「バイナッシング・デイは、ものを一切なにも買わずに、じっと我慢したり辛抱したりする日ではない。バイナッシング・デイは、不必要なものや、無駄なものを買わずにすませ、自分にとって本当に必要で、大事なものは何なのかを考える日である。云いかえるとそれは、自分にとって「無くてはこまるものを買う日」である。そう思うので、毎年、バイナッシング・デイには、買物をひとつだけすることにしている。」(
「無買日だからこそ買うものもある」)
これを書いたのは今から4年前で、そのときはバイナッシング・デイに刊行された「暮しの手帖」冬号を買った。特集は「ミシン入門」と「テディベア」そして「文化鍋」だった。ちょうどミシンがけをおぼえようとしていた時だったので、とても役にたった。いまでもミシンのそばに置いてある。そんなふうに、今年のバイナッシングデイも、ひとつだけ買物をした。それはバイナッシング・デイにあわせて刊行されたマーク・ボイルの「ぼくはお金を使わずに生きることにした」という本。
マーク・ボイルは2008年のバイナッシング・デイから一年間、お金を使わずに生活する実験を行った。この本はその記録である。本の帯にはこう書いてある。「この実験で証明したいのは、お金がなくても「生き延びられること」ではなく、豊かに暮せること」だ」と。しかい、お金といっても、お金のなかには、地域通貨のようなお金もあるし、寄付や募金ではお金がその額面以上のものとして輝きはじめ(フランク・キャプラの映画「我が家の楽園」と「素晴らしき哉人生」にはそういう魔法のようなシーンがある)、それを贈与することもできるので、自分はマーク・ボイルのような一切お金を使わない生き方をしようとは思わないが、この本に書かれている、自分の人生をお金に「占拠」されないライフ・スタイルにはとても興味があるし、それは「原発のいらない暮し」にもつながると思うので、寒くなるこれからの季節、時間をかけて、じっくり読んでみようと思っている。