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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼そして人生はつづく

▼リンダ・ホーグランド×浅井隆×三田玲子×イルコモンズ
 (東京・渋谷アップリンク 2011年3月18日)

 いつものことだが、話しそびれたことはたくさんある。特に「いまやれること」と「いましかやれないこと」については、ぜひ話したかったのだが、それについては、いずれまだどこかで話したり書くことにして、とりあえず、いま補足しておきたいのは、先日のブログに書いた、「いま、この状況で、上映することで、かがやきを増し、見る人たちに力を与えるタイプの映画」のこと。たとえば、この映画。

▼そして人生はつづく_d0017381_672074.jpg
▼アッバス・キアロスタミ監督「そして人生はつづく」(1992年 イラン)
(ZENDEGI EDAME DARAD /AND LIFE GOES ON …)

 「1990年、イラン北部一帯を三万五千人以上の死者を出した大地震が襲い、キアロスタミが四年前に撮影した『友だちのうちはどこ?』のロケ地、コケール村も壊滅的な被害を蒙った。地震の数日後、出演者の消息をたずねる為に息子を連れ被災地へと向かったキアロスタミは、惨状にも関わらず強く生き抜く村人達、不変の美しい自然、あまたの続きゆく人生に、強く心を打たれ、本作『そして人生はつづく』の制作に取りかかるのであった。いわゆる「ジグザグ道三部作」の二作目である。
 被災地に近付くにつれ、甚大な被害の痕跡が車窓から彼らを生々しく襲う。崩壊した村落。瓦礫の山を片付ける、家族を亡くした多くの人々。落岩に押し潰された、ひしゃげた車。山肌の痛々しい何本もの亀裂……。道中で出会ったコケール村出身者に、監督は車中から『友だちのうちはどこ?』のチラシを見せて村人の消息を尋ねるのだが、「コケール村は全滅で彼らの消息は分からない」との返答。
 やがて、見覚えのある老人にばったりと出会う。『友だちのうちはどこ?』でアハマッドに道を教える役を演じたルヒだ。「何に使うか、見れば分かるだろ? 死んだ人は死んだ人。生き残った者にはなくてはならぬ物だよ」と笑わせながら便器を運んでいる。彼は言う。「人は年寄りになって初めて若さが分かる。死んで初めて生きているありがたさが分かる。墓に入った者が生き返ったら、人生をより良く生きるようになるだろう」
 ある村では、避難テント生活を強いられている被災者が、アンテナを立てて、真っ只中のワールド・カップ中継をテレビ観戦しようとしている。映画監督は聞く。こんな時にサッカー? そしてその被災者は答える。「ワールド・カップは四年に一度だからね。地震は四十年に一度だけど」。
 ここにあるのは、生き残った者達の力強い「生」への意欲である。嘆き悲しむばかりではない、連続する「生」。人生は続くのである。 そして特筆すべきは、映画史に残るであろうラスト・シーンの美しさだ。ジグザグにゆく急勾配の道を、長回しのロング・ショットで鳥瞰するカメラ。エンストを起こしながらも、何とか登ってゆく監督のボロ車。物資を運ぶ男。ヴィヴァルディ。茶色の山肌。人生は続くのである。」(「中川敬のシネマは自由をめざす!」より抜粋)

 ほんとに、来週でも再来週でも、「もしこういうセレクションの映画のイベントがあれば、僕は東京に残ることに決めたので、いつでも駆けつけます」。そして、いまはまだ無理だけど、いずれその時期がきたら、被災地の人たちに、ぜひこの映画をみてもらいたい。
by illcommonz | 2011-03-19 06:09
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