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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼日照りと雨乞い
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「かつて、私の父の父の父が、困難な務めを果たす時、
森の中のある場所に行って、火をおこし、
静かに祈りを一心に捧げると、その願いは叶いました

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後に私の父の父が、同じ務めに直面した時、こう云いました。
「火はおこせませんが、祈りは唱えられます」と。
すると、願いは叶いました

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後に父も森に入り、こう言いました。
「火のおこし方も祈りの奥義も知りませんが、
願いが叶う、この場所を知っています。それで十分でしょう」と。
すると、願いは叶いました

そして同じ務めに直面した私は、家の中でこう考えました。

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「もう火もおこせないし、
祈りも唱えられないし、
森のその場所さえ知らない。
だが、まだ物語は語れる」と。

(J-L・ゴダール「ゴダールの決別」)

「平均気温:113年で最も暑い夏 8月平年2度以上上回る」
「気象庁は1日、今夏(6~8月)の全国の平均気温が平年より1.64度高く、1898(明治31)年の統計開始以来最高だったと発表した。特に8月は平年を2.25度も上回った。暑さは9月も続く見通しで、1日も気象庁が観測する921地点中242地点で9月の観測史上最高気温を記録。157地点で35度以上の猛暑日、789地点で30度以上の真夏日となった。気象庁は「異常気象」として3日に専門家などによる分析検討会を開く。全国の平均気温は、都市化の影響が少ない国内17地点の平年との差を平均して算出。過去の夏の平均気温の1位は、94年の平年比プラス1.36度だった。地域別でも、北日本と東日本が過去最高で、西日本も4位。8月の平均気温は、沖縄・奄美を除く全地域で平年を2度以上上回り、過去最高だった。」(毎日新聞 2010年9月1日)

そう、かつて、ひとは、長い日照りが続くと、それぞれの土地に伝わるやり方や流儀で、雨乞いの祈りを捧げたものだった。アフリカでも、南米でも、インドでも、中国でも。

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ことに、100年に一度といもわれるような、こんな暑い夏ともなれば、共同体をあげての雨乞いがおこなわれたものだった。

「京都で今年最高39.9度=9月の記録、10年ぶり更新-気象庁」
「日本列島は5日も高気圧に覆われ、関西地方を中心に記録的な猛暑になった。京都府京田辺市では39.9度と、全国で今年最高気温となったほか、9月の国内最高気温を10年ぶりに更新した。全国921観測地点中128地点で35度以上の猛暑日、653地点で30度以上の真夏日となった。猛暑は今週も全国的に続くとみられ、気象庁は熱中症などに対する警戒を呼び掛けた。ほかに気温が高かったのは京都府福知山市38.3度、兵庫県西脇市37.9度、京都市37.7度など。39度以上の観測は今夏3回目。京田辺市など3地点で観測史上最高気温を更新したほか、51地点で9月の最高気温を更新した。」(時事通信 2010年9月5日)

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雨が誰の上にも等しく降り注ぐように、陽もまた誰の上にも等しく照りつける。天候の異常は、個々人の生活や共同体の存続のみならず、「世界全体の運命」に関わる重大事とされ、ひとは、この世に生きる人びとすべてのために、その身を投げうって懸命に祈った。この世に生きる者のつとめとして、バランスを狂わせた世界にはたらきかけ、失われた秩序を回復させようとようとする、この能動的な行為を支えていたのは、ひとびとのコスモロジカルな感性と想像力であった。大いなる連関によって世界の運行と人間の営みはつながっているという意識がそれであり、「大きな物語」が終わったとされる現代のエコロジーには、不幸なことに、こうしたコスモロジーが欠けているように思える。それはともかくも、100年に一度といわれるような日照りが続き、すでに何百人も人が死んでいるのだから、どこかで雨乞いをやってもよさそうなのものだ、と思っていたら、ようやく今日になって、雨乞いのニュースがあった。

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「酷暑の讃岐路に雨を/まんのうで「綾子踊」公開」
「香川県まんのう町に伝わる国指定重要無形民俗文化財の雨乞(あまご)い踊り「綾子踊(あやこおどり)」が5日、同町佐文の加茂神社で奉納された。強い日差しの下、着物姿で女装した男子児童ら、地元住民約70人が風流な舞や地唄を披露。額に汗をにじませながら、暑さが続く讃岐路に涼をもたらす恵みの一雨を祈った。境内に整列した地元住民は、大きなうちわを振りながら太鼓やかねを打ち鳴らし、「水の踊り」から「かえり踊り」まで12段の地唄に合わせて優雅な舞を披露。詰めかけた大勢の見物客を楽しませた。 綾子踊は、かつて「綾」という女性が干ばつに苦しむ村人のために僧侶から教わって踊ると、雨が降ったことが由来とされ、僧侶は弘法大師空海との言い伝えもある。」(四国新聞社 2010年9月6日)

以前、アフリカのどこかの社会の民族誌で読んだのだが、雨乞いの儀式というのは、日照りのピークではなく、日照りがピークを過ぎて、そろそろ雨が降りそうな按配になった時を選んで行うらしい。したがって、その予測がただしければ、雨乞いの儀式と祈りは報われることになり、人びとはそれを雨乞いの成果として大いによろこびあう。つまり雨乞いの儀式というのは、人びとの願望をひとつにまとめあげ、望ましい状態を先験的に「表現」するものだという。「表現してどうなる」という見方もあるだろうが、先行きがわからない状態のなかにあっては、将来についての明確なヴィジョンがあるのとないのとではやはり大きながちがいがあるもので、共有されたヴィジョンが希望を生み、期待を与える。いまちょうど台風が九州を通過しているところなで、もうすぐ香川にも雨が降って、この雨乞いをやった人たちはさぞかしよろこぶことだろう。求めよ、さらば、得られんである。
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かつて、アフリカでシャーマンの弟子になり、いろいろ学んではきたものの、いまだに火も起こせず、祈りも唱えられず、森の場所さえ知らない、人類学者のなりそこねだが、それでもまだこういう話ならできし、「コスモロジー」と「表現」を持つことの大切さについては、当時よりも今の方がずっとよく理解できるようになった気がしている。ということで、東京にもざばーっと景気よく雨がふるように、今日はいつもより多めに庭に水をまいてみることにしよう。

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by illcommonz | 2010-09-07 06:28
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