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いる・こもんず 【普通名詞】 01| ありふれて変なもの 02| 扱いにこまる共有物 03| 分けても減らぬもの 04| 存在とは常に複数で他と共にあり、狂えば狂うほど調子がよくなる
はじめに、ふた、ありき

イルコモンズ編
見よ ぼくら
四人称複数
イルコモンズの旗
(Amazon.comで
大絶版廃刊中)
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▼次次展:事事をギニョる妹の力
▼次次展:事事をギニョる妹の力_d0017381_9213666.jpg2002年に大阪と
横浜でKPOのコレ→ex.
に追加出展したよしみで
内覧会の招待状を
いただきましたので、
昨晩は秋の月島まで
足をのばし、ひと足
お先に失礼して、
←コレをみてきました。

KIRIN ART PROJECT 2005 「次次」東京展
9月30日[金]-10月23日[日] タマダプロジェクトアートスペース
[出展]石上純也・大森隆義・カワイオカムラ・淀川テクニック・束芋

まずはじめにひとつおことわり。いちおう、この展覧会は、賞金30万円がかかった、
コンペティションなので、エントリーしてる4人の作家の不利益につながらないように、
つとめて公平にバランスよくレヴューするのがエチケットであり仁義だと思うのですが、
それはプロの批評家のシゴトなので、ここではそうせずに、いきなり私見を述べると、
グランプリはぜひ大森さんにと思いました(その理由は後で)。で、イルコモンズは、
平叙文での対象記述がニガテなので、以下、説明ヌキで走り書きすると、まず、
淀川テクニックは、ほんとにテクニックに長けてるなぁと感心しました。ディスプレイの
仕方から写真の構図のキメ方、ストーリー構成にいたるまで、どこをとってもほんとに
うまいなぁ、と思う反面、うますぎて、たま~に今日はひとつ情に流されてみるか、とか、
情にほだされてみるぞ、と思った日には、そのテクのうまさがアダになる日もあるという
のが難点かと思いましたが、このまま写真集とかドキュメントビデオがつくれそうな内容
と質(そしてそのテクニックもありそう)なので、選者のヤノベ君とのコラボ期待します。
次に、石上純也の作品については、なにはともあれ「建築の構造計算ってのは、
スゴいものだな」と感心する同時に、美術と建築のちがいを感じました。グリナーウェイの
幾何学的に設計された画面よりさらにシャープな重力計算によって準備された食卓には、
献立として、たわみやにおいや木目までサーヴしてあって、万事手ぬかりなしの
ヌーヴェル・ゴシック、万事折り巻き済みのダイニング・テーブルでした。ただひとつ
残念だったのは、見た目にいかにもテーブル・マナーの悪そうなイルコモンズは、
このテーブルのイスに座らせてもらえなかったということぐらいでしょうか。もっとも
それは、ちゃんとパーティむきのジェントルな格好をしてゆかなかったイルコモンズが
悪いのですが、それにしてもがっくり。で、次は二つとんで束芋ですが、いきなり、
うあうあううあうあうあうあうあうあうあうああああああうううと、あごがはずれそうなくらい
呆然と見入ってしまいました。ゴシック建築とはうってかわってこちらは、構造計算の
及ばざる「次次変化」の世界、神経繊維たっぷりのリゾーム・ミートのうごく生成変化図。
たとえば、クリス・カニングハムの「ゴム肉人間ジョニーくん」とか、その教父である
フランシス・ベーコンの「法王インノケンティウス」なんかの、おとこのしるしを残した
肉たちにはまだ叫び声をあげることがゆるされているけれども、束芋がギニョる
肉のサーカスでは「おだまり!うるさくするんだったら、そのお口を縫っちゃうわよ!」と
キャタプラのついたミシンがカタカタカタカタと侵攻してきて、カクカクカクカク.............
「           !!!!!!!」と悲鳴をあげたくても、あげる口すら塞がれた叫喚なき地獄
絵図の世界。しかも、ジェンダー的情念のなんとかとか、セクシャルななんとかとか
そういうものをまるで感じさせない、すぐれて同時代的で時事的な浮世絵として描き
ぬかれているところが圧巻です。円形のスクリーンは、いま・ここのその外にあるグロー
バル世界の夜の闇を映すプラネタリウムのようにも思え、この逃げ場のない人間天体
観測ショーの最後に、スクリーンのかげから現れた一匹の(   )が、スクリーンのへり
をつたって何度かとびはねた後、やがてそこからスクリーンの外にとびたってゆくところ
は感動的で、作家から贈られた希望の贈りものみたいで、そこには「おんな」というより、
民俗学でいう「妹の力」を感じました。そんなものすごい作品を先に見てしまったせいで、
カワイオカムラのビデオ作品「ヘコヒョン」についてはもう冷静な目で見れなかったので、
言及はさけますが、会場で配布していた「アート」についてのテキストには共感を覚えま
したので、その部分をここに書き写すことします。「2005年、田を耕してもヘコヒョン、
2009年、魚を獲ってもヘコヒョン、2011年、きっと生きているだけでヘコヒョンと言わ
れる時代が来るだろう。その前に、すべての観客は大急ぎでヘコヒョンを見るのをやめ
て、ヘコヒョンにならなければならない。ヘコヒョンを語ることで自分を表現してはいけ
ない、ヘコヒョンに自分の薄っぺらな物語をたくしてはいけない」。いや、まったくのところ、
イルコモンズもそう思うし、またそう思うからこそ、わざわざヘコヒョンの作家を廃業したり、
ヘコヒョンの展示に介入するのをやめたわけなので、このマニフェストには大いに共感
を覚えました。で、最後に大森隆義ですが、本当にただの油絵です。そのただの感じと
いうのは「自動ドアだと思って立ってみたら動かないのでよく見たらただのドアだった」
という感じで、「でも、よく考えてみれば、ドアは自分の手であけるもので、そういえば、
もともとドアとはそういうものだ、ということを忘れていることすら忘れていた」ことに
気づかせられるような感じの絵です。中原昌也の小説のような凄みこそないものの、
というか、ないからこそ、見てもなんの感動もないし、見てよかったとか、見れて
うれしいとか、見て癒されたとか、あのキャラはいいとか、これはスーパーなんとかだとか、
次はこれだとか、いまのうちに買っとけ、とか、そういうスペクタクル性やマーケット性を
ほとんど何も持たない、手ぶらの絵で、もし、あの絵に描かれた人物たちが現実に
存在するなら、そのごく限られた数人と作家本人には確実によろこびを与えるような、
絵本来の「捧げもの」としての機能やその原質にふれさせてくれるような、そういう
ほんとうにただの絵です。なんのしかけもありません。おそらくグループ展に出せば
誰の眼にもとまらず、コンテストにだしても絶対に賞などとることのない絵で、
もしかしたら表に出るのはこれが最初で最後になるのではと思わせるような絵なので、
そういう作品にこそ、グランプリの栄光や名誉はさておき、これからの絵の具代として、
賞金30万円のうえにさらに「キリングループ製品1年分」もつけて、贈るのがよいのでは、
と思った次第です。あと、余計なことですが、大阪展ではぜひKPOでいちばんよい部屋に
展示するのがよいのではとも思いました。できれば「へこひょん」のテキストに近いところに。

#いま見たら段落分けがなくて、すごく読みにくいですが、でも、たまには、
  こういう書きっぱなしもいいか、と思ったので、このままにしておきます。
  それにもともとイルコモンズの「地の文」というのは、こういう感じなので。
by illcommonz | 2005-09-30 09:34
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