「それはコンセプトで、それは私たちが、その痛みをはかるものさし。もう一度、云おうか。それはコンセプトで、それは私たちが、その痛みをはかるものさし。そう、痛みをね。」(ジョン・レノン「神さま」)
金曜の夜から、このくにでは、ものさしの目盛りがちょっと増えてはいるけども、それでも、ちゃんとごはんをたべたり、そうじをしたり、おふろにはいったり、ぐっすりねむれば、しゅるしゅるるるるるっと、またもとにもどる。
今日、33回忌をむかえたジョン・レノンは、このうたで人の痛みをはかるコンセプトのことをうたったが、人のよろこびをはかる、もうひとつのコンセプトのことは省略した。たぶんそれは、ほかの歌でいっぱい歌ってるから、この歌でははぶいたのだと思う。人のよろこびをはかるものさしは、人それぞれで、ひとりの人間ですら、いくつものものさしを持っていると思うが、自分のものさしは、とてもシンプルで、目盛りも好い加減である。自分のよろこびの目盛りがあがるのは、「自分が考えていることと、自分がことばにすることと、自分の行動が一致している状態」のときで、ガンジーはその状態のことを「仕合せ」とよんだ。このうたでジョン・レノンは、自分はもう「ガンジーを信じない」とうたっているが、自分はまだそうでもない。もう一度云おう。それはコンセプトで、それは私たちが、そのよろこびをはかるものさし。しゅるるるるるっとちじむこともあれば、ぽきっと折れることもあるが、それはあくまでコンセプトでしかなくて、たとえ、そのものさしを失くしても、痛みも、よろこびも、仕合せも、ちゃんとそこにある。