▼[教材] 「暗黒のかなたの光明~文明学者 梅棹忠夫がみた未来」(20分)
「地震や津波は人間に対する「自然の復讐」である。人々は火山の火口のまわりで死のダンスを踊りながら、太陽がまた明日も昇ると信じて、楽しい人生だなどと言っている。紳士淑女、大学教授、政治家などは、進歩や文明開化の名において、虚偽に虚偽を重ね、自然を破壊し、自然に背いている。自然は真空を嫌う。愛か憎悪か!自然は代償を好む。眼には眼を!自然は戦を好む。死か独立か!自然は復讐を奨励する。復讐は甘美である。「自然に背く害虫」である人間を殺すのは、自分達の女神である「自然の法」だ。彼等は進歩の名において、彼等よりもよきものを、彼等の堕落した水準にまで引きおろそうとしている。彼等のこの傲慢や術策の価値を彼等に知らせねばならぬ。」(夏目漱石)
「この文明の炎で焼き尽くされている被害者には際限がありません。しかも救いようのないことに、この文明がまったくよいものだと信じ込んで、人びとはその焼けつく炎に飛び込んでいるのです。人々は宗教を軽んじるようになってしまいましたが、この世から利益を得ることも実際にはできないでいるのです。この文明は私たちの機嫌をとりながら、実はわたしたちにかじりついているネズミのようなものです。その影響が十分現われてくれば、宗教的迷信のほうが、近代文明の弊害にくらべればまだ害がなかったということに私たちは気づくでしょう。」(M・ガンジー)
「民族学とは、未開社会という特殊な対象によって定義される専門職ではなく、いわば、ひとつのものの考え方であり、自分の社会に対して距離をとるならば、私たちもまた自分の社会の民族学者になるのである」(モーリス・メルロ=ポンティ)