
アントニオ・ネグリとマイケル・ハートが「アラブはデモクラシーの新たなパイオニアである」というタイトルの論考を「ガーディアン」紙に寄稿している。
▼Michael Hardt & Antonio Negri
"Arabs are democracy's new pioneers"
(Guardian 24 February 2011)
ネグリとハートが今回の一連の蜂起の主体を「マルチチュード」と呼んでいることは当然として、彼らがその組織のされ方に、シアトル以後の「中心をもたない水平的ネットワーク」のムーヴメントとの類縁性をみていたのは、やっぱりという気がした。エジプト革命がはじまってまだ間もない頃、このブログに「過去十数年間のオルター・グローバル・ムーヴメントとのつながり」について、やや断定的に書いたのは、自分自身の考えというよりも、ネグリとハートならきっとそうみるだろうと思ったからで、それがそれほど的外れでなかったことが分かってほっとした。そのほかに、ネグリとハートは、Twitter や YouTube などのソーシャルネットワークは、この革命を起こした「原因」ではなく、こうした組織化の「徴候」なのであって、これらは身近な道具を使って自立的な組織をつくることができる民衆たちの「表現形態」なのだとも述べている。
▼「怒りの金曜」のアクション・プラン(2011年1月29日)
http://illcomm.exblog.jp/12777985/
▼「音声のムバラク叫んだ時、図交感神経オフにしたデモ隊が
単純な2番目の点滅を持っているされて悪魔化」(2011年2月11日)
http://illcomm.exblog.jp/12853048/
ほかに、この論考では「たたかいのサイクル」という言葉が使われている。今から2年前の洞爺湖サミットの時、ハートが日本のアクティヴィストたちにむけて、これから
「たたかいの第3のサイクル」がはじまるということを書いていて、その後、あまり展開がなかったのだが、イギリスやイタリアの学生たちのムーヴメントを経て、ついにそのサイクルがアラブでブレイクしたのだな、と思った。
"As long as those demands and desires live, the cycle of struggles will continue. The question is what these new experiments in freedom and democracy will teach the world over the next decade." (Negri & Hardt "Arabs are democracy's new pioneers")
[参考] ハックティヴィスト集団「アノニマス」による反乱のためのアートワーク