(ぱかっ)
▽ちびこもんず 「ひえひえ~」
▼イルコモンズ 「おい、ちびこもんず。」
▽ちびこもんず 「なんだ、いるこもんず、マヨネーズがほしいのか?」
▼イルコモンズ 「冷蔵庫のなかで、なにしてるんだ?」
▽ちびこもんず 「お、ここは冷蔵庫のなかだったか、ちっとも気づかなかったよ。」
▼イルコモンズ 「家が冷蔵庫と同じくらい寒いぞ、って云いたいんだな。」
▽ちびこもんず 「そういうことだ、なんとかしろ、冷蔵庫のなかもカラっぽだぞ。」
▼イルコモンズ 「ストーブつけるから、そこからでてきな。おみやげもあるよ。」
▽ちびこもんず 「クリスマス・パーティの、のこりものだな、くわせろ、くわせろ。のこりもの、のこらず、くわせろ。」 (ばくっ、ばくぱくぱくぱく、むしゃむしゃむしゃむしゃ)
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もっと便利に もっと精巧に
もっともうかるように
そんなことばかりめがけて
かんじんの人間がどうなるか
考えもしなかった
おかげでこのざまだ
きがつくのがおそすぎたが
きづかないよりはましだろう
その速度をおそくするのが
たぶん これからぼくらのできる
精いっぱいギリギリのところだろう
とおもう
ということは ぼくらの子供や
孫たちの地球は いまより決して
よくはなっていない ということである
ぼくらはもう未来について
バラ色の夢をもつことはできない
ということである
そうだとしたら ぼくらが いま
こどものためにしてやれることは
その灰色の未来に耐えて生きてゆけるように
神経と体力に、したたかな抵抗力を
なんとかつけてやることではないだろうか
(花森安治)