はじめに、ふた、ありき
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3.11からもうすぐ半年が経過します。この半年のあいだに日本中で数多くのデモが行われました。これまでデモにまったく縁のなかった大勢の人たちが、反/脱原発の運動に参加しましたが、ここにきてそろそろ、慣れないことやはじめてのことからくるストレスや疲れが出はじめてきたように思います。でも、ここでやめてしまっては、元の木阿弥(もとのもくあみ)です。これからも持続的にデモと運動を続けてゆかなければ、いまの状況は変わらないでしょう。一方、この期に及んでもなお原発を存続させようとする電力会社や政治家たちは、人びとが疲れるのを待っています。消耗するのを待っています。生身(なまみ)の人間である私たちは、それにどうやって対抗すればよいでしょう。
以下に紹介するのは「息の長い運動のために/バーンアウトを回避するためのヒント集」というマニュアルです。これは「アクティヴィスト・トラウマ・サポート」というアクティヴィストのグループが作成し、「フェミニスト&クィア・ユニット」というグループが日本語に翻訳しました(紹介するにあたって、オリジナル版にない画像を加え、字句を一部変えたところがあります)。どうか、このマニュアルをひろく共有し、これからの「息の長い反/脱原発運動」のために役立ててください。 ------------------------------------------------------------ 息の長い運動のために/ 運動によるバーンアウトを 回避するためのヒント集 (Sustainable Activism & Avoiding Burnout) [制作]アクティヴィスト・トラウマ・サポート [翻訳]フェミニスト&クィア・ユニット ▼英語PDF版 ▼日本語訳版 「バーンアウト」(*訳注:日本語に言い換えると「燃え尽き」「極度の身体的・情緒的疲労」、運動の文脈で意訳すると「運動疲れ」)は、政治的かつ運動の問題です。真面目な活動家が運動によって生じたバーンアウトでつらい思いをしたり、運動の界隈から去っていくという事態がこれまでずっと起きてきました。 バーンアウトについて、運動に関わっていれば派生的に起こるものだ、という単純な理解が広範にみられます。しかし、わたしたちは集団的な取り組みを行っているのだから、もしバーンアウトで苦しんでいる人がいるなら、それは全体にも良くない影響をもたらすことになります。 自分たちのための振る舞いであれ、周りの人への振る舞いであれ、行為のあり様は大きな影響を持ちます。楽しむことができて効果的な行動や過程が、そうではない行動や過程に容易に転じてしまうことがあります。このチラシは、バーンアウトに苦しむ人を責めたり批難するものでは全くなく、よりしっかりとお互いを助け合う必要があるという事実を強調するためのものです。バーンアウトは活動家の生活のひとつの現実だ、と考える必要はないのです。わたしたちは大事な活動の仲間を失ってきたけれども、そんなことを続ける必要はありません。 このワークショップ/チラシは、社会変革の最も効果的な方法と、わたしたちの社会が地球を破壊するのを食い止める方法は、自己変革と人々の相互的関与や自然との関わり方を通じてなされる、という前提から始めます。 ものごとを別のやり方で、より効果的に行うこと、そして非常に大事なのは、破壊的なやり方を少しでも取り除いて行うこと。ある意味では、これこそがわたしたちの運動がどのようなものなのかを示しています。自らの精神的・感情的・身体的健康への向き合い方を見直すことは、次のような大きな役割を果たすでしょう。わたしたちのアクティヴィズムがさらにしっかりと継続され、わたしたちがバーンアウトを回避することを助けることによってはじめて、わたしたちの抵抗は継続されてゆくのです。 ■バーンアウトとは何か? 「バーンアウトは、感情的な負荷を伴う状況(たいへんだと感じる状況)にある程度の長い期間関わったことによって引き起こされる身体的、感情的、精神的な疲労状態として定義され、あるいは主観的に経験されます。感情的負荷が生じるのは、多くの場合、極度に高い期待や継続的ストレス状況の組みあわせによってです。バーンアウトは身体的消耗、無力感や絶望、幻滅、否定的自己評価、自分のしていることやまわりの人や人生そのものへの否定的態度といったもの含む、一連の徴候があります。極端な場合には、バーンアウトは状況に対処することが手に負えなくなる限界点を示すことになります。」(パインズ&アノンソン「キャリア・バーンアウト:原因と対処」1998年) 人生のきびしい局面にさしかかると、一般的に言って、ひとは活気を失くし、楽しむことができなくなって、一緒にいるのが愉快な人ではなくなってしまいます。バーンアウトは、危険信号として見ることが出来るかもしれないけれど、だからこそこの状況はより息の長い、健康的な仕事のやり方を改めて検証し、そうしたやり方を優先し発展させる機会でもあるのです。 R・D・レイン(1960年代の悪名高き精神科医)を引用するならば、「なにもかもダメにする(ブレイクダウン)必要はない。それは突破口(ブレイクスルー)でもあるのだから。」 バーンアウトは、多くの場合、働き過ぎや過剰なストレス、たくさんのストレス状態を経験することで引き起こされます。バーンアウトが起こりうるのは、あまりに多くのことを自分に要求していたり、高すぎる理想や非現実的な基準を自らに課している場合、そして、息抜きをするわけにはいかないと思ったり、他の人に任せることができない、と思ってしまう場合です。別の言い方をすれば、自分たちのことをいたわることが出来ない場合、自分たちの最も基本的なニーズを大事に出来ない場合にバーンアウトが起こるのです。 ■気をつけること バーンアウトは、時間をかけてすこしづつ起こります。それは身体的あるいは精神的に現われてきます。バーンアウトの徴候にはこういったものがあります。 ○自分の生活が運動に乗っ取られてるような気分がかすめる。 ○判断を下すのが難しい ○集中できない ○不眠症、寝つきが悪い ○悪い方に考えがちな傾向 ○目的意識ややる気の喪失 ○身体的なバーンアウトの目印には、筋肉の緊張、血のめぐりの悪化、アドレナリンの増加が含まれる。こうした身体の状態は、頭痛、肩こり、疲労につながる。 ○これまで楽しかったり興味を持っていた事柄―食事や友人との時間、その他の活動によろこびを見出せなくなる。 そのほかのバーンアウトの警告サインには、ささいなことへのいらだち、布団から出られない気分、事故にあいやすくなるなど。 ■何がバーンアウトを引き起こすのか? (1) 直接行動 直接行動は極度に激しい感情を掻き立てることがあります。わずかの時間に特異な事柄を経験することもあるでしょう。直接行動の運動を、これまでの人生で最も重大な、生き方を変えるような勇気づけられる出来事として見出す人が多くいます。しかし、仮に運動が敗北し、守ろうとしていたものが破壊された場合、「これはかつてない最悪の経験だ、こんなつらい経験はもう二度とご免だ」と言う人が出てきます。 要約すると、直接行動は時として多くの人にとって相当なトラウマとなりかねません。すべてのストレスに対処するための最善の方法は、おたがいを助けあい、支えあうことです。ストレス反応はアドレナリンの放出から始まり、それは一時的なエネルギーの発散をもたらします。 自分たちを常に焚きつけて意気高揚な状態を維持しようとしても、そうしたことは長続きしません。意気高揚な状態を続けるには、息抜きをして、困難な状況ではうずくまり、そして復帰する、という営みがなくてはなりません。何かがまちがっている、というメッセージを無視して[バーンアウトから]回復しない場合、わたしたちの心と体は注意を喚起するために何らかの苦痛や劇的なことに訴えることになるでしょう。これがバーンアウトなのです。 わたしたちは、絶えず酷使されることに耐えることのできる、すりへらない機械でもなければ兵士でもありません。こうしたことに怒るのは、まったくもって前向きで、健康的なことです。 [こうした状況に]侵されない人がいるとしたら、むしろ憂慮すべきことです。みんなで話をして、不安やストレスをたがいに聞きあう時間をつくることが大切です。わたしたちはしっかりとたがいにケアする必要があります。さらには、いつも大丈夫なようにふるまっているだけかもしれない「強い」人のことを忘れてはいけません。自分の感情を伝えることを怖がらないで。 気がかりな人が「大丈夫」と言いはる場合、バーンアウトに対処するのは難しいかもしれません。限界に近づいているような人が周囲にいたら、その人を問い詰めたりせず、ストレスを軽減させることに努めよう。自分がバーンアウト気味かもしれないと思ったら、躊躇せずに助けを求めよう。 (2) 内輪もめ バーンアウトの大きな原因のひとつは、グループ/人のあいだでもめごとが起こり、内輪もめで精力を消耗する状況です。内紛は批難したり責任をなすりつける相手を狙っている、ストレス状況下にいる人が出処になっていることが多くあります。それは、不信、いじめ、脅かし、虐待、ゴシップとなって現われることがあります。グループの力学に注意を払おう。悪意のある噂や悪感情を広めている人がいたら気をつけよう。 そういった人は極度のストレスを抱えているかもしれません。あるいは、要注意人物なのかもしれない。なぜなら、こういうことはグループを弱体化させるために潜入したスパイが用いるよくある手口だからです。 疑心暗鬼になる前に、批難の根拠の有無を確かめるために当人と話してみよう。猜疑心に憑かれた魔女狩りは誰のためにもならない。なによりもまずおたがいをいたわり、そして自分もいたわろう。たがいに尊重しあおう。 (3) アクティヴィスト文化 ある研究は、アクティヴィストのバーンアウトについて、次のことを強調しています。アクティヴィストのバーンアウトは、どれだけ自分たちを駆り立てたとしても到達することがまずあり得ない、非現実的な高い基準に自分たちを設定することから引き起こされる場合が多くあります。世界の重みを背負い、世界の問題が解決されるまでは休むことを自分に許さない。こういったやり方は確実に自分を疲弊させます。(参照 http://www.parkc.org/activist.htm) このような多くの人に共通する態度はどういった類の文化を作り出すことになるのだろうか? 運動として、充電のために休む必要があると表明している人を尊重する、と同時に、運動の停滞期を受け入れることができるだろうか? 仲間内で得られる敬意や賞賛は際限のない自己犠牲が要請される大義への献身といったものに対してなのだろうか? 運動の仕事は差し迫った緊急性の高いものであることが多い。この仕事上の性質は、要求度の高い労働倫理を育てる危険があるのではないか? 個人的犠牲を重んじる文化は、究極的に持続可能で効果的でありうるだろうか? 大義への献身というアクティヴィスト文化の負の側面には、わたしたちのコミュニティが最もやる気のある参加者を継続的に喪失するのと同時に、新たな参加者を運動に関わることから遠のかせるという傾向があります。 わたしたちが全般的な社会の変革を見たいと切望し、その変化になりたいのならば、今こそしっかりと次のことを認めなくてはなりません。絶え間なく自分たちやまわりを駆り立てても、それは長続きもしないし、望ましくない、ということを。世界を変えることは短距離を全力疾走することではなく、長距離マラソンなのだと覚えておく必要があります。ゆっくりと歩いていかなくてはならないのです。 「あなたが見たいと思う世界の変化があるなら、 あなた自身がその変化になりなさい」(ガンジー) ■バーンアウトを回避するための戦略:わたしたちの運動をさらに継続させるために わたしたちのコミュニティは仕事の抱え過ぎを防ぐために、定期的な見直しと余分な部分の除去が必要です。何かを引き受けたけれどできないのならば、できないとはっきりと伝えよう。やっていないのにあなたがやっていると思われるよりはいい。いろいろ異なる活動を取り混ぜながら、定期的に休みを取るようにしよう。あなたの権利でありニーズでもあるバランスを取るために。大きな行動や仕事がはじまる前に、その合間に、そして、終わった後に休みをとる計画を立てよう。 あなたを最も消耗させる状況はどのようなものですか? そうした状況に対処する方法を編み出すことができますか?すべての行動に顔を出さなくてはいけないと感じる必要はありません。いいと思えないならば、しなければいいのです。 「誰もがテロをやめさせたいと思っています。 では、どうすればいいか。簡単なことです。 参加するのをやめればいいのです。」 (ノーム・チョムスキー) 自分の動機を知ることも助けになります。実のところ、より個人的な背景―幼児期の虐待や厳しい人生経験―から出てきている怒りと痛みを表現する方法として運動に関わる人がいます。ふたつの動機を持つことはできないとか、家庭内暴力に政治的側面がないなどと言っているのではありません。それでも、しかし、継続性の観点からは、何がどこから現われているのかを知っておくことは有益です。 感情的負荷の高い状況に長期にわたって関与しても、そうした状況が生み出している感情を吐き出す方法を持っていれば、対処がしやすくなります。サポート・ネットワーク、共同カウンセリング、スポーツ、セックス、自然の中にいること、基本的に仕事を忘れさせてくれること全般、こうしたことを通じて定期的に感情を吐き出すことが、あなたやまわりの人の最も良い面を引き出すのを助けるでしょう。 ものごとを流す方法を学び実践しよう。[ためこんだ]ものごとを流し、そこから先に進むことの出来る地点に到達するまで、自分に対する共感を持ちながら、みずからの痛みやストレス、おそれに向きあい、受けとめ、それらと共に仕事をすることが、そうしたやり方となります。 人としての自分を認めよう。あなたには楽しんだり、のんびりする権利があります。 自分の弱さを受けとめて外に示そう。わたしたちは機械ではありません。わたしたちがあわせ持つ傷つきやすい側面を認めない場合、そうした部分はさらに大きな問題となって回帰するものです。 ■出来る限り健康的ライフスタイルを送ろう (抄訳) ○やる気を維持するために十分な睡眠と休息を取る ○健康でバランスの取れた食事、新鮮な果物と野菜を食べ、ジャンクフードを減らし、食事を抜かさない。 ○定期的な有酸素運動をする。(水泳やサイクリングなど) ○刺激物の摂取や娯楽的薬物が自分の仕事に役に立っているのか、あるいは妨げになっているのか、よく考える。 ■その他のヒント ○身体的/感情的エネルギーを管理するための簡単な心身技術、呼吸法。 ○生理学的には深い呼吸はストレスや不安を防ぐ。 ○太極拳、気孔、瞑想、ヨガ。どれも深い呼吸を会得するのによい。 ○マッサージ ○子どもと遊んだり一緒に過ごす ○個人やグループの成し遂げたことを祝う ○肯定的なスペース、イベント、オルタナティブ(気候温暖化に反対するキャンプなど)を創ってみる。 ある種のスピリチュアルな実践を一切持たないアクティヴィストは、遅かれ早かれバーンアウトに達するが、何らかのスピリチュアルな実践がある人は、再び活気を取りもどし、情熱を燃やし続けるためのやり方にいつでも戻ってくる、というスターホークによる知見もあります。スピリチュアルな実践とは瞑想、自然の中を歩くこと、パーマカルチャー農法や庭の手入まで含まれるでしょう。[音楽や文学も含まれるのでは]基本的には、良いもの、美しいものを感受し、地球のすべての生きものを肯定する感覚を育てることなら何でも含まれます。 自分の創造性を引き出そう。アクティヴィストは創造的集団だとしばしば形容されます。警察を出し抜いたり、企業の詐欺を頓挫させるのとは別の領域で創造性を試してみるのはどうだろうか。 突き詰めてみれば、結局のところ、万能な処方箋があるわけではありません。バーンアウトを回避し対処することを含めた回復の過程は、わたしたちひとりひとりがそうであるのと同じように、ただひとつの独自のものになるでしょう。単にこの文章を読んだから試してみる、というのなら意味はありません。自分の情熱に従って活動や実践をすることが、バーンアウトからの回復に肝心なことなのです。 TAKE CARE OF EACH OTHER
by illcommonz
| 2011-08-26 05:51
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