▼アニエス・ヴァルダ監督 「落穂拾い」(2000年)
「ゴミがクリスマスの贈りものみたいに思える」(ある男性)
今回の講義では、アニエス・ヴァルダ監督「落穂拾い」をみます。このドキュメント映画で注目したいのは、資本主義のマーケットに回収されずに残ったものや、はみだしたもの、こぼれおちたもの、棄てられたもの、見捨てられたものたちと、それを拾いあつめる人たち(グラヌール=落穂拾いする人、あるいは、ダンプスター・ダイヴァー)がつくりだす経済です。この講義ではそれを、「市場に飼いならされない野生の経済」としてとらえます。そして、誰のものでもないと同時に誰のものでもある、路上に放置されたゴミははたして「無主物」なのか、「コモン」なのか、それとも「贈与」なのかについて考えます。都市のグラヌールは、ブリコルールであり、フラヌールであることや、ゴミ拾いの「野生の倫理」についてもお話します。映画をみながら、「無」に直面したとき、それに「それは無ではない」と抗議の声をあげ、それに抵抗するブリコルールのことばをどうか思い出してください。
「まだ何かの役にたつ」「まだ使える」」(ブリコルール)