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「脱原発 国民意思から後退「30年代ゼロ目標」決定」
「政府は十四日、今後の原子力政策をめぐり、関係閣僚らによるエネルギー・環境会議を開き、二〇三〇年代の原発ゼロを明記した「革新的エネルギー・環境戦略」を決定した。使用済み核燃料から新たな核燃料をつくる再処理事業は不要になるにもかかわらず、続けることを決めた。原発の稼働は原則四十年に制限するが、安全が確認されれば期間内は「重要電源」として再稼働を認め、三〇年時点での原発依存度は実質的に15%になる。多くの国民が求めたすべての原発からの脱却を含め、三〇年までの稼働ゼロから大きく後退した。戦略には判断の先送りや矛盾を抱える内容が多い。だが、野田佳彦首相は会議後、「見通せない将来について確定的なことを決めるのはむしろ無責任だ」と説明した。戦略は、近く国家戦略会議に報告し、閣議決定する。戦略は「原発に依存しない社会の一日も早い実現」を目指し「三〇年代にゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と表現した。」(2012年9月15日 東京新聞)
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「経産相、大間原発・島根3号機の建設を容認」
「枝野経済産業相は15日、青森県の三村申吾知事や原子力施設のある市町村の首長らと青森市で会談し、東日本大震災後に工事を中断した電源開発大間(おおま)原子力発電所(青森県大間町)と中国電力島根原発3号機(松江市)の建設再開・稼働を事実上、容認する考えを伝えた。両原発の建設が再開されれば、震災後初めての原発建設となる。政府は14日に決めた「革新的エネルギー・環境戦略」に、2030年代に原発の稼働をゼロにする目標を明記した。運転期間を40年とする政府の原則に従えば、建設を再開した原発は50年代まで稼働できることになり、新たなエネルギー戦略の矛盾を早くも露呈する形となった。枝野氏は会談で「原子炉の設置と工事計画許可が与えられている原発について、経産省の立場として変更は考えていない」と述べ、19日に発足する原子力規制委員会が安全を確認すれば、建設再開・稼働を認める方針を示した。建設中の原発は、大間、島根3号機のほか、東京電力東通(ひがしどおり)原発1号機(青森県東通村)がある。ただ、東通1号機について、枝野氏は「東電が原子力について議論できる段階ではまだない」と述べており、建設再開の対象にはならないとみられる。」(2012年9月15日 読売新聞)