はじめに、ふた、ありき
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「明治六年に全国ではじまった学校制度は、①先生が問題を出す、②その正しい答えとは先生の出す答えだ、という前提にたっており、生徒自身がそれぞれ、6歳までに知っていることの中から自分で問題をつくり、答えを出すということは除外されている。もし大学まで進むとして、十八年、自分で問題をつくることなく過ぎると、問題とは与えられるもの、その答えは先生が知っているもの、という習慣が日本の知識人の性格となる。教師も、明治以前の寺小屋の気風を受け継ぐ時代から離れて、大学教育学部養成の教師たちになると、知識人共通の性格から自由ではない。そのときの光背を失わずに、点数によって人を見ない運動を続けている人は、現代の中で私の知る限り、無着成恭だけである。こうした姿勢を日本の教師は、小・中・高・大を通して失った。無着成恭が僧侶になったのは、今の日本の学校に彼のいる場所がないからだ。日本の大学は、日本の国家ができてから国家がつくったもので、国家が決めたことを正当化する傾向を共有し、世界各国の大学もまたそのようにつくられて、世界の知識人は日本と同じ性格を持つと信じられている。しかし、そうではない。」(鶴見俊輔) 「私たちの周囲にはかつてないほど情報があふれ、そこから逃れることはできない。情報はまるで空気に乗って私たちの周りを漂っているようだ。それなのに、自分がどんどんばかになっている気がしてならない。実際、平均すれば、われわれは上の世代より無知なのではないか。アップルストアに並ぶ長蛇の列や、歩きながら携帯電話をのぞきこむ人々。人類はゾンビになってしまった。メールを読み、ツイッターでつぶやきながら、他人のツイートに返信する。アプリをダウンロードし、写真をアップロードする。フェースブックを更新し、世界中が自分のことを気にしているような気になって、好きなものや嫌いなものを世界に向けて発信する。では、私たちがしていないことは? それは「考える」こと。情報を処理してはいるが、考えてはいない。2つは別物だ。」(ダニエル・ライオンズ) 【問題】 「前期の講義で、見たり聞いたりした資料や映像をもとに、自分で回答できる問題を自分で考えて自分でつくり、その問題に自分で答えを出して、それを自分で評価して下さい(ただし評価はABCや点数でつけないこと)。」 参照物すべて可、グループでの話し合い可、共同制作可、PC・携帯・電子辞書などの持ち込み、貸し借り、使用オール可。よって今回も「不正行為」はゼロ(無理)です。このテストは、これまで小・中・高・大を通して受けてきた学校教育を相対化し、その常識や決まりから、自分がどれだけフリーに、あるいはインディペンデントになれるかをテストする知のD.I.Y.テストです。だからといって、自分ひとりでやる必要はありません。知は共有物(コモンズ)です。知識はいくら人に与えてもへらず、分け合えば分け合うほど豊かになる共有資源です。なので、提出された答案は、すべて表をむけ、テスト中の教室で公開し、自分ひとりでは思いつかなかったような答えや表現の仕方を互いに共有しあい、みんながよりよい答案をつくれるようにします。また、しんと静まりかえった教室より、適度な音量の音楽や雑音のある環境の方が、緊張せずに答案づくりができると思いますので、今回も試験中に音楽を流します。 ▼これまでの「文化人類学解放講座」答案集 http://illcommonz.exblog.jp/5822249/ http://illcommonz.exblog.jp/7051941/ http://illcommonz.exblog.jp/4574257/ http://illcommonz.exblog.jp/4574278/ http://illcommonz.exblog.jp/2378526/ ▼試験用音楽 http://illcommonz.exblog.jp/2356837/
by illcommonz
| 2010-07-20 17:48
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