「核エネルギーについて、私たちが飲み込まされてきたウソの数々は、巧妙に仕上がられています。それは、はっきりいって原子力発電所そのものよりももっと見事に仕上げられた呪うべき景観です。そういうウソをでっちあげた連中は、けがらわしいチビ猿です。わたしはそんなやつらを憎む。自分ではスマートだと思っているかもしれないが、とんでもない、鼻つまみものです。わたしたちがもし放置しておくなら、彼らはわたしたちが、ここでいっていることへの反撃として、彼らの険悪で愚劣な大ウソの数々によって、この美しい青緑色の惑星の上にあるすべてのものを殺してしまうでしょう。」(カート・ヴォネガット)
「私たちは今こそ何かをしなければならない。だが、何をすればよいのだろう?」(カート・ヴォネガット)
「自然科学のようなふりをした詩」のような学問である人類学は、文学と同様、「こたえ」を出す学問ではない。人類学は、人間とはなにか? 社会とはなにか? そして、自分は人として何をすればよいのだろう?という「こたえのでない問い」にとりくみ、「こたえがわからないこと」にじっと耐えながら、何度も何度もくりかえし同じ問いを発し、人びとの心に火をともし続ける学問だと教わった。だから自分もそう教えているし、いまでもそう教わり続けている。