はじめに、ふた、ありき
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ドキュメント映画「軍隊をすてた国」をみました。
コスタリカ共和国は1949年に制定した 憲法の第十二条で軍隊の廃止を宣言した国。 それから約半世紀が経ったいまでも、 その条項は手つかずのまま残されている。 そのコスタリカに暮らす人びとの日常や 政治や自然に取材した、どちらかといえば、 あまり実験的なところや野心のない ドキュメント映画。音楽はレイ・ハラカミ。 国の予算の1/4を教育にまわし、ニカラグアからの移民をよくうけいれ、 国をあげてエコツーリズムにとりくんでいる、といった具合に、そもそも、 コスタリカ自体が中米諸国のなかにあって、非常に模範生的な国なので、 それを描いた映画にも、それがフィードバックしてきているという感じの映画でした。 つまり、どこをとっても、だいだいいいことずくめで、実際、居心地のよさそうな 環境なので、それはつまりイルコモンズにとっては、やや居心地が悪そうだな、 というのが、まずひとつめの感想。もうひとつは、ドキュメント映画というのは、 その対象がかえてる矛盾が深刻で、その問題が大きければ大きいほど、 かがやきを増すというパラドクスを持っているのだなというのが、それで、 そういう意味では、どちらかといえば刺激のすくない映画でしたが、とはいえ、 「花に嵐の吹きつけるがごときキビシイ現実」だけが、この世の定めではなく、 「空に太陽・地に大地」の恵まれた土地から、みずみずしくたくましい 自然(じねん)の思考が芽吹いてくるのもまた、この世の摂理であって、 短いながらも、次のひとコマには、「あ、そうだった!それを忘れてた!」 という思いがしました。 「こどもの権利には何がありますか?」 「遊ぶこと!愛されること!」 最近は、「権利」というと、「著作権」だとか、「知的財産権」だとか、そういう テクニカルな大人たちの権利の話ばかりで、こういうベーシックなこどもたちの 権利のことをつい忘れてしまいがちなので、このシーンには目と耳がとまりました。 そして、こういう権利のなかで育てばこそ、今度はそこから次のような義務の考えも 自然にうまれてくるのだろうなと思いました。 「我々の永世中立という義務を各国の武力紛争にも拡大させることを約束します」 1983年、国境を接した隣国のニカラグアの内戦が激化し、戦火にまきこまれる 恐怖が高まって、国内でも防衛論がとりざたされていたとき、そこでコスタリカが やってみせたことは、軍隊をすてた「中立国の義務」として、中立のレヴェルを さらに1ランクあげ、「積極的永世非武装中立宣言」を発表して、平和に対する 断固とした姿勢をデモンストレーションすることでした。つまり平和憲法をもった 国がなすべき義務として、防衛や保身のために憲法をなしくずしにするのでは はなく、平和憲法のヴァージョンをさらにアップさせて、それを盾に平和の攻勢 にうって出たわけです。「脅威に屈しない」というのは、こういうことのことであって、 「テロには屈しない」なんて肩をいからせて勇ましいことをいいながら、憲法を かえないともうやってゆけないなんていうのは、立派に脅威に屈しているか、 あるいは脅威を利用しようとしているかのどっちかにしか思えないんですけどね。 というわけで、模範生が苦手なイルコモンズには、あまり居心地がよいところ ではないにしても、平和憲法を持つ国の、あともうひとつの大事な義務である、 「いつか、こんな国で暮したいなぁ」と他の国におもわせるようなモデルを示す という点では、積極的にその義務を果たしている、よくできたモデル住宅の ような国だと思いました。くわえて、こういう作品をついつい構えて見ようとする 人にはキチンと肩すかしをくわせ、スジのとおった物足りなさを感じさせるくらい 積極的にひいた中立の立場から撮られたドキュメント作品だとも思いました。 たぶん平和というのは、肩に力のはいらない、ちょっと物足りないくらいの感じ のする暮らしなのだろうな、というのが、このドキュメントから学んだことです。
by illcommonz
| 2005-10-06 14:28
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