ラマダーン明けの新月がみえなかったので、今夜は家で手づくりの「ロウ・カーボン・クラッカー」を焼いてみた。主成分は「おからの粉」と少量の「大豆の粉」、そしてオリーブオイル、それにごく微量のベーキング・パウダーと適量の黒ゴマのみ。つまり、糖質の高い「小麦粉」をほとんど使わない、リアル低炭水化物クラッカーである。ひとは小麦のパンのみにて生きるにあらず、大豆のおかしにて生きのびる者もあり、である。素材はミニマルで質素だけど、塩、胡椒、生姜、にんにくを生地にねりこんだので、味はしっかりついてる。ただ、おからも大豆もすこぶるまとまりがわるいので、生地づくりにはとにかく苦労した。練って練って練ってまた練って、それでもボロボロとくずれてしまう生地を、なんとかこねあわせながら型をぬくまでの工程は、料理というより、ねんど工作みたいだった。さすがに今度つくるときはグルテンをすこしだけいれようと思った。ちなみにホットケーキとお好み焼き以外の粉モノを焼いたのは、このクラッカーがはじめてである。レシピもなければ、オーブンの使い方もろくに知らず、右も左も(前も後ろも)分からない状態でやったにしては、まずまずの出来だと思う。去年のあの極寒の冬をストーブなしで、今年の炎暑の夏をエアコンなしで、なんとか生きのびたので、「自宅をスクワッティング」するオルタナティヴな「住」の実験は、ひとまずこのへんにして、この秋はオルタナティブな「食」の実験をやってみようと思う。そう、もうひとつの暮し/衣食住はいつでも/とっくに可能である。