はじめに、ふた、ありき
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さて、ところで、APEC開催があと十数時間後に迫ってきた。横浜では二年前の洞爺湖サミットなみの厳重な警備体制が敷かれているらしい。数字に滅法よわいので、まちがってるかもしれないが、たしか洞爺湖サミットでは、サミット警備のために全国から二万一〇〇〇人の警官が動員され、総費用として約四〇〇億円が使われたと記憶してる。一方、今回のAPEC警備の総費用額がいくらなのかは知らないが、今から一ヶ月くらい前のニュースでは、「11月7~14日の期間中、1日につき最大で約2万1千人の警察官が警備にあたり、「最高レベルの警戒態勢」で臨む」(産経新聞 2010年10月17日)とされていた。さらにその後のニュースによると、「過去最大だった北海道・洞爺湖サミットを1千人以上上回る4万3千人態勢で警戒に当たる」(朝日新聞 2010年11月2日)という。 洞爺湖サミットの警官動員数はてっきり二万一〇〇〇人だと思ってたが、三万一〇〇〇人もいたらしい。ちいさな町の人口くらいの数である。しかし、結果としてサミットでは、警視庁が予想していたような「テロ」も「暴動」もなにも起こらなかったので、結果からすると、たいへんなむだづかいに終わった。このときの「過剰すぎた警備体勢」に対しては、当時から多くの批判があったので、さすがに今回は、その反省と回顧をふまえ、警備体勢のスリム化、警備のコンパクト化、警備のエコ化がはかられるだろう、と思っていたが、まるで逆だった。警備はさらに拡大され、より巨大化し、より肥大化し、より膨張した。「警備体勢のモンスター化」といっていいかもしれない。 もし、これでまた何もなければ、過去最大だった洞爺湖サミットの過剰警備をしのぐ、史上空前の過剰警備の記録更新である。右をむいても左をむいても、「エコだ」「省エネだ」「規模縮小」「コスト削減」「エネルギーの省力化」「むだをはぶこう」「むだづかいをやめよう」の大号令の時代に、警察の警備だけはこの時代の流れにまるで逆行するようなかたちで、膨大な予算と過剰なエネルギーを費やし、孤島の恐竜のように巨大化している。パトカーや警察車両が出すCO2の量も相当のものだろう。こうした過剰警備が「事業仕分け」の対象にならないのが不思議なくらいである。今回のAPEC開催を機に、日本の「TPP参加」を推し進めようとしている政治家と、それをうしろで後押ししている国内の過激な新自由主義勢力(たとえば経団連など)は、TPP参加が日本の経済の「成長と繁栄」につながるというが(一方でそれが日本の農業の「停滞と絶滅」とひきかえであることは誰もいわない)、たしかにAPEC開催が日本の警察の、過剰警備の「成長と繁栄」に寄与していることは確かである。 この不景気の世の中を尻目に、ひとり成長と繁栄を続ける過剰警備は、主に「テロ対策」として行われるもので、テロ犯罪を防止するために、街のマンホールの中をひとつひとつ点検してまわるような地道な警備には別に文句はない。どんどんやればよい。どこの誰が何のためにしかけたのか分からない爆弾や毒ガスのまきぞえで、もうこれ以上、市民が死んだり傷つくのをみるのはご免だからだ。こうした無差別テロに対しては、反対どころか「猛反対」である。 文句があるのは、「目的のためには手段を選ばない暴力による抗議」すなわち「テロリズム」とは本来まったく関係のない、むしろそれとはまったく反対の、「非暴力を大原則として掲げる多様な手段を使った抗議」すなわち「アクティヴィズム」に対する警視庁のハラスメントとネガティヴ・キャンペーンである。洞爺湖サミットのときもそうだったが、今回のAPECでも、APEC首脳たちが勝手にすすめようとしている「弱肉強食の新自由主義経済」や「軍事拡大路線」「TPPによる自由放任貿易」などに異議をとなえ、「まちがったグローバリズム」とそれが及ぼす弊害や問題に抗議する、さまざまな抗議行動やデモも警備の対象とされている。そのへんのことは、下記の警視庁作成の資料でよむことができる。 -------ここから------ ▼警視庁「平成21年 警備情勢を顧みて~回顧と展望」 「2010年APECの成功に向けて 特集~反グローバリズムを掲げる過激な勢力の脅威」 ▼「反グローバリズム運動とは」 「近年、経済のグローバル化が貧富の差の拡大や環境破壊といった社会問題を発生させているなどとする反グローバリズムの考え方が広まり、サミットや APEC、WTO(世界貿易機関)等の国際会議において、大規模な抗議集会やデモ等を行う反グローバリズム運動が国際的に展開されています。」 ▼「北海道洞爺湖サミットにおける抗議行動」 「20年7月7~9日に、北海道洞爺湖地域において第34回主要国首脳会議(G8サミット)が開催されました。このサミットにおいても、反グローバリズムを掲げる過激な勢力等は、国内外から北海道に集結し、反G8等を掲げて抗議行動に取り組みました。サミット会議場周辺や札幌市内では、集会やデモ等の抗議行動が数多く行われ、そのうち最大規模となった7月5日の札幌市内のデモには、主催者発表で約 5,000人が参加しました。一部の者が違法な形態でデモを行うなどしたことから、公安条例違反、公務執行妨害等で4人を逮捕しましたが(※下線による強調は引用者によるもの)、警察部隊によるデモ規制等により、大規模な暴動や道路封鎖等の妨害行為に発展することはありませんでした。」 (※写真は警視庁によるもの) ▼「2010年APECに向けた動向」 「国内の反グローバリズムを掲げる過激な勢力は、北海道洞爺湖サミットで築いたネットワークにより国内の関係団体と連携しているほか、国内外の国際会議への対抗行動に積極的に参加するなどして、海外の過激な勢力と交流を深めています。また、2010年APECに向けて、既に抗議行動への取組みを示唆している勢力もあり、ウェブサイト上でも「横浜APEC反対」等の主張が掲載されています。(※下線による強調は引用者によるもの) こうした勢力は、2010年APECに向け海外の過激な勢力とも連携して、集会やデモなどの活動を行い、その過程で道路封鎖や暴動等の過激な抗議行動に取り組むおそれがあります。特に、APEC首脳会議の直前の11月11、12日には、韓国ソウルにおいてG20サミットが開催されます。このサミットで抗議行動に参加した過激な活動家が、APEC首脳会議への抗議行動に参加するために、大挙して来日するおそれがあります。」 -------ここまで------ 念のために書いておくと、これは何者かの「故意」や「過失」によって、ネットに「流出」した内部資料ではなく、毎年、警視庁が年次報告書として作成し、警視庁の公式サイトで「公開」している「資料」からの抜き書きで、誰でもよめるものです。 ※全文はここでよめます。 http://www.npa.go.jp/kouhousi/biki/text/p03-1.html 問題はその書き方で、アクティヴィズムに対するネガティヴなイメージはこのようにしてつくられ、その過剰に表現された「脅威」が、こんなふうに過剰警備の根拠にすりかえられるのか、というその見本のような文書である。この作文については、そこで使われているいくつかのレトリックのほか、警視庁が「反グローバリズムの勢力」と呼んでいるシアトル以後のアクティヴィズムのスタイルとその最新の動向に照らしあわせて、添削したい部分や校正を申し出たい箇所は山ほどあるが(公安警察はいつもデモであんなにたくさん写真を撮ってるのに、こんな写真しかないのか、とちょっと呆れた)、それは別の機会に譲るとして、、たとえば、小倉利丸は「反グローバリズムの「犯罪化」は絶対に容認できない、警察APEC広報は明らかな自由と権利への侵害である」として、このように述べている。 「この警察庁のウエッブでは、意図的にセンセーショナルな「過激」に見える写真を多用し、反グローバリズムの運動が暴動を扇動しているかのような過大な宣伝を意図的に行っている。反グローバリズムの社会運動に関わってきた者なら誰でも知っていることだが、日本の社会運動には警備公安警察が期待するような暴動を起こす力量もなければ、そのような街頭での抗議行動への大衆的な支持もない。」 ※全文はここでよめます。 http://blog.livedoor.jp/noapeckanagawa/archives/cat_61912.html APECに抗議するデモや抗議行動に参加する人たちやアクティヴィストはもちろん、はなから暴動など望んでないので、「日本の社会運動には警備公安警察が期待するような暴動を起こす力量がない」のはいいとしても、「街頭での抗議行動への大衆的な支持もない」のはややさみしい。というか、こんなふうに書かざるを得ないくらい、社会運動が力を持たず、また、力を持とうとしない国に、どうしてあれほど巨大な公安組織と過剰警備が必要なのか、この国の社会運動に関わってきた者なら誰でも疑問に思っているはずだ。それはともかくも、こうした国内の社会運動の実情をほとんど反映していない資料をもとに、APECを警備する神奈川県警では、「テロ」ではなく、「デモ」を対象にした、こうした警備訓練がくりかえし行われてきたようである。 ○2009年11月27日 APEC首脳会議に向けた総合訓練 みなとみらい地区において、神奈川県警察と横浜市は、APEC首脳会議に向けた、総合訓練を実施しました。 ○2009年11月6日 横浜港総合テロ対策訓練 横浜海上防災基地において、神奈川県警察、第三管区海上保安本部、横浜税関等による合同テロ対策訓練を実施しました。 ○2009年6月23日 機動隊総合訓練 第一機動隊訓練場において、神奈川県機動隊及び関東管区機動隊430人を集め総合訓練を実施しました。 ○2010年9月6日 APEC首脳会議等警備に向けた総合合同訓練を実施 2010年日本APEC首脳会議等の警備に向け、神奈川県警察第一機動隊訓練場において、神奈川県警察機動隊・警視庁機動隊・関東管区機動隊等、約1,100人による総合合同訓練が実施されました。訓練は、警護訓練・重要施設に対する違法行為検挙訓練・検問部隊と爆発物処理部隊の連携訓練・デモ行進規制訓練・市街地暴徒制圧訓練・バスジャック事件対処訓練などが行われました。 以上、神奈川県警「APEC対策に向けた県警察の取組み」より http://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mese8003.htm いつもたいへんなのは現場である。これをみると、警視庁のエリート官僚が作成した資料に現場がふりまわされているようにしか見えないのは気のせいだろうか。それはともかくも、過去最大だった洞爺湖サミットの警備を超える、いま・そこにある「最高レベルの警戒態勢」を前に、いま・ここで自分たちが、最高レベルの市民意識をもって警戒しなければならないのは、「『反グローバリズムを掲げる過激な勢力の脅威』を掲げる過剰な警備の脅威」ではないだろうか。 自分はエコロジストではないが、こうしたむだづかいは根本的にまちがっていると思うし、こういう警備や訓練こそ「事業仕分け」されなければならないと思う。そして、はたしてこういう計算があってるのかどうかわからないが、400億円をかけたとされる洞爺湖サミットの過剰警備で身柄を拘束された4人のうちのひとりとしては、自分のような人間への対応に100億円もかけるな!もったいない!といいたい。だが、それよりもなによりもやがてこうした過剰警備があたりまえの風景のものとなってしまう「警察国家化」の脅威を感じている。 そんな思いから、今回のAPECに対しては、これまでとは大きく戦術を変えて、「不作為のカウンターアクション」で抵抗しようと考えた。これがその宣言文である。 「不作為のカウンターアクション」とは、「ある任意の状況に対して、あえて無関心をよそおい、何もアクションを示さないことや、故意に無視したり、コメントしたりしないことによって、当の状況に対する抗議や批判を行う対抗戦術」のことで、云いかえれば「積極的に何もしないことで行う反撃」のことである。 思い起こせば、、、いや、回顧すれば、この戦術を思いついたのは、今から一年前の横浜だった、が、そのときの詳しい事情は全部はぶいて、結論だけ書くと、一年前のそのときに「APECを全力で無視すること」に決めたのだった。そのとき以来、今日まで一年間、一日も欠かさず、APECに対する「不作為のカウンターアクション」を続けてきた。なので、洞爺湖サミットの時のように、インフォツアーもせず、ポスターもつくらず、プロモーションビデオもつくらなかった。さらにAPECについて書いたブログも非公開にした。というのも、洞爺湖サミットで拘束されたこともあって、自分がなにか表現や行動をすれば、それは「反グローバリズムを掲げる勢力」の活発な活動とよみかえられるだろうし、ブログにAPECについての批判を書けば、それは先の警視庁の資料にあった、この主張にとりこまれるのは目にみえていたからである。 「2010年APECに向けて、既に抗議行動への取組みを示唆している勢力もあり、ウェブサイト上でも「横浜APEC反対」等の主張が掲載されています」 こうした状況ではあえて「なにもしないこと、なにもしてやらないこと、かまわないこと、相手をしないこと、無視すること」に意味があり、それが過剰警備の脅威に対抗し、それを是正する戦術になる。シアトル以降の「今日のアクティヴィズム」の特徴のひとつは「戦術の多様性」の肯定で、この「不作為のカウンターアクション」は、そうした「多様な戦術」のなかの「可能な戦術」のひとつだと思う。そもそも、この思いつきのもとになったのは、このことばだった。 「この茶番劇に参加しないことが、私たちの力を最大限に示すことのできるアクションではないのか?」 このことばは、スターホークが「アフィニティ・グループが合意形成に行き詰まったときは、一度立ちどまって、そう問い直してみるとよい」とアドバイスしたときのことばだとされるが、ほんとうにスターホークが云ったものなのかは分からない。もっともアクティヴィズムはアカデミズムとはちがうので、誰が云ったものかはそれほど重要ではない。むしろこうしたコピーライトのないことばを伝聞や口頭で互いに伝え合い、コピーライトの囲い込みから解放し、ひろく共有してゆこうとするのが今日のアクティヴィズムの姿勢である。 やや話がそれたので話にもとにもどすと、いま横浜で展開されている最高レヴェルの警備体勢は、あきらかに過剰で、とりわけ非暴力のデモや抗議に対する警備や規制はそうである。もし万が一、洞爺湖サミットのときのように、過剰すぎる警備に妥当性を与えるための「しわよせ」あるいは「いけにえ」として、デモ参加者の拘束が行われたとしたら(※この点については後述の「資料」参照)、まさしくそれは、「警察の警察による警察のための過剰警備」のために行われる、とんでもない「茶番劇」だと思う。 そうしたハイリスク・ハイリターンの状況のなかに、逮捕や拘束をかえりみず、それを承知で飛び込んでゆくのは、いわゆる冒険主義的であり、ヒロイズムであり、マッチョな闘いだと思う。今回のAPECの過剰警備に対して、そうした「強いアクティヴィズム」はむしろ過剰警備に妥当性を与えてしまうという点で逆効果だと思う。そしてなによりも、そうした「強いアクティヴィズム」は、セーファースペースの確保などに熱心にとりくむ「今日のアクティヴィズム」の流れとは異なるもので、自分にはなじめないスタイルのたたかいなので、自分は断固として「よわいたたかい」でよいと思うし、それがかつて過剰警備によって拘束された者の、警備に対抗する回顧と展望である。 「私たちのたたかいは「よわいたたかい」だと思います。私たちの目指す世界は「よわい世界」だと思います。そのよわくて、弱者で、弱虫で、臆病者である私たちの期待こそ、やはり、この世の中を変えていくんだということを、最後に宣言したいと思います。」 ----------------------------------------------------------- 【資料】 ▼「ひとりでいい、ひとりで」 「わずか八人の首脳が世界の将来を議論する。この究極のトップダウンに反対、異議を申し立てる「祭り」が札幌で、洞爺湖近くで盛り上がった。最大の行事は、サミット二日前の五日に行われた「一万人のピースウォーク」。参加者は色とりどりののぼりや横断幕などを手に札幌市中心部の大通り公園に集まった。デモ行進の参加者は主催者発表で約五〇〇〇人。真夏日のなか、反貧困などを訴えながら、約二キロ離れた中島公園までを約二時間かけて歩いた。これら祝祭的空間に暴力を加えたのは「国家」だった。もっとも露骨だったのは五日の「ピースウォーク」で、ロイター通信のカメラマンを含む四人を公務執行妨害などの容疑で逮捕した。車線をはみ出て広がるデモ参加者は確かにいたが、デモを先導しているサウンドカーや近くの参加者を執拗に挑発したのが機動隊・警官側だったことは明らかだった。しかも、車のサイドガラスを警棒で粉砕、運転手を引きずり出して逮捕する。「剥き出しの暴力」。私服警官らしき人物が「(逮捕は)一人でいい、一人で」と叫ぶなど、逮捕自体が目的だったことをうかがわせて。ジャーナリスト以外の三人は1、まだ釈放されていない(一五日現在)。警察は全国から約二万一〇〇〇人を動員して警備。サミット総費用約四〇〇億円(〇八年度予算。八〇〇億円との報道もあり)の半額が警備費とされる。ある政府関係者は「これだけカネを使って平和に終わりました、ではメンツがたたない。逮捕者が必要なんだろう」と話している。(伊田浩之「平等と自由、民主主義に彩られた祝祭空間」「週刊金曜日」2008年7月18日号) ▼「過剰な警備体制を必要としているのは誰なのか?」 「何故、警察は異常とも言える警備体制をとったのか。別の見方も可能だ。警備・公安警察は、戦前の特高警察の流れをくむ警察の一部門だが、特高警察が終戦とともにGHQの指令により、治安維持法と共に廃止されたように、ときの政治情勢に左右される警察の部門である。戦後も日本共産党等の左翼、反日共系の急進的・戦闘的な極左暴力集団、右翼、オウム真理教(現アーレフ)、新興宗教、朝鮮総連、労働運動、反戦運動などを監視し、ときには関連する犯罪を検挙してきた。しかし、警備・公安警察が対象にしてきた関係諸団体の活動は、東西冷戦の終焉等によって低迷の一途を辿り、このところ目立った警備事象はほとんど無い。長期間にわたって平穏に推移した警備情勢は、警備・公安警察の士気の低下を招き、エリート集団とも言われた警備・公安警察では、考えられないような幹部による不祥事も目立っている。警備・公安警察は、目標を失い迷走を始めていた。そこへ降って湧いたように起きたのが、平成13年9月に発生した「米国における同時多発テロ事件」である。警察庁では平成16年4月、警備局に外事情報部を設置するとともに、従前、外事課に置かれていた国際テロ対策室を国際テロリズム対策課に発展的に改組し、外国治安情報機関等との連携を緊密化するなど、「国際テロの未然防止」を警備・公安警察の最重要課題と位置づけた。しかし、長期間にわたる平穏な警備情勢と目標の喪失は、必然的に、機動隊の練度の低下をはじめ警備・公安警察官の士気と能力の低下を招く。 全世界から注目を浴びる北海道洞爺湖サミットの警備は、低迷を続ける警備・公安にとっては起死回生のチャンスである。そして、警察にとっては、主要国首脳などの身辺の安全確保し、サミットと関連行事の円滑な進行確保という結果は当たり前のことだ。それだけでは十分ではない。それ以外の結果も必要だ。つまり国際テログループや極左暴力集団を検挙するという実績が求められる。北海道警察としては、何としても事件を検挙する。そんな意気込みがあったに違いない。しかし、本格的な国際テログループをおいそれとは検挙出来ない。デモの小規模グループの跳ね上がりの検挙なら比較的容易だ。そんな思惑があったのではないか。逮捕者が4人というのも手頃な数字である。事前の広報対策を徹底したので、事後の警備体制に支障が出るような大規模な抗議活動の可能性もほとんど無い。そんな読みもあったはずだ。もう1つは、今回の警備には、全国警察の機動隊の士気の高揚と訓練の場の提供という意味もあったのではないか。過去の全国規模の警備というと、平成12年の九州・沖縄サミットの警備、平成14年のブッシュ米大統領の来日に伴う警備くらいだろう。全国の機動隊やその指揮官のほとんどは「荒れる現場」の体験がない、実戦経験が不足している。現場の機動隊員とその指揮官の動きを観察しているとその感を強くした。採証・検挙隊の警察官も今回の事件処理が初体験の警察官も多かったのではないか。逮捕者には申し訳ないが、今回の4人逮捕は手頃な訓練になったはずだ。北海道洞爺湖サミットは間もなく終わる。果たして、国際テログループや極左暴力集団によるテロ等が起きるのか。そして、今回の警備が、警備・公安警察の起死回生に繋がるのだろうか。」(原田宏二「参加者3,000人に1,000人以上の過剰警備?」「市民の目フォーラム北海道」2008年7月7日) ---------------------------------------------------------------------- 【おことわり】 このエントリーは現在進行形の「戦術上の都合」※により、2010年11月13日午前零時まで「非公開」とします(※ある任意の状況に対し、あえて無関心をよそおい、何もアクションを示さないことや、故意に無視したり、コメントしたりしないことによって、当の状況に対する抗議や批判を行う対抗戦術のことを「不作為のカウンターアクション」と呼ぶ。別名「積極的に何もしないことで行う反撃」)[参考]「この茶番劇に参加しないことが、私たちの力を最大限に示すことのできるアクションではないのか?」(スターホーク)
by illcommonz
| 2010-11-12 15:31
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