「対する東電はこう、こう主張した。「原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない。答弁書で東電は放射能物質を「もともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。したがって検出された放射性物質は責任者がいない、と主張する。さらに答弁書は続ける。「所有権を観念し得るとしても、 既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者 (東電) が放射性物質を所有しているわけではない」(朝日新聞 2011年11月24日)
この理屈が通るのなら、電気だって同じではないだろうか。つまり、発電所からその外に送電されてしまえば、その電気は東電の所有物ではなくなることになり、東電はその電気を所有していると考えてはならない。なぜなら、その電気はすでに電灯や冷蔵庫やパソコンの中に通電しているはずだからである。その電気のどこを調べても東電の名前は書いてない。そう、放射性物質が「無主物」なら、同じように、電気もまた「無主物」であるはずである、いや、そうでなければならない。したがって東電は、送電した電気をもはや所有していないないので、私たちは東電に電気代を一円も払う必要がない。「いや、まて、そんな屁理屈は通らない」というのなら、その言葉をそっくり東電に返してやりたい。屁理屈をこねているのは東電の方で、誰がなんといおうと、放射性物質は東電のものである。わたしたちはゆるさないし、わすれない。私たちは大群である。リメンバー、リメンバー、3.11、いつかかならず返してやるから、覚悟してろ。
▼イルコモンズ作「石棺」(「アトミックサイト」(2011年)展示品)
(※福島の保育園の園庭の土(およそ12μシーベルト)をセメントで石棺にしたもの)