▼「アザーミュージック~パレスチナのこどもたちのための」(2009年/2012年改訂)
▼「だんだん世界がとじてゆく」 (原詩:マフムード・ダルウィーシュ 訳詩:イルコモンズ)
世界がすみっこの方からだんだんとじてきて
ぼくらをいよいよ最後の小道に追いつめてゆく
ぼくらはなんとかしてそこを通りぬけようとして
自分の手足までもぎとったというのに
それでもなお大地はぼくらを押しつぶそうとする
いっそのことぼくらが麦だったらよかったのに
そしたら死んでもまた生きかえることができるから
でなければ、大地がぼくらの母さんだったらよかったのに
そしたらきっとやさしくしてくれるだろうから
あるいは、ぼくらが岩に描かれた絵だったとしたら
鏡に映して夢のなかへ運んでゆけるのに
ぼくらは泣いた
あの子どもたちの祭りの日のことを思い出して
ぼくらは見た
最後に残された土地のひらいた窓から
子どもたちを外にほうりなげた者たちの顔を
ぼくらの星はその顔に鏡をつきつけるだろう
ぼくらが世界の果てにたどりついたとき
その先ぼくらはどこへ行けばよいのだろう?
そして最後の空がつきはてたとき
鳥たちはどこを飛べばよいのだろう?
草木が最後の息を吐ききったとき
どこで眠りにつけばよいのだろう?
ぼくらはそのわずかな血で
ぼくらの名前を記すだろう
ぼくらはその翼をもぎとって、
ぼくらの肉がうたう歌をききながら
ついに死んでゆくだろう
この最後に残された小道の上で
そう ここで この土地で
ぼくらが流した血のうえに
ここからもあそこからも
オリーブの樹がなるだろう
弟が生まれたよ
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▼イルコモンズ「アザーミュージック講義」(2005年)
http://www.prenomh.com/prev/godard/ourmusic/ourmusicbakuretsutalkshow3.htm