はじめに、ふた、ありき
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のっけから物騒なタイトルですが、 これは1969年に建築家の磯崎(新)さんが 建築雑誌誌に書いた文章のタイトルを借用したもので、 今日の午後、その磯崎さんから、このたび文庫化された ←この本を献本していただきました。 磯崎さんには、02年の「EXPOSE2002」展の時に 展示に参加させていただき、またその前後に二度ほど、 事務所とアトリエでそれぞれインタビューをさせて もらったことがあります。たしか、そのときのお礼に、現在は版権が鹿島出版に 移ったため絶版になってる『建築の解体』の初版本(美術出版社版)をさしあげたら、 その返礼に「THE CHANGING OF AVANT-GARDE」という図録をいただくという、 本の交換があったので、それで今回もまたこうして本を贈って下さったのだと思います。 「きみの母を犯し、父を刺せ」と、かつてそう書いた建築家はなんと仁義に厚いことか。 (それにひきかえ、前にも書いた×××はその後も依然として招待券を(以下省略)…) で、献本をうけたときの心得として、古井由吉が、本をもらったら、読む前にまず、 礼状を書け、本を読んでしまったら、その内容にふれないわけにはいかなくなり、 それで、つい気後れして、礼状を書きそびれてしまうことになるからだ、ということを 書いています (いま、その本が見つからないのでこの引用は正確ではありません)。 成程、卓見だと思いますが、しかし今はメールがあるので、本をもらったときは、 たいていその日のうちに読んで、読んだその勢いで、お礼のメールを書いて送る ことが多い(といっても本をくれる知り合いの数はそんなに多くない)のですが、 今回の本の場合は、文庫になる以前にすでに単行本で読んでいたばかりか、 それ以前に、雑誌『へるめす』に「他者としての建築家」という題で連載されてた 当時から読んでいたものでもあるので、こういう場合はどうしたものやら、という 感じなので、ちょっと不精をして、このブログにて書いてみることにした次第です。 とはいえ、本文について書きはじめると、まるまる1週間くらいかかりそうなので、 今回の文庫本化に際して、新たに (ということは、つい最近) 書き加えられた 「現代文庫版あとがき」(第一刷発行日は10月14日) について書きますが、 その「あとがき」の最後のほうで、その「あとがき」のあとからはじまる解説文を 書かれてる岡崎乾二郎さんのことにふれながら、磯崎さんはこう書いてます。 「博打の賭場のようになってる世界の先端的な議論の場に、この国から、 アーティストとして切り込めるのは、この人ぐらいだとさえ思っている。 九・一一のような花火でなく、思考形式そのものが地すべりをおこす、 そんな事件に切り込むチャンスを待ちのぞんでいるような人で、 およばずながら、そんな仕掛けを私もねらっているのだが。 とはいっても、事件がおこれば、アーティストも建築家も なくなっているにちがいない。そうなれば、それでいい」 磯崎新 『建築家捜し』(岩波現代文庫版) この「博打の賭場のようになってる世界の先端的な議論の場」というのは、 現代美術の世界についてもそのままあてはまることで、磯崎さんが横浜 トリエンナーレのディレクターに就任した時に提案した最初のプランは、 グローバルな市場と連動した昨今の国際展のシステムに、まさに地すべり をおこさせるような、そういう「仕掛け」として考えられたものであっただけに、 この「あとがき」を読んでいて格別の思いがありました。現にそのプランは、 もしそれが実現されたなら、そこでは「アーティストも建築家もなくなって」 しまうようなものであっただけに、それが廃案になってしまったことがいよいよ 悔やまれます(そのアンリアライズドなプランについてはこのインタビューや 「新潮」05年4月号などで読むことができます)。とはいえ、かつては、 アンビルド続きだった磯崎さんの1960年代の建築プランが、ここにきて、 次々と実現してきているので、それと同じように、いずれは、この早すぎた 脱構築的なプランが息を吹き返してくることになるでしょうから、その時が きて、事件が起こるのを待ちのぞんでいますし、「自我と社会との諍いは 相変わらずつづいている」と書く作家のなかでは、今でもまだ「きみの母を 犯し、父を刺せ」という前衛のことばが生々しく活きているのだというのを 感じたそんな「あとがき」でした。ということで、本、ありがとうございました>磯崎さん
by illcommonz
| 2005-10-28 01:33
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