれば、できる。ダメでもともと、失敗したら(失敗したときだけ)あきらめ、カズー笛のサックスに改造する、というつもりで修理をはじめた。

▼素人の交換_d0017381_2305477.jpg大手の楽器店はメーカーに修理を出すため、タンポのような交換部品を置いてないので、Yahoo!オークションでタンポを手に入れた。セットで5,980円だった。本体よりも高いが、これでもまだ安いほうである。あとはネットを調べて最低限必要な道具をそろえた。バーナーはないので、ライターであぶって、樹脂を溶かし、古いタンポをひとつづつはずしていった。リペアマンがやるように、完全に分解してしまうと、あとで連結の調整がたいへんになるので、反則ではあるが、分解は最小限にとどめた。タンポは何年かに一度交換して使うものなので、タンポを貼り付けるのには、接着剤ではなく、溶かせば何度でも貼りなおせる樹脂を使う。ここもズルをして、カーペット用の強力両面テープを使った。たしかに昔は、樹脂しかなかったかもしれないが、いまは両面テープというものがあるのだから、それを使えば何度でも貼りなおせる。プロのリペアマンが見たら絶対に怒ると思うが、いずれお金ができたら、そのときは樹脂を使って貼りなおしてもらうので、それまでの仮どめとして、両面テープを使った。結局、タンポとキーホールのあいだにできてしまうコンマ何ミリかのすきまをうめるために、何度も何度も何度も何度も貼りなおすことになったので、両面テープにしてよかった。

▼素人の交換_d0017381_2314791.jpgタンポとキーホールのあいだにほんのちょっとでもすきまがあると、息漏れして、音がでないので、みようみまねで、サックスのなかに電球をいれ、暗がりで光がもれてないかを念入りにチェックした。キーホールをゴムのパッドでふさいで息漏れの有無を確かめながら、ひとつづつ、すきまをうめていった。そうしてようやく、はじめはうんともすんとも鳴らなかったサックスが息をふきかえした。でも低音がまだ不安定だ。結局、まる一週間かかって、低音もなんとか出るようになった。本当はもっと軽く吹いても出るはずなのだが、このへんが素人の限界である。ま、使い込んでゆけば、タンポもだんだんなじんでくるはずである。というわけで、タンポの交換が終わったときには、さびとホコリだらけだった古いテナーが見違えるようにきれいになっていた。ちゃんとした工具がないので、指が痛くなった。素人の三流の手とはいえ、ひさしぶりに手を動かして、とても気分がよい。

▼素人の交換_d0017381_2322076.jpgこの一週間、ブログの更新がとまっていたのは、このためである。さて、このテナーでこれから何をするのかといえば、ラディカル・マーチングバンドをつくるのである。たとえ「楽器の形をしたおもちゃ」の音でも、それが大勢で音を出しながら、やって来ると、俄然もりあがる場というのがある。デモをもりあげるラディカル・マーチングバンド、やりたいのはそれである。
by illcommonz | 2008-10-26 23:13
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