
「今は多くを語るべき時ではありません。
また、その余裕もありません。
10年コンビを組んでいた人間の突如の異常な死に
まとまった言葉を選べるわけもありません。
ただ、これだけは言いたい。私の知る限り、
村崎さんは最良の文化人の一人でした。
そして、情の深い男でした。
その、自分の教養とセンシティブさを、
あのような鬼畜のキャラで鎧い隠さねば、
この世界でやっていけなかったのでしょう。
それが"時代"だと言えば、哀しい時代に
われわれは生きていました。
『社会派くん』対談では、ことに最近は、
村崎さんの発言は鬼畜どころか、むしろ
社会の不条理に、被害者の非運に憤慨する、
いち常識人と化していました。もちろん、
それはテープ起こし校正の段階であとかたもなく
消えるわけですが、読んでみれば、露悪的な
セリフの間ににじみ出る、村崎百郎の、
人間という存在に対する愛情というものは
はっきりわかったでしょう。村崎さんも、
読者がそれをちゃんと読み取ってくれるという
信頼の上に、あのキャラクターを作っていたのです。
彼の、カルチャー界における位置づけなどに関しては、
あらためて、また。
……おっと、あんな連載のコンビです。
少しは不謹慎なことを言っておかないと彼に怒られそうです。
「いいなあ、これでサブカル界のジョン・レノンって呼ばれるぜ!」
…………いいかい、これで?」
(
唐沢俊一「村崎百郎氏、死去」2010年7月24日)
「だから、オレは迷わない。被害者であるよりは、
死ぬまで加害者の自覚をもって、鬼畜に生きるのだ」
(村崎百郎)