冬のさむい日、かじかんだ手に、はぁっと息をはき、しゅしゅしゅしゅっと手をこすりあわせながら、重たい空をみあげていると、ふと、思い出す、うたがある。風景がある。
冬の街頭の楽団というと、「サルヴェーション・アーミー」である。ヨーロッパでは、このPVみたいに、バリトン・ホルン(ユーフォニウム)やアルト・ホルンが主に使われる。寒さにこごえる子どもを抱きすくめるように、ホルンを胸にかかえ、自分のはく息を、あたたかい音の響きにかえる人たちの姿をみるのがすきだ。なので、自分でもやってみたいと思い、近所の友人たちと一緒に八王子駅の前で救世軍の「社会鍋」の手伝いをやったことがある。そこで自分はユーフォニウムとトランペットを吹き、ベルを鳴らし、ドラムをたたいた。2010年の冬のことである。機会があれば、またやりたいと思っているのだが、3.11以後、なかなかその機会がない。
▼多摩川ベル・リンガーズ
http://illcomm.exblog.jp/12586122/
それはさておき、「怒りのドラムデモ」から、おしらせのツイートが届いた。

▼怒りのドラムデモ @drumsofprotest
「首都圏反原発連合主催の経団連前抗議において、近隣住民の方から抗議の音に関する苦情が寄せられています。この抗議が続けられるようドラムの叩き方や
楽器の選択に注意し、また周りのコールや参加者との音のバランスも配慮して頂けますようご協力をお願い致します。 」(
怒りのドラムデモ 2013年1月21日のツイート)
季節柄、ユーフォニウムを吹きたいところだが、これは奉仕ではなく、抗議である。あの血も涙もない経団連に、あたたかい音の響きをきかせても仕方がない。いや、逆にそういう手もなくはないのだが、それはまた別の機会にやるとして、問題は「楽器の選択」である。自分がもってるサックスはどれもデモ用に改造したので、ふつうのサックスよりも音が大きい。

▼自民党とたたかうサックス
http://illcomm.exblog.jp/17442783
音が大きいのは、ベルが大きいのと、サックスそのものが「円錐形」のかたちをしているからである。だとすれば、ベルが小さくて、「円筒形」のかたちをしたサックスを選べばよい。問題はそんなサックスは存在しないということだが、なければ自分でつくればよい。そう思い、さっそく、つくってみることにした。
(つづく)