「官邸前のデモ、5年ぐらい続かないかな、と思ってるんだけど」 という上の発言は、「SIGHT」最新号=53号掲載のインタヴューの、古賀茂明さんの発言。前にもここでご紹介しましたが。「あの官邸前のデモ、「あんなことやってもただの自己満足じゃないか」とか、いろいろ批判している人たちもいるけど、そんなことはなくて、官邸はあれをものすごく気にしているわけですよ。あれによって、すぐ原発を止めよう、というところまではいかないにしても、明らかに気にしているわけですよ。選挙が近いから」というのが、古賀さんのお話の前提。つまり、今、民主党が、「将来的には原発をゼロに」に近いことを言わざるを得ないように追い込んでいるのは、結局、世論なんだから、重要なのは、我々がいつまでしつこく「原発ゼロだ」と言い続けられるかだ、と。」(
兵庫慎司「官邸前のデモ、5年ぐらい続かないかな、と思ってるんだけど」SIGHT 編集部日記 2012年10月28日)
想像してみよう、もし、官邸前の抗議が5年続いたら......ということはつまり、これから5年のあいだ、春も夏も秋も冬も、毎週金曜の夜、大勢で国会前に集まって、きっちり2時間、怒りのドラムを叩きまくり、憤怒のホーンを吹きまくったとしたら、おそらく、通称・ドラム隊は、コーネリアス・カデューのスクラッチ・オーケストラと、ブライアン・イーノのポーツマス・シンフォニアと、フェラ・クティのエジプト80と、高橋悠治の水牛楽団を合体させたような、世界屈指の「たたかう音楽」になるだろう。
そこでは69種類の怒りのコールが、48種類のリズム・パタンと55種類のリフで奔放に奏でられ、毎週、週替わりで、フリージャズ、トライバル・ビーツ、ファンク、デルタ・ブルース、ヒップホップ、グラインド・コア、阿波踊り、ダブステップなどによる、すさまじい抗議の声と音を、国会前に毎週毎週毎週毎週、響かせるだろう。すごいことだ。そのとき自分は何をしているだろう?たぶん29番目の
デモ用改造楽器をつくっていると思う。もともと自分はあきやすい。だからこそ、楽器をとっかえひっかえし、技能的実践家として、改造し、工夫し、いつまでも、しつこく、しぶとく続けられるやり方を、いつも考えている。それがロックの魂である「キープ・オン・ロック」(←死語)ということだと思う。