
「都市の暮しとは、何百万人もの、さみしい人たちが、ただいっしょにいることだ」
(ヘンリー・デヴィッド・ソロー)
「世界都市は文明の象徴である。そこは自由な知性の容器であるが、「母なる大地」から完全に離反し、あらゆる伝統的な文化形態から隔絶された、もっとも人造的な場所であって、実用性と経済的な目的だけのために数学的に設計された巨像である。ここに流通する貨幣は、現実的なものにいっさい制約されることのない形式的・抽象的・知的な力であり、どのようなかたちであれ、文明を支配する。ここに群集する人間は、故郷をもたない頭でっかちの流浪の民、すなわち文明人であり、高層の賃貸住居のなかでみじめに眠る。彼らは日常的な労働の知的緊張をスポーツ、快楽、賭博という別の緊張によって解消する。このように大地を離れ、極度に強化された知的生活からは、不妊の現象が生じる。人口の減少が数百年にわたって続き、世界都市は廃墟となる。知性は、空洞化した民主主義とともに破壊され、無制限の戦争をともなって文明は崩壊する。」(オズヴァルド・シュペングラー)
▼椎名林檎「木綿のハンカチーフ」
「大都市」(あるいは「大都会」)という場所はそもそもそういうところ。大都市が、人間らしさを失くしたコンクリート・ジャングル(死語)であることは、イソップの時代から、数え切れないくらいたくさんの歌や文学や映画でくりかえし描かれてきたとおり。それを考えれば、世界都市トーキョーが出した結果を、ことさら嘆く必要はない。倫理や道徳よりも、効率や生産性を重視する、スタイリッシュに病んだ経済の枢軸である世界都市トーキョーの選挙結果は、その投票率の低さもふくめ、日本全体の民意を決して代表してはいない。
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「自公全員当選 民主転落 都議選」
「自民党は全員が当選し、公明党も全員当選し、両党で過半数を上回る八十二議席とした。第一党の民主党は惨敗。共産党は第三党に。日本維新の会は敗れた。投票率は過去二番目の低さ。公明党は六回連続の全員当選。創価学会を中心に手堅い組織選挙を展開した。共産党は躍進した。生活者ネットワークは議席を守った。日本維新の会は伸びなかった。みんなの党は七議席を確保した。生活の党と社民党、みどりの風は議席を得られなかった。(東京新聞 2013年6月24日の記事を簡略化)
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「都議選投票率43.50% 過去2番目の低さ」
「23日に投開票された東京都議選の投票率は43・50%で、前回の54・49%を10・99ポイント下回り、過去2番目の低さだった。参院選を占う選挙として注目されたが争点が分かりづらく、有権者の関心が高まらなかった。 」(朝日新聞 2013年6月24日)