![]() はじめに、ふた、ありき
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![]() ▼春風社「来たるべき人類学」第2号 (2013年) ▼小田マサノリ「人類学のギフト」 「この十年あまり、アクティヴィスト人類学者として過ごしてきた。〇三年のイラク反戦デモにはじまり、沖縄・高江のヘリパッド建設阻止運動や東京・渋谷のナイキパーク建設反対運動のほか、〇八年の反G8サミット運動では「デモを扇動した」という理由で拘留された。一昨年はNYの「オキュパイ・ウォールストリート」運動にも参加したが、いずれの現場にもフィールドノートやカメラを持って参加したことはなく、いつもドラムを手に、現場をエンパワメントするアクティヴィストとして参加してきた(ドラムはアフリカのフィールドワークで覚えたものだ)。 NY州立大学の学生が編集した「アクティヴィスト人類学者のツールキット」という資料がある。それによると、人類学者の「通文化的な視野」や「文化の垣根を超えて行動する経験」は、アクティヴィズムの現場で非常に役立つという。アクティヴィスト人類学者であったジェルメーヌ・ティヨンもこう書いている。 「民族学とは何だろう。私の意見ではそれはユマニスムを学ぶ学校である。というのも、民族学だけが、私たち自身の社会を見ることを可能にするからである。自分自身が属する社会について正確な社会分析をするには、それ以前に他の社会を深く研究したことがなければならない」。 人類学者が手にしているこの職能は人類学から贈与された「ギフト」であり、アクティヴィズムの現場ではいつも、この「ギフト」の贈り手でありたいと思って行動してきた。 二〇一一年三月一一日の原発事故以後は、東京を中心に、福島、福井、千葉、大阪などのデモに参加しながら、毎週金曜の夜に行われる首相官邸前抗議に参加してきた(この二年のあいだに参加したデモと抗議の回数は一二〇回を超えた)。昨年の夏、官邸前抗議を主催する「首都圏反原発連合」のひとりとして、官邸内で首相に直接意見を述べる機会があり、そこで自分はこう述べた。 「毎週金曜日、この建物のまわりでドラムを叩いているもののひとりです。これまでに野田首相(当時)の選挙区である千葉四区でも二回デモを行い、ドラムをたたました。ドラムをたたくのは、首相の耳に、もしかすると再稼働に反対する声が聞こえていないのではないか、だから、その声をもっと大きくするため、もっと強くするためにたたいています。それはともかく、僕は原発は停まると思っています。もともと必要のなかったものだから停まると思います。そしてそれも、時間の問題だと思っています。どうしてそう思うかというと、この国には長いあいだ、社会運動やデモに対する嫌悪感や、それをうとましく思う風潮がありました。それが大きく、いま、変わろうとしています。これまでデモに参加しなかった人たちがデモに参加している、それだけではありません。金曜日になると、ここに十万人規模の人たちが集まり、同じ時刻に全国いろんなところで抗議行動が続いています。いま、この国は大きく変わろうとしています。それを考えると、停まらないはずがないと思うんですね。 時間がないので、今日は本当に云いたいことだけをこれから云わせていただきます。今年のはじめに、野田首相は「ネバー、ネバー、ネバー、ネバー、ギブアップ」とおっしゃいました。「決して、決して、決して、決して、あきらめない」と。今日はこちらから、この言葉をそっくり野田首相に申しあげたいと思います。私たちは、決して、決して、決して、決して、あきらめません。原発が停まるまで、あきらめません。あきらめないだ けではありません。 三月一一日に起こったあの事故と、それによって失われたもの、それを絶対に、決して、忘れない。そして、だから、原発を絶対に、決して、ゆるさない。そして政府が「原発をやめます」と、子どもにでもわかるようなはっきりとした云い方で云わない限り、僕らは、この抗議を決してやめないのです。今日はこのことをお伝えしに来ました。以上です」 その後の記者会見ではこう述べた。 「ここ何ヶ月間のなかで非常に大きかったのは、野田首相の「再稼動宣言」と、それに続いて起こった「大飯原発の再稼動」だったと思います。あの再稼動宣言によって、この国の人びとの心のなかに埋めこまれていた制御棒がひきぬかれ、そして、原発が再稼動した日、もしかすると、この国で眠りこけていた民主主義、デモクラシーが再稼動したのかもしれません。そしてそれは、いつ停まるか分からないものです。そのことを野田首相はもっと怖がってもいいと思っています。これまで何十年もかけてつくってきた「アクティヴィズム・フォビア(社会運動嫌悪症)の文化」を自分がこわそうとしているということに対して、もっと危機感を持った方がいいと思っています」 ここで述べた「アクティヴィズム・フォビアの文化」という見方は、人類学者の「通文化的な視野」から導かれたものだが、ここで何らためらうことなく「原発は停まる」と断言できたのは、決して、単なる希望的観測からではなく、立ちあがった人びととその力に対する信頼があったからである。マーガレット・ミードは、「ネバー」からはじまる、次のことばを残している。 「世界を変えようと決意した、思慮深い市民たちからなる小さなグループの力を、決して、否定してはいけません。実際、その力だけがこれまで世界を変えてきたのです。」 (Never doubt that a small group of thoughtful, committed citizens can change the world; indeed, it’s the only thing that ever has.) 民衆への信頼、それは人類学から贈与されたもうひとつの「ギフト」であり、自分は、この信頼を、決して、手放さないだろう。」 春風社「来たるべき人類学」第2号より全文転載 ------------------------ [参考] ![]() ▼ニューヨーク州立大学編 「Activist Anthropologist Toolkit」 ▼文化人類学解放講座版「アクティヴィスト人類学者のツールキット」
by illcommonz
| 2013-06-05 10:46
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