▼齋藤武宏「アーティストたちが「3.11」後を描く本当の理由」
「岡本太郎の壁画に手を加えたアーティスト集団・Chim↑Pomnoの「作品」は「いたずら」扱いされ、原発事故をテーマにするだけで「不謹慎」のレッテルを貼られる現在だが、アーティストの表現活動は止まらない。彼らを動かす原動力はどこにあるのか?」
今日発売の「SPA!」に掲載の上記の記事で、Chim↑Pom、宮沢章夫、高山明、とならんで、アトミックサイトがとりあげられました。取材は、メールでの質問にこたえるというかたちでおこなわれ、その回答の一部が掲載されました。掲載されなかった質問と回答をイルコモンズに無断でここに転載します。
【質問①】一連の原発事故関連作品を手掛けたきっかけや理由は何なのでしょうか?
「あの時あなたはどこで何をしてましたか?」といつか誰かにそう問われたとき、ちゃんと返事ができる表現者でありたいと思い、アトミックサイトをはじめました。3.11以後「アートは無力だ」という言葉を何度か耳にしました。暴力や権力に頼らないという意味では、アートは無力ですが、無力であるからこそ、それに抵抗する姿勢がアートだと思います。僕はアートが無力だという人を信じません。「アートは無力」だという言葉が、何かの言い訳でないことを願います。
【質問②】多くのアーティストが、今「原発事故」というテーマを選んでいるのはなぜだと思いますか?
現代美術は「同時代の芸術」です。その現代美術のアーティストたちが、いま、この時期に、原発事故をテーマに選ばないとしたら、むしろその方が変で、「なぜ」と聞きたいくらいです。3.11以後、僕は大学で「3.11以後の芸術の発生学」という講義をはじめました。その講義では、音楽、文学、デザイン、映画、演劇、マンガなどの分野で、3.11以後にうまれてきた表現をとりあげています。その講義を通して分かったのは、いまいちばん活発な表現の分野はデモだということです。だから、アトミックサイトでは、デモを「同時代の芸術」として展示しました。
(回答者=イルコモンズ)