▼NORA BRIGADE 「レタンセル=着火用の火花」(「怒りのドラム街宣」新宿アルタ前)
「ラディカル・マーチングバンド」であるNORA BRIGADE が、こうした街場での演奏のとき、決して整列せず、各自がてんでばらばらに動きまわるのには理由がある。
「もともとマーチングバンドは、国家形態に属するものであり、国家が定義する空間をもたらすものだ。その集団は整然とコントロールされて隊列をなし、軍隊に密接に結びついている。だが、こうした国家や軍隊への結びつきがあるからこそ、それらが「抗議の戦術」として「転用」されたり「横領」されるときに、それがきわめて痛快なものになるのである。」(スティーヴン・シュカイティス 「情動をつくりだす美学:観客を消滅させ、群衆蜂起をうながすこと」より抜粋)
「ドラムの最初の一撃とともに亀裂が走るのは、たがいを隔てるまなざしの壁である。それは日常の空間をきりくずす芸術的なパフォーマンスであり、街路に移動可能な「情動(よろこびや怒り、笑いや哀しみ)」の空間がつくりだされ、そこに新たな関係が出現する。その関係には、希望が宿り、日常生活の網の目のなかに血が通いはじめるのだ。」(同上)
日常生活の網の目の中に血を通わせようと、怒りのドラムにあわせて、思いっきり演ったら、バリトンサックスのネックに亀裂が走り、ネックがまっぷたつに折れた。

よくみたらバネ針も一本折れていた。「怒りのドラム」の背後に、知られざる笑いと哀しみあり。

さっそく修理する。まずはロウ付け。

そして仕上げ(一丁あがり)。すべての原発が廃炉になるまで、なんべんでも折って、なんべんでも修理する。