はじめに、ふた、ありき
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科学博物館、というところは、 同じミュージアムでも、美術館とちがって、 展示をみながら、おしゃべりしたり、 パネルの文章を声に出して読んだり、 それを読んで「あはは」と笑ったりしても、 係員の人からにらまれたりとか、 注意されたりしないところが好きです。 イルコモンズは、本当に美術館ではよく叱られます。かならず注意されます。 むかしから、刺激のつよい絵や写真や変なものを見ると、 すぐにのぼせあがってしまう気質なので、もういいかげんあきらめましたが、 この齢になって人さまの前で叱られるのは、やはりみっともないものです。 特に小中学生の前で叱れるのは、さすがに、はずかしいものがあります。 もっともそれは、美術館にかぎったことではなく、 ちかごろは横断歩道や千代田区を歩いていても、 年配の紳士や淑女によびとめられて、よく注意されます。 信号を守りなさいとか、よそ見しながら歩くなとか、ね。 いやはや、なんとも小言の多い世の中になりました。 そんなことはさておき、「カラスと人間」展。 ちかごろは、 「街のギャング」などと呼ばれ、 日増しにジェントリフィケーションのすすむ、 日出るくにの東の都、別名「石慎ランド」(byMSC)、 もとい、東京都では、すこぶる評判のわるい カラスですが、この展示をみると、なんとも そんなカラスがちょっと、いとおしくなります。 元・現代美術家で、元・動物堂店主の飴屋(法水)さんが 「動物の生き方にはムダがない」という趣旨のことを 書いてらっしゃいますが、今回の展示をみてゆくと、 カラスの行動とその暮しには、ムダではないにしても、 「なんの生活のたしにもならない」、いわゆる、 「あそび」の部分が、案外おおいことを知り、つい、 「あはは」、と笑ってしました。なかでも笑ったのは、 カラスが鹿のフンを拾ってきて、それを鹿の耳の 穴のなかにつめこむという話(とその現場写真)で、 くちばしを使ってせっせとフンをつめこむカラスの姿と、 なにやら遠い目つきになってる鹿の間の抜けた表情の コントラストが実に絶妙で、この異なる種のあいだでの、 あまりエコロジカルでもなさそうな、奇妙な交歓の図に しばし見入ってしまいました。これ以外にもカラスは、公園のすべり台をすべりおりるとか、 ゴムまりを壁にぶつけてボールひろいをするとか、あるいは、空中から放った木の実なんかを 急降下してフライング・キャッチするとか、なんだかそんなことばっかりしてるようです。 解説によれば、これは個体としてのカラスの生命維持や種の保存のための行動とは な~んの関係もないらしく、日常生活からキレた純粋なあそび、意味のない娯楽、 無為なたのしみ、としてやってるんだそうです、あはは、おかしい、、、、 あと、心底、感心したのは、自分では歯がたたない堅いクルミの実を自動車のタイヤに 轢かせて割って食べるという行動で、これなんかは、人間のつくった都市文明を見事に 手玉にとって生きてるな~と、その暮らしの知恵にすっかり感服してしまいました。 でも、よくよくみれば、カラスの脳は上野公園にいるハトの3倍くらいの大きさがあって、 知能もそのへんのイヌ以上だということですから、その程度の暮しの知恵は、朝飯前 なのでしょう(ちなみに電車の線路に置き石をするイタズラはカラスの貯食行動から 説明がつくようです。詳しくは博物館の展示をご覧下さい)。 そんなインテリジェンスのある動物なので、カラスはひとの顔をたいへんよく見分け、 また、ちゃんとひとの顔を覚えているらしく、特にヒナをいじめたりした人間のことは 何日たっても、ちゃんと覚えていて、きっちり仕返しをするんだそうです。 展示のなかでも小さくふれられてましたが、そのむかし、石原慎太郎が、 ゴルフ場でカラスにゴルフ・クラブを投げつけたら、カラスから仕返しを されて痛い目にあった、というのは、東京では割とよく知られてる民話で、 カラスの「肉でパイをつくって東京名物にしろ!」という乱暴な発言だとか、 自ら陣頭指揮をとって展開した掃討作戦なんかもたぶん、そのときの 私怨がからんでるんだろうなと思いますが、しかし....同じ太郎でも、 誰にも媚びることなく、 また群れることもなく、 孤独にあそんで 自由に生きるカラスを 自らの分身のように思い、 相棒として共に暮らした という、岡本太郎とは、 エライ、ちがいだな、と、 そう思うことしきりです。 展示の最後の方のパネルに「なぜ、東京でだけ異常なまでにカラスが 繁栄(原文ママ)しているのでしょうか?」というオープン・クエッションが ありましたが、カラスをむやみに退治してしまうと、天敵がいなくなって、 今度はハトがむやみに増えてしまうみたいに、たぶんそれは、東京の エゴロジカル(原文ママ)な治世や都市の経済とつながってるんだろなぁ、と 思いました。この写真で岡本太郎は、カラスにスイカを与えてますが、 カラスの好物は肉とケーキとマヨネーズで、野菜や魚をあまり食べない そうです。たぶん、このパネルの前にきたら、「あれぇ~、なんだか、 誰かさんたちとよく似てますね~」なんてことを引率の先生が生徒たちに 云うんでしょうね。たしかに高タンパク・高脂肪の食生活は問題ですが、 こういう生活習慣病につながるカラスたちの偏食がはじまったのは実は、 ここ何十年のことで、本当に問いつめなければならないのは、いったい 誰がそういうアメリカナイズされた食文化をつくったのだろう、ということ じゃないかと思うんですがね。あと展示の後半にあった年表もよくできてて、 かつてHRC(ハイレッドセンター)がわざわざ「首都圏清掃整理促進運動」を 演ってみせた1964年のオリンピックの年からその年表がはじまっているのは、 なかなか意味深だし、マクドナルドの第一号店ができた銀座の「制空権」を 1984年にカラスが完全に掌握したというのもなかなか興味深い記事です。 小・中・高生むけの学習展示のほかに、 北沢楽天の掛け軸とか野口雨情の読本など、 全体になかなか目配りのきいた展示でしたが、 推薦図書のコーナーに岡本敏子さんが書いた 『太郎さんとカラス』がないのが残念だったので、 展示を見にゆく前にぜひ読んでおかれることを イルコモンズから、ご推薦します。 ------------------------------------------------------------ [追記] と、ここまで書いたら、「あら、あなた、太郎さんとカラスだったら、 ほら、あの写真があるじゃないの」って、敏子さんが云い出しそうな気が したので、その写真をのせます。その写真は、敏子さんの告別式のとき にいただいた本のなかにもあるので、そちらからひき写してのせます。 これでいいでしょうか?>敏子さん
by illcommonz
| 2005-10-03 10:21
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