はじめに、ふた、ありき
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前回の文化人類学解放講座では、いま世界中にどんどん広がっている「OWS(ウォール街占拠)」をよびかけたアドバスターズのカレ・ラスンが、この20年間、毎年この時期によびかけてきた「バイ・ナッシング・デイ」を紹介しましたが、今年もまた「ブラックフライデーの悲劇」がくりかえされてしまいました。まずはニュースと動画を見てみてください。 ▼「米年末商戦開始、一部店舗では催涙スプレーや銃撃騒ぎも」 「米年末商戦の幕開けとして注目される感謝祭翌日の金曜日「ブラックフライデー」(25日)には、一部の小売店で買い物客が銃撃されたり、催涙スプレーをかけられたりという騒ぎがあった。当局が明らかにした。ロサンゼルスのウォルマートでは、24日深夜に販売開始となるゲーム機「Xbox」を買おうと群がっていた客の1人である女が唐辛子スプレーを噴射し、周りにいた約20人にけがを負わせた。 また、ノースカロライナ州キンストンにあるウォルマートでは、警備員として雇われていた非番の警官らが、乱暴な客を抑えるために唐辛子スプレーを使用。同店では真夜中に電化製品の特売が始まる予定だったが、しびれを切らした客が販売開始前に商品を奪い取ろうとしたため、警備員がスプレーを使ったという。 一方、カリフォルニア州サンリアンドロのウォルマートでは午前1時50分、買い物を終えた男性が駐車場で強盗に襲われ、銃で撃たれる事件があった。男性は重傷だが容態は安定しているという。 アリゾナ州ケーブクリークのウォルマートでは、24日遅くに従業員の休憩所で爆破装置のようなものが見つかり、店舗が一時閉鎖された。地元警察はロボットを使って装置を回収、爆発物探知犬で点検した後に店は再開された。ブラックフライデーは米国の小売業界にとって、1年で最も忙しい日となっている。」(ロイター通信 2011年11月28日) 動画のコメントやタイトルにあるように、「フレンジー」とか「マッドネス」といいたくなるような光景ですが、なにが人をそうさせるのでしょうか?下のニュースの最後にある、心理学者のコメントをよんでみてください。 ▼「他の買い物客に催涙スプレー、ブラックフライデーで事件相次ぐ 米国」 「米国では感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日は、クリスマス商戦が本格的に始まり、小売店が黒字になることからブラックフライデーと呼ばれる。今年は25日がブラックフライデーだったが、ショッピングの楽しい雰囲気を台無しにする暴力事件が少なくとも7州で発生した。カリフォルニア州では、女性が値引きされたビデオゲーム機を手に入れようとして、他の買い物客に護身用の催涙スプレーを浴びせる事件が発生した。事件は24日の晩、ロサンゼルス郊外のウォルマートの店舗内で起きた。15人ほどの客がスプレーを浴びたが、病院に運ばれた人はいなかったという。サウスカロライナ、ノースカロライナ、フロリダ、ニューヨーク、アラバマ、コネティカットの各州でも事件が発生したが、その大半はウォルマートの店内、あるいはその近くで発生した。 この件について、全米で数千の店舗を展開するウォルマートは、あくまで買い物客の安全を強調した。ウォルマートの広報担当は「いくつか不幸な事件は起きたが、全体的には客の反応は上々だ」と語った。2008年のブラックフライデーには、ニューヨークのウォルマートで開店時間の午前5時に従業員がドアを開けようとしたところ、買い物客が殺到し、従業員の1人が客らに踏みつけられる事件が起きた。今年は、死者こそ報告されていないが、警察は25日の午前中、けんかや発砲といった事件の対応に追われたという。心理学者のジェフ・ガルデーレ氏は、不況の影響で消費者が少しでも安い品を手に入れようと必死な中、競争心をあおるようなセールを開催する小売店側にも責任があると指摘する。」(CNN 2011年11月27日) 前回の講義でみた映画「ザ・コーポレーション」は、「大企業の広告や宣伝がいかにして人を「買物好きの人間」にしてしまうか」ということを教えてくれる映画でしたが、こうしたブラック・フライデイの惨状をみると、もはや「買物好きの人間」というだけではすまないように思えます。カレ・ラスンが「バイ・ナッシング・デイ」をよびかけた理由はまさにそれなのです。 カレ・ラスンがよびかけて世界に広まったものは他にもあります。たとえば「テレビ消灯週間」や「ウィールマート(「ウォールマート」をもじった名前で、日本語に訳すと「くるくるマート」」)などがそうで、それはらいずれも、カレ・ラスンが「カルチャージャミング」と名づけた理論にもとづいて発案したもので、この理論はフランスの「シチュアシオニスト」たちの考えがモデルになっています。今回の講義では、カレ・ラスンのよびかけではじまり、その後、さまざまにアレンジされながら世界各地にひろまった「消費社会に抵抗するムーヴメント」あるいは「もはや宗教と呼ぶしかないようなショッピングをやめる運動」を動画で紹介します。 この動画は「宗教と社会」学会という、とてもマジメな学会での研究発表のために作成したもので、そのときの「タイトル」と「報告内容」は下記のとおりでした。 ............................................. 【学会名】 「宗教と社会」学会第15回学術大会 【分科会名】 テーマセッション「映像宗教学の射程」 【報告場所】 駒沢大学一号館203教場 【報告日時】 2007年6月10日(日) 【報告者】 小田マサノリ(中央大学・東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所) 【報告題目】 「グローバリズム時代の大量消費社会における「新たな宗教」に抗する「儀式的抵抗」とその記録映像をめぐる予備的な一考察~英国「ヴァキュームクリーナ」のアクティヴィストによる「ウィールマート」と「ショッピング礼拝」のプロモーション・ヴィデオを中心として」 【報告目的】 消費活動を現代社会の「新しい宗教」としてとらえ、「儀式」「礼拝」「悪魔祓い」「呪い」などの宗教的行為ならびに宗教的イディオムを、社会運動のアクションや社会批評の言説に「転用」したアクティヴィストによる「カルチャージャミング」の実例、ならびに、その手法や方法論を「映像資料」を使って提示すること 【動画の中の引用文】 ・「私たちはショッピングの時代に生きている」(スーザン・ソンタグ) ・「我、買うゆえに、我あり」(バーバラ・クルーガー) ・「今まさに我々は、未開社会のなかで生きている。コカコーラやGMといったトーテム、呪術的な言葉、儀式、タブーといったものにかこまれて生きている。形態はなにひとつ変わってはいないのだ 」(ジャン=リュック・ゴダール) ・「フランスの社会学者アンリ・ルフェーブルは「消費活動が中央集権的に調整される社会」という概念を提唱した。ぼくらの時代はまさにそんな世界になってしまっている。「文化」は「消費文化」となり、ぼくら自身も「市民」というより、「消費民」となってしまった。なにかがおかしい、といわざるを得ない」(カレ・ラスン) ...................................................... なんだか、とても長くて、堅くて、マジメで、いかにも学会発表らしいタイトルですが、実はこれ自体が学会というアカデミックな社会に対する一種のカルチャージャミング(あるいはプランク)になっています。 この動画の後半には、「OWS」を積極的にサポートし、「アノニマス」がよびかけた11月6日の「銀行を替える日」に、ユニオン・スクエアのバンク・オブ・アメリカの前で独自のアクションをおこなった「ビリー神父と買物やめよう合唱団」も登場します。では、どうか最後までごゆっくりごらんください。 [関連] ▼狂乱のブラックフライデー2011 http://illcomm.exblog.jp/15017766/ ▼祝「バイ・ナッシング・デイ20周年」 http://illcomm.exblog.jp/14990326/ ▼OWSをよびかけたカレ・ラスンからOWSへのBNDのよびかけ http://illcomm.exblog.jp/14995605/ ▼文化人類学解放講座:殺人マシン資本主義と災害資本主義の時代+BND2011 http://illcomm.exblog.jp/14990102/ ▼映画に(反)対してから(逸)脱して/イルコモンズ資料1[テキスト篇] http://illcomm.exblog.jp/10346177/ ▼アドバスターズの「2007年度テレビ消灯週間」 http://illcomm.exblog.jp/5234588/ ▼テレビ消灯週間 http://illcomm.exblog.jp/3018484/
by illcommonz
| 2011-11-30 05:05
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