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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼[3.11のフォークロア] 「人間の鎖」による国会包囲における「音」をめぐる闘争」

▼中村友紀「3.11 追悼と怒り No Nukes Demonstration in Tokyo」

 「2012年3月11日の夕べ、脱原発を訴えるために「人間の鎖」で国会を包囲するという企てに私は参加していた。その前に日比谷公園を起点にして行われたデモが1万数千人であり、他のデモの参加者も終了後参加したようだから、それよりも多かったのではなかろうか。いずれにせよ、1万人以上の人がそこにはいた。相も変わらず、警察は、「人間の鎖」を「規制」という名の妨害をかけていた。まず、国会に直接面する側の歩道を封鎖した。反対側の歩道には、周囲の車道が交差しており、さすがに横断歩道では「人間の鎖」はできない。さらに、歩道も二分し、「鎖」の側と通行路を分断していた。私は、大体国会図書館側にいたのであるが、別の側では、警察が「人間の鎖」ができないように妨害したところもあるようだ。警察は、「音」も規制した。国会周辺では、「旗」などはもってはいけないという規制があることを事前に主催者から告知されていた。しかし、「音」を規制するとは聞いていなかった。ところが、私と同行している友人の一人が持参したタンバリンを叩いていたら、警官が音を鳴らせないことになっていますと、ていねいな口調ではあるが、規制した。 別の友人は、「こんなことで逮捕されてもしかたがない」といって、タンバリンを叩くことを自重するように主張した。私自身もそんな気持ちをもった。しかし、タンバリンを叩いていた友人は、何の根拠もないといって、警官から遠ざかりつつ、叩き続けた。周囲の人びともにっこり笑い合って、タンバリンを叩き続けることを応援した。あまりにも数が多く、それ以上警官も規制することはなかった。
 そのうち、反対側から、右翼(在日特権を許さない市民の会であろうか)とおぼしき数名の人たちが、数多い警官に護衛されて歩いてきた。彼らは、口々に「人間の鎖」に参加している人びとを罵っていた。先ほどの友人は、ここでもタンバリンを鳴らした。そうすると、彼らは「うるせえんだよ」と血相をかえて怒ってきた。右翼も「音」は嫌いのようである。やや、時間が経って、ドラムを中心とした「楽隊」が、私たちのいたところを通過した。彼らの多くは、喪服をイメージしたものと思われる黒服に身を包んでいた。白い花を付けていた人たちもいた。そして「3.11 追悼と怒り」という旗がついていた。イルコモンズの人びとT.D.C.であった。

 イルコモンズのサイト「イルコモンズのふた」では、人間の鎖への参加が呼びかけられていた。

「3.11国会議事堂の前に一輪の白い花を」
 「3月11日、東京では東日本大震災の追悼と脱原発の思いを込めたデモ行進と"人間の鎖"による国会議事堂の包囲が行われます。震災で犠牲になった方々への追悼と、福島原発事故および原子力発電に対する国の対応への抗議の気持ちを込めて、国会議事堂の前に白い花を一輪、捧げませんか。」

 サイトによると、演奏されていた曲もこのような意味を有していたようである。

「追悼と怒りのテーマ(仮)」
 「(前略) 今回の「3.11追悼と怒り」のデモのために、世界各地のいろんな追悼曲や葬送曲を研究しました。いろいろきいてみた結果、「葬送行進曲」などがそうであるように、たいていの曲は「葬儀」や「葬列」そのものを連想させるもので、そこでは「怒り」がぬけてしまうので、既成の曲は避けようと思いました。そこで発想を変えて、こしらえたのが「追悼と怒りのテーマ(仮)」です。このテーマには手本があります。以前在籍していた国立の楽団「ウラン・ア・ゲル」の「橋の下」という曲のリフです。現在、ウラン・ア・ゲルは、中心メンバーのひとりが家庭の事情で音楽活動を停止し、さらにもうひとりのメンバーが、3.11の原発事故のために、東京から地方に移住したので、活動停止状態です。自分が3.11の原発事故で失くした大事なもののうちのひとつが、ウラン・ア・ゲルだったので、その想いもあって、「橋の下」をもとに「追悼と怒りのテーマ(仮)」のリフをつくりました。(中略) 「橋の下」は、かつて多摩川の橋のたもとで暮していた男性を悼むものとしてつくった曲です。「追悼と怒りのテーマ(仮)」では、「橋の下」で延々と繰り返されるリフからふたつの音をもらいました。B♭とFのくりかえしがそうです。そのリフに、最近、デモでやっているリフの、B♭とDのふたつの音を加えて、デモ用にアレンジしました。なので、基本の音は3つだけです。これなら初心者でも一週間くらい練習すればおぼえられるし、多少楽器ができる人なら、その場ですぐに吹けると思います。(後略)」(T.D.C.メーリングリストより抜粋)

 人間の鎖にも下記動画にもイルコモンズの人びとT.D.C.とおぼしき人たちが撮影されている。



 イルコモンズの人びとT.D.C.は、私たちからやや離れたところで、演奏を続けた。近くまで見に行った。かなりの迫力で、周囲に人びとが集まってきた。彼らのいたところは、国会図書館前で、国会議事堂正門とは反対側にある。たぶんに、人びとを誘導する意味もあったのであろう。警官もいた。メガフォンをもって何か話していた。たぶん、規制しようとしていたのであろう。しかし、演奏の音で、警官の規制などは、全く聞こえないのである。そのうち、イルコモンズの人びとT.D.C.は、演奏しながら、人間の鎖の前を行進しはじめた。私たちの前を通過していった。その後、不思議な出来事が起こった。「人間の鎖」に参加していた人びとが、口々に「原発いらない」などと叫びはじめたのだ。先ほど、警官に規制されて、タンバリンをならすことを自重させようとした人までが。その後、国会前を警備する警官隊に突っ込んだらどうなるのかという会話になった。もちろん、冗談まじりではあるが。私たちは、やはり日常では、権力の行使に従順だ。国会前で音を出すなという根拠もあまりないとおもわれる警官の規制に従おうとするくらい。しかし、この音をめぐる闘争は、1万人を超える人びとが口々に主張したら、さすがに警察も取り締まりすることはできないということを気づかせてくれた。1万人を超える人びとを逮捕するのはかなり難しい。そして、何の法律が根拠になるだろうか。音を出すということが逮捕に値することなのか。そして、例えば、口々に叫ぶ人びとの前で、イルコモンズの人びとT.D.C.のみを逮捕したら、どうなるのだろうか。

 この「音」をめぐる闘争には、はかとない反乱の予感があったように思われるのである。「イルコモンズのふた」(2011年4月22日)では、オペラ・トゥランドットのアリア「誰も寝てはならぬ」が紹介されている。この歌は、日比谷公園のデモのオープニングでも歌われていた。「そして、私の口づけが、沈黙の終わりとなり、私はあなたを手にいれる。夜よ、去れ。星よ、沈め。星よ、沈め。夜明けとともに、わたしは勝つ」「沈黙の終わり」こそが、必要なことなのである。

 誰も寝てはならぬ」
 作曲:ジャコモ・プッチーニ
 うた:ルチアーノ・パバロッティ

 誰も寝てはならぬ
 誰も寝てはならぬ

 冷たい寝室で
 愛と希望に打ちふるえる
 星たち見るのだ

 私の秘密は
 この胸のうちにあり、
 誰も私の名を知らない

 いや、そんなことにはならない
 夜明けとともに私は
 あなたの唇に告げよう
 そして、私の口づけが
 沈黙の終わりとなり
 私はあなたを手にいれる

 夜よ、去れ
 星よ、沈め
 星よ、沈め
 夜明けとともに
 わたしは勝つ
 わたしは勝つ
 わたしは勝つ

(中嶋久人「「人間の鎖」による国会包囲における「音」をめぐる闘争」2012年3月13日より)
by illcommonz | 2012-04-16 21:49
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