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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼音楽にうるさいオヤジが最後にきいた音楽は
▼音楽にうるさいオヤジが最後にきいた音楽は_d0017381_1375280.jpg むかし、やたらと「音楽にうるさいオヤジ」というのがいた。中村とうようが、まさにそうだった。ときどき「うるさいなぁ」と思うこともあったが、しかし、そういう「うるさいオヤジ」がいてくれてよかったと思う。おかげで音楽を聞く姿勢ができた。単にいまそこで聞こえている音楽を享楽的・趣味的に聞くだけでなく、音楽を通して、その音楽の背景にある、決してゆるがせにできない歴史や社会背景を知ろうとする姿勢は、中村とうようが「ミュージックマガジン」に連載していた「とうようズ・トーク」から学んだ思う。そしてそれが自分の音楽体験と人生を確実に豊かにしてくれた。「アフリカの音が聞こえてくる」を読まなければ、アフリカに行くこともなかっただろう。「大衆音楽の真実」を読まなければ、ジャンルにこだわらず、どの国のどの時代の音楽でも、「とにかく聴いてみよう」とする耳と心を持つことはできなかっただろう。「ミュージックマガジン」を読みはじめたのは15歳くらいなので、かれこれ30年近く、うるさいオヤジの音楽語りを聞いてきたわけだ。そして「とうようズ・トーク」をよみながら、たぶんこの人は死ぬ瞬間まで音楽を聞き、音楽について語るのをやめないのだろう、とそう思っていた。二〇世紀のなかばから二十一世紀のはじめまで、およそひとりの人間がその生涯に耳にする音楽の、そのおそらく何百倍もの音楽を聴いて、「もう、これで十分だ」と思ったのだろうか。自殺の理由はわからないが、中村とうようが自らの手でOFFにした人生のプレーヤーで、最後に何の曲を聞いたのかは知りたいような気がする。そして、この自殺で「おい、ちゃんと音楽をきいてるか?」と喝をいれられたような気がした。そうだった。姿勢をただして、ちゃんと音楽をきこう。そして願わくば、自分もまた「音楽にうるさいオヤジ」になり、この世で聞けるだけたくさんの音楽を聞いて、最後に「音楽のある世界に生まれてよかった」と思いながら死にたい、とそう思った。

「音楽評論家の中村とうようさん死亡、自殺か」
「21日午前10時15分頃、東京都立川市柴崎町2のマンション敷地内で、音楽評論家の中村とうよう(本名・中村東洋)さん(79)が倒れているのを通行人の女性が発見し、119番した。中村さんは病院に搬送されたが頭や胸を強く打っており、間もなく死亡が確認された。警視庁立川署は、中村さんがマンション8階の自宅から飛び降り自殺を図ったとみている。同署によると、中村さんは1人暮らし。自宅からは、遺書のような文書が見つかったという。中村さんは京大卒業後、銀行員を経て音楽評論の道に入り、1969年に音楽専門誌「ニューミュージック・マガジン」(現ミュージック・マガジン)を創刊。ジャズやフォーク、ロックからワールドミュージックまで幅広い評論活動で知られていた。(2011年7月21日 読売新聞)
by illcommonz | 2011-07-22 01:40
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