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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼「文化人類学原論」:文化人類学解放講座
▼「文化人類学原論」:文化人類学解放講座_d0017381_1243876.jpg
▼「クラ~西太平洋の遠洋航海者」1971年 67分 カラー
[監督] 市岡康子 [プロデュース] 牛山純一
[ナレーション] 久米明 [音楽] 佐藤勝

 トラディショナルな「文明批評人類学」から最新の「IT文明人類学」へ、そして「地球人類学」へと、その視野をひろげてきた「文化人類学解放講座」ですが、ここでいったん軌道修正して、オーソドックスな「文化人類学」にもどります。今回の講義では、ニューギニア、トロブリアンド諸島の傑作民族誌映画「クラ~西太平洋の遠洋航海者」をみます。

 いまや地球を完全に覆いつくしているかのようにみえる「市場経済」にとって「もうひとつの経済」である「贈与経済=ギフトエコノミー」のモデルである「クラ・トレード」をまなぶことを通じて、文化人類学という学問の「最終的な目標」やその「最大の報酬」そして「可能性」などについて考えます。

▼「文化人類学原論」:文化人類学解放講座_d0017381_1262475.jpg
 「こうした遠い国の習慣をみていると、これらの原住民の野心や努力に対するある連帯感が胸のうちにうまれてくるだろう。かつてたどったことのない道にそって、人間のこころがあきらかになり、迫ってくるだろう。わたしたちとは遠くはなれ、不思議な恰好をしてあらわれた人間性を理解することによって、わたしたち自身にもまた光があてられるだろう。それだからこそまた、これら原住民とその制度や習慣を理解したかいもあったし、わたしたちはクラから利益を得た、と感じる根拠ができるだろう。」

 「原住民に関する研究で、ほんとうに私の関心をひくものは、彼らのものごとに対する見方や世界観であり、原住民がそれによって生きていく生活とそこで呼吸されている現実の息吹きである。あらゆる人間の文化は、その文化をつくる者たちに、一定の世界観をあたえ、はっきりとした人生の意味を示してくれる。人間の歴史をめぐり、地球の表面をさまよい歩いてみて、私の心をもっともとらえ、異文化にしたがって、異なるタイプの人間の生を理解しようという気持ちにならせたのは、人生と世界をさまざまな角度からみる可能性だった。人間の科学にとりくめるかどうかをきめるのは、さまざまな文化の多様性と独自性に愛情を感じるかどうかである。私たちの最終的な目的は、私たち自身の世界の見方をゆたかにし、深化させ、私たち自身の性質を理解して、それを知的に、芸術的に洗練させることにある。」

 「民族誌学者が見失ってはならない最後の目標は、原住民のものの考え方やその生活との関わりを把握し、世界についての見方を理解することである。私たちは人間を研究しなければならない。人間の最も本質的な関心、いいかえれば、人間をつかんでいるものを研究しなければならない。文化が異なるにしたがって、価値はすこしづつ異なっている。人びとはそれぞれ異なった目標を追い求め、異なった衝動にしたがって、異なったかたちの幸福にあこがれる。そうした幸福の実質がなんであるかを理解したいという気持ちを持たずに、制度や習慣、法律を研究したり、行動や心理を調べることは、私にいわせれば、人間の研究から期待することのできる最大の報酬を失うことである。」

 「偏見と悪意と復讐心がヨーロッパ諸国の人びとのあいだを引き裂き、文明・科学・宗教の最高の成果とされ、称賛されてきた理想を風に吹き飛ばしている。こうした今日の時代ほど、文明社会が心の余裕を必要としている時代はない。人間の科学は、もしそれが徹底的に洗練され、掘りかえされるなら、他者のものの見方のうえに立脚した広い知識と寛容さと、心のゆとりを私たちに与えてくれるだろう。民族学研究は、科学的研究のなかでも、最も深い意味において哲学的で、啓蒙的で、高度な学問になる可能性がある。だが、悲しいことに、民族学にとって時間はかぎられている。この学問の真の意味と重要性が手遅れにならないうちに、ほんとうにわかってもらえるのだろうか?」(以上、B・K・マリノウスキー「西太平洋の遠洋航海者たち」)

 「人類学は、あらゆる種類の地球的会話のために知的フォーラムを提供する上で、理想的な位置にあるにもかかわらず、それを実行することへの抵抗を埋め込まれている学問なのだ。人類学者はたちは、研究対象としての社会をロマンティックにみていると非難されることをおそれている。人類学者たちは、自分自身のみじめな植民地主義の歴史に由来するためらいを乗り越えなければならない。そして、彼/女らがその上に連座しているのは罪深い秘密などではなく、人類の共有財産なのだということを理解しなければならない。」(デヴィッド・グレーバー「アナーキスト人類学のための断章」)
by illcommonz | 2010-07-07 01:28
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