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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼パンクの恩②
▼パンクの恩②_d0017381_1495265.jpg(承前・9月18日のつづき)
次にステージに立ったのは遠藤ミチロウ。
これは友部のMCで気がついたのですが、
ミチロウ(以下、敬意をこめて敬称略)も
友部と同じ1950年生まれの55歳。
音楽にたましいを売った人間は永遠に
齢をとらないのだろうか、と思うくらい、
むかしと変わらぬ姿を見て、おばけ?
かと思いました。でも、後できいたら、
数年前に吐血して胃潰瘍で入院、
しかも年間100本を超えるロードで
腰や手首はボロボロらしい。でも、健康体ではなく満身創痍のカラダが基本のパンク、
とはいえ、おからだ、どうか大切に。

この日の演奏は、85年のスターリン解散から何度かの再起と復活を経て、
93年にスターリンを活動休止にした後に確立した「アンプラグド・パンク」、
アコギーとハープのみの、別名「アコースティック・ミチロウ・スタイル」。
まず、ノータリンズ名義でリリースされた「Just Like a Boy」からはじまって、
85年のソロ作品「ベトナム伝説」から「お母さん、いい加減あなたの顔は
忘れてしまいました」そして「カノン」とつづき、近作の「海辺のバナナ」
「我自由丸(がじゅまる)」へという流れ。

このスタイルになってからのミチロウは、コステロがアトラクションズを
放り出して自らのルーツである骨太のアメリカのカントリー&ウェスタン、
フォーク&ブルース&ロカビリーに単身回帰したのとよく似ていて、
スターリン時代から、自らの呪われた出自として書き連ねてきた
「東北性」への回帰の度合いをますます深めてきていて、
(MCの語りにははっきりと東北のイントネーションが聞き取れる)
寺山修司、三上寛の系譜に連なる暗黒の北の血族までゼロ・マイルの
暗さが感じられます。

かつて、パッヘルベルの弦楽をバックにうたわれた「カノン」は、
「蛹化の女」(戸川純)と、もうひとつ別の「カノン」へと腑分けされ、
後者では、もうひとつのルーツである、早川義夫(ジャックス)的な
「ゆらり、ゆらゆら」とした浮遊するアシッド感が、より煮詰められて
いるものの、その情念のコンパスの針は寸分の狂いもなく東北を
指し示していて、曲の合間にミチロウが、臓物の底からしぼりだし、
「ぎょぉぐぅぎょぎゃぁぁああああぅぅぁぁぁぅうううああああぁぁぁ」と
容赦なく投げつけてくる、狂った獣のような凄まじいアニマル・
スクリーミングに、幾度となく会場は凍りつきました。

「ユージン、斧に気をつけろ」(ピンクフロイド)の気のふれた理性の
叫びをはるかに凌駕するような、その断末魔の叫びのなかで僕らは、
かつてミチロウが書いた「ぼくらが心層の奥底で出会う日本的な
暗い恍惚」の裂け目にぱっくりと飲みこまれ、底なしの穴の奥底に
ひきづりこまれた、そんな感じのステージでした。そう、まさしく、
ミチロウは怪物になった…死人はでなかったけど、怪物が出た
そんな真昼の悪夢のようなステージでした(ウソだと思うなら、
誰かに聞いてみるといい)。

そしてさらに圧巻だったのは、その怪物がうたうディランの「天国への扉」で、
天国の扉を爪でガリガリとかきむしり、ひとつ残らずたたきこわすような
破壊的なノックとその叫びに、完全にうちのめされた、と同時に、
すべてがつるつるぺたぺたになってゆくこの世界で、その皮膜をかきむしり、
引き裂く力をもった怪物がいることに、なんだかバカみたいに勇気づけられもした、
「裏声で叫べ、仰げば尊し」から25年目の秋の日でした。

そして、それはまた....

▼パンクの恩②_d0017381_1554651.jpg仰げば貧しき、パンクの恩、
身をすて、名をさげ、やよ恥じなよ
ニート・ボーイズ・ビー・エンドウ・ミチロウ、
ガールズ・ビー・プリティ・ベーカント、
ウィー・アー・オール・チルドレン・オブ・
ジャパニーズ・モンスターズ、
いうこときかない怪物のこどもたち。

そんなレッスンのような1時間だった。
そしていまその怪物は再び北から南に移動し、
単身なにかをしようとしているように思える(つづく)。

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[追記]
#これはあくまで参考として
http://apia-net.com/shop/bacteria/index.html
http://apia-net.com/soundbooth/

#これもあくまで参考として
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「小泉さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました」

(曲:遠藤ミチロウ 原詞:遠藤ミチロウ 補作:イルコモンズ)

「テロがくるぞ」と教えられ、「改革が必要だ」と教えられ、
いわれたとおり、半分ビビって半分テキトーに投票した政府が、
実は壊れていたんだ、と気づいたときには、もう終わってて、
憲法も改革されてしまったんです、小泉さん、お元気ですか。
バイト先で「近頃はテレビで首相の顔ばかり見る」としゃべったら、
店長はさも嬉しそうに「プライドとアイデンティティをもたにゃならん」
と昼飯に、紅鮭定食をおごってくれたのですが、牛丼の方が食べたくて
「梅干しは好きじゃない」ってブログに書いたら、管理人のオタクが
むっくり起きだしてきて「逝ってよし!」とか勝手なことを書きこむので
「オマエなんか生まれてこなけりゃよかったんだ!この団塊チルドレンめ」
と、つい口をすべらしてしまったのです。小泉さん、お元気ですか。
近頃なんだか、まったりしたともだちとのつきあいがへってきて、
ぴっちりした服装のともだちとのつきあいがふえてきた感じです。
ケータイもとりあげられてしまいましたね。小泉さん、小泉さん、
ねぇ、小泉さん、あなたの好きなオペラと国防色は、
大・嫌・い・で・す。
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#あともうひとつ、参考までにいえば、こないだ残念ながらコラボが
実現しなかった粉川哲夫さんは、89年に和光大学の学期末試験に
スターリンをゲストに招いてライブをしかけた、1941年生まれの
メディア・アクティビスト、というか、バロウズみたいな人。
by illcommonz | 2005-09-19 15:55
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