![]() はじめに、ふた、ありき
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朝になって日本のメディアがおずおずとエジプトのニュースを流しはじめる前に書いておくと、いまエジプトで起きていることは、一部の「反政府組織」や「反体制派」(日本のメディアはこういう場合やたらと「反」のしるしをつけたがる)の「暴動」や「騒乱」などではなく、エジプトの「民衆蜂起」であり、「市民革命」だということだ(昨夜のアルジャジーラは一貫して「革命」という表現を使っていた)。たとえば、今回の「怒りの金曜日」の前に、電子メールなどを通じてエジプト国内に頒布されていた「アクション・プラン」には、このアクションが「市民的不服従」であること、「ポジティヴなスローガンとことば」で住民によびかけること、民衆は警官と共に圧政に立ちむかうことなどが記されている。 ![]() ▼「Egyptian Activists' Action Plan: Translated」 (The Atlantic, Jan 27 2011) ![]() ![]() ![]() さらにその同じパンフレットでは、フードつきのパーカーやガスマスク、花束、ゴム弾用のシールドの着用などが勧められている。これらはいずれもシアトル以後のオルター・グローバル・ムーヴメントのなかで培われ共有されてきた戦術だ。 ![]() おそらく、多くのメディアは今回の革命を、いま話題のFacebookなどのソーシャル・メディアと関連づけ、話をもっぱらそちらの方に誘導しようとするだろうが、そこで見落とされてならないのは、この革命が過去十数年間のオルター・グローバル・ムーヴメントとつながっていること、そしてなによりもこの革命が、いま世界中ではじまりつつある若者たちの反乱とも連動しているということである。 ![]() つまりこれは、中東という特殊な地域の、独裁体制下という特殊な政治状況ゆえに起きたことではなく、同じことは、いつどこで起きてもおかしくないし、むしろ起きないほうがおかしいくらいだということである(たとえば「親米政権」という点でいえば、日本の政府もそうだ)。当然、メディアはそこにはふれようとせず、話をソーシャル・メディアの方に強引に持ってゆくだろうから、そのあたりが、ある意味、みものである。 ![]() 「なぜ武器を持たない民衆が「暴徒」と呼ばれ、武装した側は「治安維持」なのか?そこに悪意がないのだとすると、そもそも2011年現在の現実を知らないとしか言えない。複雑だけど生々しい世界のリアルをめんどうくさそうに「一部は暴徒化しました」と短絡しまうと、損するのは日本全体。」(モーリー・ロバートソン 2011年1月29日) [参考] ▼「エジプト、デモ隊が当局と衝突 エルバラダイ氏を軟禁か」 「エジプトで28日、ムバラク大統領の退陣を要求するデモが各地で発生した。デモは4日連続。全国で数万人が参加し、最大規模となったもよう。治安当局と各地で衝突。軍も出動した。AP通信によると、民主化を訴えているエルバラダイ国際原子力機関(IAEA)前事務局長は自宅軟禁されている。反体制派はインターネット上で「怒りの金曜日」と名付け、大規模デモを呼びかけていた。チュニジアの独裁政権がデモで崩壊したことに触発され、エジプトでも格差拡大や若年層の失業など長期政権への不満が噴出した。」(時事通信 2011年1月28日) ▼「エジプト:夜間外出禁止 エルバラダイ氏軟禁か」 「ムバラク大統領の強権支配に反発する反政府デモや騒乱が続くエジプト各地で28日、イスラム教の金曜礼拝に合わせた数千~1万人規模のデモが発生した。25日に始まった反政府デモに伴う死者はこれで、治安部隊員2人を含め8人となった。AP通信によると、反政府デモは28日現在、エジプト28県のうち少なくとも11県に拡大した。イスラム社会では、金曜日にモスク(イスラム礼拝所)で集団礼拝が行われる。金曜だけは礼拝に集まることを禁じることはできない。そのうえデモを主導するグループ「4月6日運動」は、この日に合わせインターネット上で動員を図った。」(毎日新聞 2011年1月28日) ▼「エジプトデモ:金曜礼拝前に緊張 大量の治安部隊」 「エジプト国民は政権崩壊を望んでいる」。反政府デモ2日目となった26日夜、首都カイロでは、数百人の若者の叫びが響いた。中心部に約1万人が集まった初日に比べ、大量の治安部隊投入もあり群衆の規模は縮小したが、大勢の人が集まるイスラム教金曜礼拝の28日を前に、各地で緊張が続いている。参加者には若者が目立つ。中高年の男女も多数加わっていたチュニジアとは明らかに違う。エジプトの騒乱が、国民各層を巻き込んだ大きなうねりになるかは未知数だ。」(毎日新聞 2011年1月28日) ...................................................................... [追記] 一夜、空けて、マスコミの「反」のしるしのついた「騒乱」と「暴徒」のニュースが届く。 ![]() (※上のニュース画像はクリックしても拡大しません) ▼「エジプト反体制デモ」 「ムバラク大統領独裁政権の打倒を訴える大規模デモは4日目に入っても勢いが衰えず、イスラム教の金曜礼拝後、全土で数十万人に上る群衆がデモに参加した。英BBCなどによると、2011年1月28日、カイロにある大統領与党・国民民主党(NDP)の本部が炎上したほか、北部マンスーラでは約4万人がデモに参加し、NDPの事務所を襲撃。スエズでは、警察署が放火され、銃が略奪された。東部イスマイリアでもNDP事務所が破壊され、各地で騒乱状態に陥りつつある」(2011年1月28日 EPA時事) ▼「エジプトのデモ激化 全土で少なくとも27人死亡」 「エジプトの大規模な反政府デモは28日夜(日本時間29日未明)に激しさを増し、参加者の一部が暴徒化して各地で放火や略奪を重ねた。デモ隊と警官隊の衝突は深夜も続き、AFP通信によると、北部スエズで13人、カイロで5人など全国で少なくとも27人が死亡、数百人が負傷した。陸軍は、治安回復のため特に混乱の激しいカイロとスエズ、北部アレクサンドリアの3都市に出動。ただ、29日未明も政府が前日に発令した夜間外出禁止令を無視して多数の市民が街頭に残っている。カイロの与党国民民主党(NDP)本部ビルは放火で炎上し、暴徒たちが次々と高級家具などを持ち出した。中東の衛星放送アルジャジーラによると、古代エジプトのツタンカーメン王の黄金のマスクで知られるカイロの考古学博物館も略奪の被害に遭っている。全国の警察施設数10カ所が放火され、カイロ北部では鉄道線路が持ち去られる盗難被害が相次いだ。」(2011年1月29日 中日新聞) ▼「外出禁止無視し投石 与党本部も放火・炎上 エジプト」 「「辞めろ、辞めろ!」――。ムバラク大統領の退陣を求める大規模な反政府デモに揺れたエジプトの首都カイロでは、29日未明になってもシュプレヒコールがこだました。市民は夜間外出禁止令を公然と無視、街で怒りの声をあげ続けた。中東のテレビ局アルジャジーラの映像によると、29日未明のムバラク氏のテレビ演説が終わるやいなや、デモ参加者は軍のトラックに石などを投げつけた。一時は収まっていた催涙弾などの発砲音も、散発的に聞こえだした。朝日新聞中東アフリカ総局が入居するビルからカイロ市内を見渡すと、ナイル川の橋の上に、治安部隊の大型車両が30台ほど止まっていた。28日午後10時40分。その脇を、外出が禁じられているにもかかわらず、100人ほどが「政権を倒せ!」と叫びながら通り過ぎた。治安部隊は止めようとはしない。ムバラク大統領を支える与党・国民民主党(NDP)の本部も28日夜に放火された。アルジャジーラは、黒煙を上げて燃えさかる建物の様子を映し出した。一部のデモ参加者は建物の中に入り、机やいすなどを略奪していた。治安部隊の車両に投石したり、放火したりする人も。騒乱状態は夜遅くまで続いた。28日夜、機関銃を据え付けた軍の装甲車がカイロ市内に相次いで到着した。ハッチから身を出した兵士は、銃には手を触れず、小旗を両手に持って振り続ける。デモ参加者は万歳するなどして歓迎。軍が市民デモの側に立ち、ベンアリ長期政権を崩壊させたチュニジアと同じ展開を期待しているかのようだった。実際、国営テレビ局の警備にあたった兵士とデモ参加者が握手する映像がアルジャジーラに流れ、一時は軍の造反を思わせた。NDP本部や国営テレビ局の近くには、ツタンカーメンの黄金のマスクなどが展示されているエジプト考古学博物館がある。軍はその周辺にも展開し、警備にあたった。アルジャジーラによると、兵士に加わってデモ参加者も人の輪を作り、略奪を防いでいるという。一方、エジプト当局がデモ拡大を防ぐために行ったとみられるインターネットと携帯電話の遮断は、29日未明になっても続いている。」(朝日新聞 2011年1月29日) いま、ダボス会議に出席している政治家たちは内心あたふたしているだろう。ダボス会議が終わったら、今度は各国で「サーカスとパン」式に芸能スキャンダルのニュースがいっせいに流され、その影でソーシャルメディア規制の準備がはじめられるだろう。これが治世者とマスコミのアクション・プラン。こういうときはマーケッターの情勢分析の方がよっぽどあてになる。 ▼「いま中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊とおなじくらい重要」 「いま中東で起こっている一連の民衆蜂起はベルリンの壁崩壊とおなじくらいスケールの大きい歴史的な出来事で、最後にはサウジアラビアやアラブ首長国連合などを巻き込む大きな混乱に発展する可能性があります。中東諸国の多くは少数支配の非民主主義的な政体です。アメリカやイギリス政府はそれらの国々のリーダーがいかにリーダーとしてふさわしいか?という尺度で傀儡的な政府を置いたのではなく、石油の権益などに関して組みやすい相手かどうか?という尺度でリーダーを選びました。このため西側諸国が後押しする政府は必ずしも民主主義的ではないし、国民からの草の根の支持が無いのです。それらの政府はイスラエルやシーア派など仮想敵の存在を国民に常に思い出させることで抑圧された不満をそれらの紋切り型の憎悪の対象に向け、民心をまとめてきたのです。それらの国々ではユダヤ対アラブ、スンニ派対シーア派などという伝統的な対立の構図の中でおこる事件は日常茶飯事です。だから対応の仕方も慣れているし、「打たれ強い」です。チュニジア革命を発端とした今回の一連の事件の前に為政者が上手く立ち回れていないのは、今回の各地での蜂起が食品価格の値上がりやデモクラシーを求めての運動であり、これまでの切り口とはぜんぜん違うからに他なりません。さて、チュニジアやエジプトの政府も専制的ですが、その文脈で言えば圧倒的に専制的な政治をしている国はサウジアラビアであり、ここほど人権が軽視され、ジョージ・オーウェル的な恐怖政治がおこなわれている国は他にありません。しかもアメリカ政府はそういうサウジアラビア政府を後押ししているわけです。今回、騒動が起こったチュニジア、エジプト、イエメンは全てアメリカ政府に協力的な政府です。また騒動が起こる寸前になっているヨルダンもアメリカ政府と歴史的に近いです。つまりアメリカはデモクラシーという観点からは「間違った友好国」とばかり付き合っているわけで、このアメリカ外交の偽善ないしは矛盾が今回は大問題として噴出しているわけです。警察権力のひ弱なチュニジアはともかく、強権的な警察力を持つエジプトが簡単に崩れたことでサウジアラビアも安閑とはして居られなくなりました。ジャスミン革命の余波が拡大するのはこれからだと思います。」(「マーケットハック」2011年1月29日) (おまけ) 下の若者の画像はクリックすると拡大します。 ![]()
by illcommonz
| 2011-01-29 06:01
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