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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼沈黙のかげからきこえてきたことを忘れぬこと
▼沈黙のかげからきこえてきたことを忘れぬこと_d0017381_6254257.jpg
沈黙のかげから
きこえてきたことを
忘れぬこと*

*インド北東部
ナガ・ランドの石碑に
刻まれた銘句


「ナガ・ストーリー 沈黙のむこうがわ」
NAGA STORY:The Other Side of Silence.
ゴーパール・メーノーン (Gopal Menon) 監督
2003年 62min
_______________________________________
[メモランダム]
インドといえば、「11キロメートルごとに言葉がちがう」といわれる
ほどの多民族国家で、ガンジーによるイギリス植民地支配からの
栄光の独立運動や、年間制作本数世界一といわれる娯楽映画、
そしてカレーに代表されるヒンドゥー文化が有名ですが、そのインド
北東部の山岳地帯に位置するナガ・ランドの人びとがインド政府の
国家支配からの独立を求めて不屈の抵抗運動を50年以上にわた
って続け、その間に政府軍から恐るべき弾圧を受け続けてきたこと
や、その知られざる弾圧の歴史に取材したシリアスなドキュメント
映画があることは、インド国内ですらもほとんど知られていません。
また、その同じ作家が、ガンジー生誕の地・グジャラートで起こった
ヒンドゥ至上主義者・別名ヒンドゥーファシストたちによるイスラーム
系住民の組織的かつ計画的な虐殺事件に取材し、そのドキュメント
映画のタイトルに、ガンジーの臨終のことばである「あゝラム(神)よ」
というタイトルをつけて発表したことも、同じくほとんど知られていま
せんが、それらは、沈黙のかげに隠されていただけで、すべては、
この映像が証言するとおりです。

▼沈黙のかげからきこえてきたことを忘れぬこと_d0017381_12294982.jpg

「ナガ・ストーリー
沈黙のむこうがわ」
(OMC短縮版)

http://www.othermediacommunications.com/nagastory.htm
OMC(Other Media Communications)のサイトで公開されているビデオ

「あゝ神よ!ガンディーの故郷でのジェノサイド」(アムネスティ短縮版)
http://news.amnesty.org/mavp/mediaclip.nsf/0/42DEF7DCF66A0A9A80256F9600380976
アムネスティのサイトで公開されているビデオ

そこで起こったことは、いつも起こることの、そのまた同じことのくりかえし、つまり、
暴力による決着は憎しみと血の報復をうみ、その暴力の連鎖のまきぞえを食うのは
いつもこどもと女たちだということです。必要な想像力をはたらかせさえすれば、
耳を疑いたくなるような証言の数々とそれを語る人びとの表情だけで、
すでに十分かと思いますが、これだけではよくわからない、という方は、
OMCで公開されているもうひとつのビデオクリップを観てみてください。
ただし、そちらには、ほんとうに言葉を失うような凄惨な映像が一部
含まれていますので、あかかじめ、それを承知の上でみてください。

▼沈黙のかげからきこえてきたことを忘れぬこと_d0017381_12305864.jpg
「あゝ神よ!
ガンディーの故郷での
ジェノサイド」
(OMC短縮版)

http://www.othermediacommunications.com/heyram.htm
OMC(Other Media Communications)のサイトで公開されているビデオ

「これがジェノサイドでなかったら、何なのか?」

レトリカル・クエッションのかたちをした、あらかじめ答えが明白な問いかけが、
この映画の作者である、映像作家ゴーパル・メーノーンが発したこの事件に
対する応答であり、「沈黙のかげからきこえてきたことを忘れぬこと」というのが、
おそらく、この映画を見た後に僕らにできることのひとつかなと思いました。
上映の後のセッションでも、この圧倒的な負の現実の前に、この土地の文化の
研究者である自分は「ことばをなくしてしまう」というコメントがありましたが、
もとより、そうやって「ことばを失うところから批評はじまる」のだし、それは
なにも批評に限らず、音楽も詩も映画もそうなのであって、もしそこで本当に
ことばをなくしたまま、記憶が消えう失せるのにまかせてしまえば、それは
暴力が強いてくる沈黙に屈することになりかねないので、アウシュビッツの
後の詩作のように、たとえそれが野蛮だといわれるものであったとしても、
理性がことばをなくしたところからたちあがってくる別のことばによる応答が
必要だと改めて思い知らされました。残念ながら、アムネスティ編集版では、
最初のイントロ部分しか聞けませんが、映画の冒頭と中盤にメーノーンが挿入した
「あゝヒンドゥーの神よ、イスラームの神よ、どうして人間たちはこんなにも...」という
問いかけの歌は、人間存在の闇の部分を前に理性のことばが立ちすくんでしまう、
その絶望の淵からうたいだされる不屈の詩のようで(しかもそれは、信じられない
くらい穏やかな口調でうたわれる)、もし、あのうたを聞きながしてしまうと、
この映画は、ただひたすら陰惨な事件とその証言をただ記録しただけの
全く救いのないダークなドキュメント・フィルムとして見られかねないので、
そこがすごく気になって、忘れないように、もう一度、ここに書きとめて
おくとにします。「沈黙のかげからきこえてきたことを忘れぬこと」。
その後の会議は、アクティヴィスト・タイプの映像作家とアカデミシャンの
研究者のあいだでの立ち位置の違いや温度差が感じさせるものでしたが、
そんな違いをふっとばすようなものすごい映画がこの翌日に公開されました。
それは次のメモで。
by illcommonz | 2005-09-25 06:39
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