この曲はまだほんの序の口。兇暴な浪漫と壊レきつタ構築美の、背筋が凍るポップミュージックは、アルバムのおしまいの方に待ちぶせている。特に「鏡の中の鏡の中の鏡」から「惨事の捧げもの」へのパートは圧巻の一言に尽きる。まさに極上のこわれもの。現実の世界の陰鬱さをはるかに凌ぐ、文字通り、耳を塞ぎたくなるような凄惨な音で、たまに耳を塞ぎ、神経を猛り狂わせてやらないと、いまの狂った世の中、とても生きのびてゆけない。くたばれ、J-POP、父兄参観日の作文みたいなPTA賛歌の唄などききたくない。狂気をもて、時代を撃ち砕く、気のふれたポップミュージックを我らに。
「今作は特殊な作曲方法で制作が進められた、最初にAメロ/Bメロ/サビという一般的な形式の唄ものを作曲し、その後、ヴォーカル・パートを完全に消去し、残されたトラックに徹底的な破壊と構築、交配を繰り返し施し、練り作り上げられた、異様な緻密さの打ち込み、美しきストリングス、フリーキーなサックス、カラフルなギター、幾千幾万の音が渾然一体となり、鳴り響く、そこに現れるのは、破壊と構築、愛と間違いに満ち満ちた異形のポップミュージック・アルバム」(WEG「Seven Idiots」プレスリリースより)