「あなたがたは一団となって、人びとを善きことへまねき、
公正なことを命じ、悪しきことを禁じるようにしなさい」
(「ハディース/言行録」アーリ・イムラーン章第104節)
悪行を戒め、善行を説くのは、どの宗教に共通していることだが、それは主に個人としての行いや言行についてのもので、こんなふうに「一団となって」そうすることを説くのは、イスラームの道徳に特徴的なことかもしれないと、ふとそう思った。いったい何が200万人とか300万人という規模での大行動を可能にしているのだろうと考えていて、もしやそれは言行の実践を重んじる
スンニ派のプラクティスがそうさせているでないのだろうかなどと還元論的なことを思ったのだが、ほんとうのところはわからないし、たいていこういう還元論はあてにならない。ともあれ、これまで「100万人デモ」の「100万人」というのは、単に言葉の綾のようなものだと思っていたが、ここ数日、それを目のあたりにしてきて、世界の見え方がすこし変わった。それに考えてみれば、自分が参加するデモというと多くて200人規模のもので、その100万倍というのだから、それはもう想像を超えた現実である。不思議なのは、日頃、ギネスの記録がどうしたとか、為替レートが何円変動したとかを盛んに報じているメディアがなぜ、この途方もない数を、ほとんどとりあげようとはしないのだろうということだ。