![]() はじめに、ふた、ありき
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![]() [これまでのあらすじ] 「特定ひみつ保護法」への抗議に対し、政権与党の幹事長がそれを「絶叫」や「テロ」と発言したことを知り、「なにを!それなら、」と「絶叫サックス」をつくってしまったイルコモンズ。今度は、首相が「嵐が過ぎ去った」と語ったことを知り、「おい、こら、おまえら、云うのは簡単だが、それをつくる側の身にもなってみろ」と憤慨しながら、仮にもし「嵐」の音を出せるサックスがあるとしたら、いったいどんなサックスなのだろうと考えはじめたが、思い浮かんだのは、下の画像だけだった。クリスマスイヴの朝、めずらしく早起きしたちびこもんずから「フフフッ、嵐はこれから」というプラカードをみせられ、「じゃ、やってみるか」と、「嵐のサックス」づくりがはじまった。 ![]() まず、上の写真に写っている謎の装置は、サックス、ではもちろんなくて、楽器でもなければ、ホーンですらない。なぜなら、「空中聴音機」だからで、これは音を発するものではなく、音を聴くものである。 【空中聴音機】(くうちゅうちょうおんき) 「空中聴音機(サウンドロケーター/Sound Locator)は、空気中・水中・地中などの音波を聞き取る装置である。主に第一次世界大戦の中期から、第二次世界大戦の初期まで用いられた。これは航空機の位置を監視するための装置で、人間の目では捉えることのできない遠距離の航空機や、夜間や霧など視界が全く効かない状態など、目視によって航空機を特定できない状況下で使用された。ただし、目標が150m/s以上の速度になると精度が落ち、また風や大気の温度分布によっても誤差が生じる為に、レーダーが開発されるようになると、すぐに姿を消してしまった。」(「かつて戦時中に使用されていた、音波で対象物の位置を捕捉する「空中聴音機」の歴史」より) 上の画像は1920年代にアメリカで使用されていた「2ホーン式聴音機」で、ホーンがふたつあるのは両耳できくためである。この装置の原型となったのは、これらしい。 ![]() ▼1880年 マイヤー教授によって発明された空中聴音機の元祖となるもの これは「サウンドアート」や「音響系」の歴史についての本にもよく載っている図で、未来派みたいなマッドサイエンスっぽくていい。 ![]() ▼1920年代 チェコの4ホーン聴音機 メディアは「人間の能力の拡張である」といったのはマクルーハンだが、まさにこれは「鼓膜の拡張」である。 ![]() ▼1930年代 日本の聴音機 一見すると、バズーカ砲みたいだが、よくみると、バリトンホルンやユーフォニウムみたいなかたちをしている。軍事オタクの自民党幹事長が見たら、よろこびそうだが、よろこばせたくないので、無視する。 ![]() ▼1898年 イギリスにて、REV JMベーコン教授による聴音機実験 望遠鏡みたいなシンプルなつくりだが、台車で運べるポータブルでコンパクトなところがいい。これにしよう。資金も財力もない市民が、国家に対抗してつくれるものはこの程度のものだろうし、そもそも「空中聴音機」自体が、ろくに使い物にならなかった失敗した軍事プロジェクトなのだから、それをまねる必要はない。まねるものは、ほかにもある。まねるのはこれである。 ▼Tibet: Tibetan Monks - Playing Long Horn - Longhorn チベタン・ホルンである。これでチューバと同じくらいの低音がでる。だが、おどろくのはまだはやい。 ▼Brixham Tibetan Buddhist Monks 低音が出るだけでなく、二人で吹くと、微妙な音程/周波数のちがいから生まれる独特のワウのかかった重低音のドローンが得られる。息継ぎのときにアクセントとしていれるブババババブリブリブリというバズ音もすばらしい。これだ、これしかない。時の政権を呪いたおし、政治を混乱させる嵐をよぶには、これしかない。亡びろ、自民党。 問題はチベタン・ホルンをどうやって手に入れるかだが、さいわい家にはチベタンホルンが一本ある。2012年3月11日の「追悼と怒りのドラムデモ」のために手にいれて、改造したものがある。今度はこれを「嵐と呪い」に改造しなおせばいいわけである。 もちろん、それは僧院で使われているホンモノではなく、観光用に作られた模造品なのだが、いくら模造品とはいえ、仏具をそんなことに使ってバチがあたらないだろうかと、一瞬思ったが(ナンシー関と同じで、自分も昭和生まれの田舎者なので、案外、迷信深い)、考えみれば、チベットの密教にはもともと呪術的な側面がある。ウソだと思うなら、これをよんでみるといい。 ![]() ▼正木晃 「性と呪殺の密教 怪僧ドルジェタクの闇と光」 「密教は性と呪力に満ちている。光と闇、二つの世界を具有することの豊穣と危険。チベット仏教史上、最強にして最凶、密教僧ドルジェタクの生涯を通じ、宗教が内包する超絶的エネルギーの核心に迫る。」 「呪殺」に「怪僧」である。タイトルからしてすでにやばいが、中身もそうとうやばい。こうみえても人類学者(のなりそこね)なので、ブードゥーとか妖術とか加持祈祷に関して書かれた民族誌は結構よんできたが、この本が描きだす魑魅魍魎の跳梁跋扈する世界は、かなりやばい。詳細は省くが、これならチベタン・ホルンを自民党を呪うために転用してもバチはあたらないだろう結論した。それに日本の密教にだって「請雨法」という雨乞いの祈祷がある。 ![]() これをよむと、マジカル・ナンバーは「13」らしい、メモしておこう。というわけで、あとはつくるだけである。といっても、なんのことはない。チベタン・ホルンをチベタン・サックスにするには、マウスピースをサックスのものにとりかえればよい。 ![]() ▼ヤフオクで買ったときの状態(写真は出品者による) 以前、チベットの鍛冶屋が、チベタン・ホルンをつくる映像をみたことがあるので、分解の仕方は分かっている。継ぎ目にはニカワのようなが使われているので、それを溶かしてはずせばいい。 ![]() とかす。 ![]() はずす。 ![]() きる、けずる。 ![]() みがく。 ![]() アダプターをさし、コルクをまく。 ![]() できた。 改造していてはじめて気がついたのだが、金属製のものでも木製のものでも、チベタンホルンのベルの内側は赤く塗ってある。自分が持っているものは、手抜きなのかなんなのか分からないが、地金のままである。これはよくない。ベルの内側を赤く塗ることには、なにか意味があるに違いない(人間の口のなかを再現しているのかもしれない)。 ![]() ▼ふつうのチベタン・ホルン 楽器ならともかくも、「呪具」として使うのだから、ここはゆるがせにできないところである。アフリカで弟子入りしていたシャーマンも、呪具で大事なのは色だといっていた。なので、ちゃんと塗装することにした。 ![]() マスキングする。 ![]() 塗料は「アサヒペン」製ではなく、名前がいいので「神東塗料」製を選んだ。色はなるべく朱色に近いものがいいので「ライトスカーレット」にした。 ![]() しあげる。できた。 さっそく吹いてみた。サックスのマウスピースを改造したユーフォニウムに挿して吹いたときの感じ(「怒りの重火器サックス」参照)に近いが、バズ音がいまひとつ足りないし、音色と音程のコントロールがききすぎるので、リードをプラスティック板でリードをつくることにした。 ![]() きる。 ![]() みがく。 ![]() できた。 吹いてみたら、ブババババブリブリブリーっと、なかなかいい感じである。 ドローン音だけでなく、「プロフェッサー・ギルの笛」のように、相手の不完全な良心回路を狂わせるような暗い旋律も吹きたいので、音孔をあけることにした。 ![]() あなをあける。これで基音のBナチュラルにくわえて、Cナチュラルも出るようになった。 ![]() 仕上げにカラスの羽根や法具をとりつけ、嵐のようなサイクロン音がでるように、DCファンをお守り代わりにつけた。密教のマジカルナンバー13をどうとりこむかは、また考えよう。その前に、あともう一本をどうするかである。 ![]() もう一本は、トロンボーンのベルとトランペットのベル管、トロンボーンのスライド管をつなぎあわせてつくることにした。 ![]() 管をつなぎあわせる。 ![]() ロウ付けする。 ![]() マウスピースをつける。 ![]() 持ったときに安定しないので、指かけをつけることにした ![]() ゆびかけがついた ということで、これが「自民党を呪うチベタンサックス」 ![]() ▼イルコモンズ作「自民党を呪うチベタン・サックス」(2013年) こっちが自民党を呪うフランケン・サックス ![]() ▼イルコモンズ作「自民党を呪うフランケン・サックス」(2013年) この2本をセットにすると、 ![]() ▼イルコモンズ作「自民党を呪う嵐をよぶサックス」(2013年) できあがり。 ローランド・カークみたいに、両方のマウスピースをくわえて同時に吹いてみた。ブブブボォブブブウブブブブウっと、なかなかいい感じの音がする。残念ながらカークみたいに口が大きくないので、2本吹きだと音量がどうしても小さくなるし、バズ音も足りない。これをひとりで吹きこなすには練習が必要だが、ふたりいればいけそうだ。プラスティックのリードなので、サックスを吹いたことのない人でも音がだせるし、アンブシュアが安定してないほうが、よりきたない音がする。 ということで、これでどうだい、ちびこもんず?(つづく)
by illcommonz
| 2013-12-24 12:53
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