▼
「震災、ミッフィーの目には… ブルーナさんがメッセージ」
「震災や原発事故におびえ、悲しい思いをしている子どもたちに向け、絵本の主人公ミッフィーのイラストとメッセージが26日に届いた。作者のディック・ブルーナさん(83)がオランダから、朝日新聞あてに電子メールで送ってくれた。あまり泣かない子うさぎが大粒の涙を流している。しかも2粒も。あえて色はつけなかったという。鉛筆で力を込めて「日本のみなさまへ思いを込めて ディック・ブルーナ」。簡素なイラストとメッセージのなかに、ブルーナさんの深い悲しみと優しさが感じられる。よく似た絵柄はこれまでの絵本に発表されているが、本社記者の呼びかけに応じて新しくかいてくれた。「被災地の子どもたちに必要なのは、食べもの、暖かいストーブ、そして夢と希望です。あなたのイラストで、子どもたちに希望を与えて下さい」と頼むと、すぐに「わかりました。心をこめてかきましょう。しばらく時間を下さい」と返事をくれた。ブルーナさんはオランダを代表するグラフィックデザイナーで絵本作家。96年には家族との死別をテーマに絵本「うさこちゃんのだいすきなおばあちゃん」を発表しており、その絵本でも涙を2粒描いた。「愛する人との別れは悲しいことです。でも「あなたの人生はこれからも続いていくんだよ」と伝えたかったのです」と、涙のわけを語っていた。今回も2粒の涙で、ブルーナさんは日本の子どもたちに寄り添っている。」(朝日新聞 2011年3月28日)