はじめに、ふた、ありき
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▼「金曜日官邸前反原発抗議行動に参集する既存の運動諸団体各位へのお願い」 「毎週金曜日に官邸前をめざして行われている首都圏反原発連合有志が主催する抗議行動。2012年3月より開始され、大飯原発再稼働決定前後から参加者数が急増した。 かくいう私も、大飯原発再稼働決定前の6月24日にはじめて参加し、翌週は都合で不参加、7月6日は雨の中で遅れて参加したため、官邸前に近寄ることもできず、外務省前で声を張り上げることとなった。 この抗議行動について、既存の労働運動、平和運動、市民運動などの運動諸団体各位やその参加者から様々な声が寄せられている。いわく、生ぬるい、警察となれ合っている、籏を上げ自らの存在をアピールするのは当然である…。 私もいくつかの運動団体に所属し、運営する立場にある。これまでも、いくつかの運動の場でデモにも参加したり、主催する立場になったこともある。団体として、旗を上げるのが当然であるという気持ちも分かる。警察は国家の装置であり、国家の権力に対して異議を申し立てる際、その国家の装置に対話をもって接するのはおかしいと思う気持ちも分かる。生ぬるいと言えば生ぬるい。 しかし、しかしである。自らの胸に手を当てて考えて欲しい。私が所属し、運営に携わっている団体も含めて、少なくともこの10年、これほどまでに市民がひとつの問題で、個々人の自らの意志を持って直接行動に出たことがあったか? それを作り上げることができたか? 市民運動、大衆運動といいながら、その意志や意図を伝えきれず、その多くは停滞していたのではなかったか? 確かに私は、我々は、みなさんは、長く運動を続けている。ほとんどの人たちが気がつかないことに警鐘を上げ、それを社会化しようと取り組み続けてきた。今もその意志は変わらない。その意味はあると信じている。だからこそ続けている。それでも、多くの団体で運動の高齢化と言われ、後継問題が浮上している。47歳で20年以上取り組んでいる私でもまだまだ「若手」である。 今、毎週金曜日、官邸前、あるいは、東電前、関電前、大飯原発前で起きている「抗議行動」は、毎回多くの、これまでの運動の経緯を知らない、これまで社会の様々な出来事に疑問を持たなかった人たちが集まっている。先週の金曜日を見るがいい。雨の中、ものすごくたくさんの警官隊にはばまれ、分断されながらも、人々は、官邸前から遠く、日比谷あたりまで、長い長い行列をつくり、一歩も前に進むことができなくても、暴れることなく、荒れることなく、ただ、「再稼働反対」の声だけを上げ続けていたのである。そこに「いる」ことで意志を示したいという人々である。その静かな怒りは、これまでのどんな怒号よりも深い。 そこに行くことで、現実に抗議行動が行われていることを、実感するのである。そして、それが報道されないことを知るのである。無視されていることを知るのである。ネットで知ったのかも知れない、新聞の小さな記事で知ったのかも知れない、口コミかも知れない。それが、「行く」という直接行動に結びついたのである。 そのすごさは、運動を続け、人々に訴え続けてきた者ほど理解できるであろう。 だから、あえて既存の運動各位にお願いする。 はじめたのは、首都圏反原発連合有志である。彼らは、自らの籏を掲げてはいない。 「反原発」「大飯原発再稼働撤回」を訴えているだけである。 その彼らの行動に対し、人々が共感し、一個人として、現場に足を運び、意志を声に出しているのである。 その強い意志を尊重して欲しい。 金曜日の18時~20時までは、首都圏反原発連合有志が自ら掲げたルールに従い、礼節を保ち、団体の意志ではなく、個の意志を発露し、反原発、大飯原発再稼働撤回の一点に絞って抗議行動を継続できるよう、主体的に参加しようではないか。ルールを守らないものをおだやかにいさめ、小さな子どもやお年寄りが参加しても大丈夫なように配慮しようではないか。我々は、集団が暴走する危険、あるいは、警察と対峙したときの身の危険は十分知っているではないか。だからこそ、首都圏反原発連合有志が主催者として暴走を防ごうとすることを尊重し、支援しようではないか。 そして、帰りの長い列の人たちに、チラシやビラを配り、運動のよびかけをしよう。 もし、旗を上げて戦いたければ、別の曜日や別の場所を決め、自ら呼びかけてやればよいではないか。今までもそうしてきたのだ。 今回の動きが、どのような決着をみせるのかは分からない。大飯原発停止による自然終結となればよい。それを達成目標として続けるしかない。 はじまったばかりである。 原発推進側による妨害工作ならばともかく、反原発、脱原発の籏を掲げている者は、この流れを壊すようなことをしないで欲しい。素直に、この若者達の「運動」を支援しよう。 2012.7.8 一個人として、牧下圭貴 (牧下圭貴「金曜日官邸前反原発抗議行動について(運動団体各位へ)」より)
by illcommonz
| 2012-07-09 02:28
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