はじめに、ふた、ありき
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「欧米各国でこれまでの戦争でなくなった軍人の追悼が行われた(第一次大戦の終結した)11月11日、イスラエルは一般市民に銃口を向けました。翌11月12日の朝刊はこれまでの戦争や現在進行中の戦いで犠牲になった人に関する報道であふれ、読者はこうして新しい週を悲痛な思いで迎えました。しかし、これらの報道には、今日の戦争の犠牲者の大半が一般市民であるという事実に言及するものはほとんどありませんでした。11月11日の「パレスチナ人権センター(PCHR)」からの報告によれば、それまでの72時間に、2人のパレスチナ治安要員だけでなく、3人の子どもを含む5人の一般市民がガザ地区で殺されました。そのうち4つの命が失われたのは、サッカーをする子どもたちに向けイスラエル軍が砲撃したからです。この砲撃で4人が死亡しただけでなく、6人の女性、12人の子どを含む52人の一般市民が負傷しました(この文を書き始めてからも、パレスチナ人犠牲者の数は増え続けています)。 ガザにおける殺害を報道する記事でさえも、論点はパレスチナ治安要員が殺されたことに集中する傾向があります。11月12日にCBCニュースで放送された別のAP電は『ガザからのロケット砲撃で、強まるイスラエル政府への圧力』と伝え、イスラエル人女性が自分の居間にできた天井の穴を見つめる写真が添えられていました。もちろん、ガザ地区の数えきれない犠牲者、死者への言及もなければ、それを伝える写真もありませんでした。 ガザから発射されるロケット弾は一人の犠牲も出していないにも関わらず、報道は圧倒的に、これに集中しています。報道が目を向けないのは無数の重傷者、死傷者を出しているガザへの爆撃であり空爆です。メディア学の専門家でなくても、私たちが目にするのは、ひいき目に見ても粗悪なゆがめられた報道であり、最悪の場合、読者を故意に不正に操作しようとしているものであることがわかります。 さらにまた、ガザ地区のパレスチナ人犠牲者に言及する記事でさえ、イスラエルの攻撃はイスラエル兵を負傷させたガザからのロケット砲撃に対する報復であるという論調に終始しています。しかし、今回の事件を時系列で見ると、発端は11月5日、アフマド・アル=ナバヒーンという精神障害を持つ何の罪もない20才の青年が国境近くをぶらついていて撃たれたことでした。かけつけた医者たちは6時間も足止めをされ、その遅れが彼の命を奪ったに違いないと思っています。そして、11月8日、家の前でサッカーボールを蹴っていた13才の男の子がガザ地区に戦車やヘリコプターを伴って侵攻したイスラエル軍の銃撃で殺されました。したがって、11月10日に4人のイスラエル兵が国境付近で負傷したのは、ガザ地区で暮らす一般市民が殺された後のことであり、すでに進行中の事態の一環であり、それが(今回の攻撃の)きっかけとはなりえないのです。 私たち、下記に署名する者は、最近、ガザ訪問から戻りました。私たちの中にはソーシャルメディアなどを通じて、ガザに暮らすパレスチナ人と連絡をとるものもいます。ガザの住民は2晩続けて眠ることができませんでした。人口が密集するガザ地区内の様々な目標に向けた無人航空機、F16戦闘機の飛来、無差別爆撃が継続的に続いたからです。これらの攻撃の意図は住民を威嚇することであり、それが効果を上げていることは、私たちの友人たちの話からわかります。フェイスブックへの投稿がなかったとしたら、ガザで暮らす普通のパレスチナの一般市民が、どれほどの恐怖にさらされているのか、知ることはできなかったでしょう。イスラエルの市民が置かれている恐怖やショックが世界の耳目を集めているのとは、際立った違いです。 偶然ガザにいて、シーファ病院の緊急病棟で治療を助けたカナダ人医師は次のように報告しています。「負傷者は全員一般市民であり、銃撃による複数の刺創があった。脳や首の損傷、血気胸、心膜タンポナーデ、脾臓断裂、腸管穿孔、切り裂かれた四肢、トラウマを引き起こす切断。これらの治療をするのに、モニターもなく、聴診器も足りず、超音波機械も1台だけ」「犠牲者の数が多すぎて、重傷でも致命傷ではない怪我人のほとんどは、翌朝に再診断するということで、帰宅させられた。突き刺さった弾片の傷はおぞましかった。表面の傷は小さいのに体内の広い範囲が損傷していた。 麻酔のためのモルヒネもほとんどない」 どうも、ニューヨークタイムズ紙、CBCやBBCにとっては、このような情景は報道に価しないようです。西側メディアがパレスチナ人の弾圧に関して偏っており、不正を働いていることはこれが初めてのことではなく、これまでにも指摘されてきたことです。にもかかわらず、イスラエル政府は米国、カナダ、EUなど私たちの政府からの暗黙の了解のもと、資金面でのサポート、軍事支援、道徳的な支援を受けながら、人道に反する罪を犯し続けています。 私たちは、これらの行為をしっかりと報道しない主要(商業)メディアに対して憤激を表明します。事実を覆い隠そうとする組織的な方針の道具になることを拒否せよと、報道機関で働いている世界中のジャーナリストに呼びかけます。世界の市民には、独立系メディアなどから情報を収集し、どんな手段を使ってでも、できる方法で、自らの良心を声にするよう、呼びかけます。」 (署名者) ・Hagit Borer, linguist, Queen Mary University of London (UK) ・Antoine Bustros, composer and writer, Montreal (Canada) ・Noam Chomsky, linguist, Massachussetts Institute of Technology, US ・David Heap, linguist, University of Western Ontario (Canada) ・Stephanie Kelly, linguist, University of Western Ontario (Canada) ・Ma'ire Noonan, linguist, McGill University (Canada) ・Philippe Pre'vost, linguist, University of Tours (France) ・Verena Stresing, biochemist, University of Nantes (France) (訳=折口学) (ナブルス通信「ガザで殺人を行っているのは誰か」ーノーム・チョムスキーらによる報道への呼びかけ」2012年11月14日より抜粋) ▼「ガザで殺人を行っているイスラエル政府」を支えている企業 (「ボイコット・イスラエル・キャンペーン 2012」より) ▼イルコモンズ「イスラエルの爆撃機の成分分析」 (「ガザに暮らす恐怖と、日本にいて、しないことで、できることのリスト」 イルコモンズのふた 2008年3月6日より) 「ガザで殺人を行っているイスラエル政府を支えている企業を買い支えているのは誰か?」とそう考えれば、日本にいて、しないことで、できることは、たくさんある。そう考えて、すぐに実行することが、ほんとうの「シンク・グローバル、アクト・ローカル」ではないのか?そして「あらゆることがあらゆることとつながっている」と考えるのが、ほんとうのエコ(ロジー)ではないのか? 「誰も無罪ではない」(ジャック・デリダ)
by illcommonz
| 2012-11-18 00:45
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